4つの自我同一性地位
青年期のアイデンティティの発達といえばエリクソンですが、その理論を検証し展開させたのがマーシャ(J.E.Marcia)です。
マーシャは、半構造化面接と文章完成法を用いてアイデンティティの測定を行い、青年期のアイデンティティの状態を分類した「自我同一性地位」を提唱しています。
以下に示す「危機」と「傾倒」の有無によって、アイデンティティ確立の程度を4種類に分類しています。
危機:児童期までの過去の同一視を否定したり再吟味する経験
傾倒:危機後の意味ある選択肢の探求の末に自己決定したことに対してどれだけ強く関与し自分の資源を投入しているか
・同一性達成型:人生上の危機を経験し、職業などの人生の重要な領域に積極的に傾倒している地位
・早期完了型:ある仕事や生き方に興味を抱きますが、自我の危機を経験しておらず将来についてあまり考えていない状態
・同一性拡散型:危機は未経験か、経験済みでも目標があまりない人のこと
・モラトリアム型:何かしらの危機を経験していて自分自身は将来どのような職業に就きたいのか日々試行錯誤している状態
過去問
第3回 問125
J.E.Marcia が提起した自我同一性地位について、正しいものを1つ選べ。
① 同一性達成型とは、人生上の危機を経験し、職業などの人生の重要な領域に積極的に傾倒している地位である。
② 早期完了型とは、人生上の危機を発達早期に経験し、職業などの人生の重要な領域に積極的に傾倒している地位である。
③ モラトリアム型とは、人生上の危機を経験しておらず、職業などの人生の重要な領域に積極的に傾倒していない地位である。
④ 同一性拡散型とは、人生上の危機を経験していないが、職業などの人生の重要な領域に積極的に傾倒しようと努力している地位である。
① 同一性達成型とは、人生上の危機を経験し、職業などの人生の重要な領域に積極的に傾倒している地位である。
正しいです。
② 早期完了型とは、人生上の危機を発達早期に経験し、職業などの人生の重要な領域に積極的に傾倒している地位である。
「人生上の危機を発達早期に経験し」というのは誤りです。
③ モラトリアム型とは、人生上の危機を経験しておらず、職業などの人生の重要な領域に積極的に傾倒していない地位である。
「人生上の危機を経験しておらず」というのは誤りです。
④ 同一性拡散型とは、人生上の危機を経験していないが、職業などの人生の重要な領域に積極的に傾倒しようと努力している地位である。
「人生上の危機を経験していない」というのは正しいですが、「職業などの人生の重要な領域に積極的に傾倒しようと努力している」というのは誤りです。
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人間の知覚の基本から見ていきましょう。
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