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【心理検査】ウェクスラー系知能検査(WAIS、WISC、WPPSI)

ウェクスラー式知能検査 心理検査
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ウェクスラー式知能検査は知能指数IQを測定しますが、発達障害のある方の発達・知能の水準を捉えるためにしばしば用いられます。

検査内容を詳しく見ていきましょう。

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種類

ウェクスラー式知能検査は、アメリカの心理学者ウェクスラー(D.Wechsler)によって作成され、年齢によって3タイプあります。

WPPSI(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence):3歳10か月~7歳1か月(幼児用)
WISC(Wechsler Intelligence Scale for Children):5歳~16歳11か月(児童用)
WAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale):16歳~90歳11か月(成人用)
ウェクスラー式知能検査(WAIS、WISC、WPPSI)

それぞれ、ウィプシ、ウィスク、ウェイス、と呼びます。

検査内容

合成得点

成人用WAISを例に検査内容を見てみましょう。

第四版のWAIS-Ⅳでは、5つの合成得点(全検査IQと4つの指標得点)を算出します。

全検査IQというのは、一般的に言われる知能指数IQのことです。

<4指標得点>
・言語理解(VCI)
・知覚推理(PRI)
・ワーキングメモリー(WMI)
・処理速度(PSI)

WAIS-Ⅲでは全検査IQだけでなく言語性IQと動作性IQを算出されましたが、WAIS-Ⅳで無くなりました。

IQの平均は100ですが、IQの値によって以下のように分類されます。

IQ70未満は知的障害になります。

全検査IQ 知的発達水準
130以上 非常に高い
110~119 平均の上
90~109 平均
80~89 平均の下
70~79 境界域
50~69 軽度知的障害
35~49 中度知的障害
20~34 重度知的障害
20未満 最重度知的障害

これらの数値を出すために、それぞれ下位検査を行います。

下位検査

下位検査には、基本下位検査と補助下位検査(必要があれば行う検査)があります。

基本下位検査(10種類)

類似:2つの言葉の共通点や類似点を答える

例えば「車とバイクはどのようなところが似ていますか?」とか。

単語:単語の意味を答える

例えば「スマホとはなんですか?」とか。

知識:一般的な知識に関する質問に答える

例えば「現在の内閣総理大臣は誰ですか?」とか。

積木模様:モデルと同じ模様を積木を使って作成する

行列推理:不完全な行列を完成させるのにもっとも適切なものを選ぶ

パズル:組み合わせると見本と同じになるものを選ぶ

数唱:耳で聞いた数字を復唱する

算数:算数の文章題を暗算で答える

例えば「10,000円で50円切手を何枚買えますか?」とか。

記号探し:刺激となる記号があるかどうかを探す

符号:見本となる記号を書き写す

補助下位検査(5種類)

理解:一般原則や社会的状況についての質問に答える

例えば「一石二鳥という諺はどのような意味ですか?」とか。

バランス:天秤が釣り合うために適切な重りを選ぶ

絵の完成:提示された絵の中で欠けているものを答える

語音整列:かなと数字を順番に並べる

絵の抹消:さまざまな図形の中から特定の図形を探す

まとめ

全検査IQ(FSIQ)、言語理解指標(VCI)、知覚推理指標(PRI)、ワーキングメモリー指標(WMI)、処理速度指標(PSI)の5つの指標得点を算出し、それぞれの得点を算出するために多くの下位検査があります。

WAISとWISCで、以下のように少し下位検査が異なります。

WAIS-Ⅳ

「WAIS-IV知能検査」日本文化科学社
出典:「WAIS-IV知能検査」日本文化科学社

WISC-Ⅳ

WISC-IV知能検査「日本文化科学社」
出典:WISC-IV知能検査「日本文化科学社」

KABC-Ⅱ

児童版のWISC-Ⅳは、KABC-Ⅱと比較されますので、ついでに覚えましょう。

KABC-Ⅱ(Kaufman Assessment Battery for Children Second Edition)は、アメリカのカウフマン博士夫妻(A.S.Kaufman&N.L.Kaufman)が発達障害や学習のつまずきが見られる子どもに向けて作成した知能検査です。

適用年齢は2歳6か月から18歳11か月までですので、WISC-Ⅳと比較して以下の表で覚えましょう。

KABC-ⅡとWAIS、WISC、WPPSIの比較

ルリア理論およびキャッテル-ホーン-キャロル(CHC)理論という2種類の理論に基づいており、検査結果を異なった相補う観点から解釈することができます。

ルリア理論に基づくカウフマンモデルでは8つの能力、CHCモデルでは7つの能力を測定します。

WMS-R(ウェクスラー記憶検査)

ウェクスラー式知能検査を覚えたついでに「ウェクスラー記憶検査(WMS-R)」も覚えておきましょう。

言語を使った問題と図形を使った問題で構成され、13の下位検査があります。

記憶の要素を「言語記憶」「視覚記憶」「一般的記憶(言語性と視覚性を統合したもの)」「注意集中」「遅延再生」の5つの指標で表現できます。

下位検査 指標 検査内容
情報と見当識   一般的な知識についての質問
精神統制 注意集中 数字の逆唱や50音を早く言うなど
図形の記憶 視覚記憶 1組の抽象的な模様を提示した後、もっと数の多い模様の中から同じものを選択
論理的記憶I 言語記憶 検査者が受験者に物語を読んで聞かせた後にその物語を話す
視覚性対連合I 視覚記憶 10秒間提示された簡単な幾何学図形を描く
言語性対連合I 言語記憶 容易な対語4つと困難な対語4つを記憶し反復
視覚性再生I 視覚記憶 複数の図形を10秒提示し書き写す
数唱 注意集中 3~8桁の数字の順唱、2~7桁の数字の逆唱
視覚性記憶範囲 注意集中 8桁のカードに触れた順番を記憶
論理的記憶Ⅱ 遅延再生 物語の遅延再生
視覚性対連合Ⅱ 遅延再生 図形の組み合わせの遅延再生
言語性対連合Ⅱ 遅延再生 言語ペアの遅延再生
視覚性再生Ⅱ 遅延再生 図形の書きだしの遅延再生

過去問

第1回 問76

19歳の女性 A。
Aは高校卒業後に事務職のパート勤務を始めた。
もともと言語表現は苦手で他者とのコミュニケーションに困難を抱えていた。
就職当初から、仕事も遅くミスも多かったことから頻繁に上司に叱責され、常に緊張を強いられるようになった。
疲れがたまり不眠が出現し、会社を休みがちになった。
家事はこなせており、将来は一人暮らしをしたいと思っているという。
WAIS-Ⅲを実施した結果、全検査IQ77、言語性IQ73、動作性IQ86。
群指数は言語理解82、知覚統合70、作動記憶62、処理速度72であった。
この検査結果の解釈として、正しいものを1つ選べ。
① 視覚的な短期記憶が苦手である。
② 聴覚的な短期記憶が苦手である。
③ 全検査IQ は「平均の下」である。
④ 下位検査項目の値がないため判断できない。

① 視覚的な短期記憶が苦手である。
間違いです。視覚的な短期記憶を計る指標は、下位検査「符号」になります。

② 聴覚的な短期記憶が苦手である。
これが正解です。作動記憶(ワーキングメモリー)は聴覚的な短期記憶を計っており、その値が62と低いので苦手と考えられます。

③ 全検査IQ は「平均の下」である。
間違いです。全検査IQが77ですが、これは「平均の下」ではなく「境界域」に当たります。
80~89が「平均の下」です。70以下は知的障害になるので77だと境界域です。

④ 下位検査項目の値がないため判断できない。
そんなことはありません。下位検査項目の値が分かれば、より詳細な分析はできますが、判断できないことはありません。

第4回 問95

手話をコミュニケーション手段とする被検査者にWAIS-Ⅳを実施する。
回答場面におけるやりとりに際して、結果に影響が出ないように注意を必要とする下位検査として、最も適切なものを1つ選べ。
① 符号
② 類似
③ パズル
④ 行列推理
⑤ バランス

① 符号
符号は見本となる記号を書き写す検査です。
手話を用いる人でも問題なく検査できそうです。

② 類似
類似は、例えば「リンゴと梨はどう違いますか?」という質問に答えますが、この質問内容を手話で正確に伝える必要があり、注意が必要です。
ということでこれが正解です。

③ パズル
パズルは組み合わせると見本と同じになるものを選ぶ検査です。
手話を用いる人でも問題なく検査できそうです。

④ 行列推理
行列推理は、不完全な行列を完成させるのにもっとも適切なものを選ぶ検査です。
手話を用いる人でも問題なく検査できそうです。

⑤ バランス
バランスは、天秤が釣り合うために適切な重りを選ぶ検査です。
手話を用いる人でも問題なく検査できそうです。

第5回 問17

WAIS-Ⅳにおいて、制限時間のない下位検査を1つ選べ。
① 算数
② パズル
③ 絵の完成
④ 行列推理
⑤ バランス

選択肢④が正解です。

第1回 問137

26歳の男性A、会社員。
Aは仕事上のストレスが原因で心理相談室に来室した。
子どもの頃から忘れ物が多く、頑固だと叱られることが多かった。
学業の問題は特になかった。友人はほとんどいなかったが、独りの方が楽だと思っていた。
就職した当初はシステムエンジニアとして働いており、大きな問題はなかった。
しかし、今年に入って営業部に異動してからミスが増え、上司から叱責されることが多くなった。
Aは「皆がもう少しゆっくりやってくれたら」と職場への不満を口にするが、「減給されるので仕事を休む気はない」と言う。
Aに実施するテストバッテリーに含めるものとして、最も適切なものを1つ選べ。
① BACS
② MMSE
③ STAI
④ WAIS-Ⅲ
⑤ 田中ビネー知能検査Ⅴ

事例より、Aは自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害の可能性があります。
ということで、発達障害の検査としては選択肢④が最も適切です。
年齢が26歳なので成人用のWAISです。

他の選択肢は「①BACS→統合失調症の検査」「②MMSE→認知症の検査」「③STAI→不安検査」「⑤田中ビネー知能検査Ⅴ→知的障害の検査」です。

第1回 問92

認知及び言語の発達の遅れが疑われる3歳の幼児に用いるアセスメントツールとして、最も適切なものを1つ選べ。
① BDI
② CMI
③ KABC-Ⅱ
④ MPI
⑤ WISC-Ⅳ

① BDI
BDI(ベック抑うつ質問票)は、抑うつ検査ですので間違いです。

② CMI
CMI(コーネル健康調査票)は、健康調査票なので間違いです。

③ KABC-Ⅱ
これが正解です。適用年齢は2歳6ヶ月から18歳11ヶ月までなので3歳にも適用できます。

④ MPI
MPI(モーズレイ性格検査)は、性格検査ですので間違いです。

⑤ WISC-Ⅳ
WISC-Ⅳ(児童用ウェクスラー式の知能検査)は、適用年齢が5歳~16歳11か月ですので適用できません。

次の記事

次も、知能検査の1つ「田中ビネー知能検査」です。

【心理検査】田中ビネー知能検査Ⅴ
田中ビネー知能検査はウェクスラー式知能検査と並んで日本でよく用いられる知能検査です。フランスのビネー(A.Binet)が世界で初めて知能検査法を開発し、1947年に日本の田中寛一がその検査をもとに「田中ビネー知能検査」を発刊しまし...

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