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【動機づけ理論】モチベーションの過程理論&内容理論

動機づけ理論 社会&集団
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人が何か行動を起こそうと動機づけされる場合、どのようなメカニズムで行われるのでしょう。

そのドライビングフォース(駆動力)は何か、それを見出すものが「動機づけ理論」です。

詳しくは以下の記事を参照してください。

【動機づけ理論】ハーズバーグ、ブルーム、デシ、マグレガー、マクレランド
ここまでで、マズローの欲求階層説、オペラント条件づけなどの人間が行動する動機を扱ってきました。さらにここからは「動機づけ理論」を深めていきます。動機づけ理論6人衆「動機付け・衛生理論」by ハーズバーグハーズバーグ(Herzberg,F.)
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動機づけ理論とは

動機づけ理論は「モチベーションの過程理論」と「モチベーションの内容理論」に分けられます。

モチベーションの過程理論:どのようにモチベーションが形成され変化し、人が動かされていくのか
モチベーションの内容理論:何によってモチベーションが発生するかを説明

モチベーションの過程理論

衡平理論(公平理論)

衡平理論は、アダムス(J.S.Adams)が提唱しました。

仕事上で自分と他者の仕事量に対する報酬(対価)を比較し、不公平さを感じる場合それを解消し公平となるように動機づけられるという理論です。

期待理論

ブルーム(V.Vroom)の「期待理論」は、どのくらい頑張ればどのような結果が得られるのか、そしてそれはどのくらいの価値があるものなのかを明らかにするものです。

どのような努力したら目標を達成できるかを示すことが動機づけを高めると考えます。

モチベーションの内容理論

「二要因理論」

ハーズバーグ(F.Herzberg)は、仕事に満足を与える要因として、「動機付け要因」と「衛生要因」を挙げています。

動機づけ要因:仕事の達成感、承認や責任などの仕事に積極的な満足を与える要因
衛生要因:作業条件、給料、福利厚生、人間関係などの仕事への不満足を解消する要因

このように、ハーズバーグは仕事への「満足を与える要因」と「不満足を与える要因」を分けて考えました。

衛生要因が満たされても、不満足は解消されても動機づけには至りません。動機付け要因が満たされると仕事への動機づけになります。

認知的評価理論

デシ(E.Deci)は、人はお金などの外部報酬(外発的動機づけ)がなくても内からの欲求に駆られて行動し(内発的動機づけ)、課題それ自体に喜びや満足をもって取り組むものだと考えました。

内発的動機づけ:内面に沸き起こった興味・関心・意欲による動機づけ
外発的動機づけ:金銭や食べ物、名誉などの外的報酬による動機づけ

なので金銭的な報酬などの外発的動機づけを多用してしまうと、仕事そのものから得られる内発的動機づけが失われると考えます。

これをアンダーマイニング効果と呼びます。

興味を持って勉強をしていても、お小遣いをもらえるようになったら、興味が薄れるかも・・・

外発的動機づけは、スキナーのオペラント条件づけですね。
内発的動機づけは、有能さと自己決定の感覚です。

XY理論

マグレガー(D.McGregor)は、「X・Y理論」を提唱しています。

X理論:人は怠け者なので、アメとムチをうまく使って動機づけを高めることが必要
Y理論:マズローの理論に従って人には自己実現欲求があるので、そこに向かって努力していく存在

例えば、Y理論では従業員のやる気がないのは従業員本人の問題ではなく、やる気を引き出すことができなかった上司に問題があると捉えます。

欲求理論

マクレランド(D.McClelland)は、4種類の欲求(動機)を想定しました。

達成欲求(達成動機)を持つ人:成功の報酬よりも、自身がそれを成し遂げたいという欲求から努力をする。適度なリスクのある仕事を好む。
権力欲求(権力動機)を持つ人:他者にインパクトを与え、影響力を行使してコントロールしたい。責任を与えられることを楽しむ。
親和欲求(親和動機)を持つ人:他者との交友関係を作り上げることについて極めて積極的。
回避欲求(回避動機)を持つ人:失敗や困難な状況を回避したい。

目標設定理論

ロックの(E.Lock)目標設定理論では、あいまいな目標よりも具体的な目標を設定したほうが、難易度の低い目標よりも高い目標のほうが動機づけが高まると考えます。

まとめ

 
マズロー
(A.H.Maslow)
マクレランド
(D.C.McClelland)
ハーズバーグ
(F.Herzberg)
マグレガー
(D.McGregor)
デシ
(E.L.Deci)
自己実現の欲求 達成欲求 動機づけ要因 Y理論 内発的動機づけ
自尊と承認の欲求 権力欲求 外発的動機づけ
所属と愛の欲求 親和欲求 衛生要因
安全と安定の欲求 回避欲求 X理論
生理的欲求

内発的動機づけの概念は、もともとは、動因低減説への反論として導入されました。

ハルの動因低減説は覚えてますか?

動因低減説では人間などの生物を本来怠け者と捉え、不都合な状態が生じない限り自ら進んで行動しないと見なしたのに対し、「内発的動機づけ」では本来活動的で、たえず環境と相互交渉しつつ自らの有能さを追求していく存在と見なしています。

マクレガーのXY理論に当てはめると、以下のようになりますね。

X理論:動因低減説
Y理論:内発的動機づけ

過去問

第4回 問102

動機付け理論の説明として、最も適切なものを1つ選べ。
① D.C.McClelland の目標達成理論では、課題への不安や恐怖を示す回避動機によって動機づけが低下すると考える。
② E.A.Locke の目標設定理論では、難易度の低い目標を設定したほうが動機づけが高まり、業績の向上につながると考える。
③ E.L.Deci の認知的評価理論では、金銭などの外的報酬により、内発的動機づけが高まると考える。
④ F.Herzberg の2要因理論では、会社の衛生要因を改善しても、動機づけは高まらないと考える。
⑤ V.H.Vroom の期待理論では、管理監督者の期待が高いほど、労働者の動機づけが高まると考える。

① D.C.McClelland の目標達成理論では、課題への不安や恐怖を示す回避動機によって動機づけが低下すると考える。
マクレランドの回避動機は、リスクを避けて無難に行きたいというものなので動機づけが低下するわけではありません。

② E.A.Locke の目標設定理論では、難易度の低い目標を設定したほうが動機づけが高まり、業績の向上につながると考える。
間違いです。ロックの理論では、あいまいな目標よりも具体的な目標を設定したほうが、難易度の低い目標よりも高い目標のほうが動機づけが高まると考えます。

③ E.L.Deci の認知的評価理論では、金銭などの外的報酬により、内発的動機づけが高まると考える。
間違いです。デシの理論では金銭などの外的報酬によって内発的動機づけが弱まると考えます。
これをアンダーマイニング効果と呼びます。

④ F.Herzberg の2要因理論では、会社の衛生要因を改善しても、動機づけは高まらないと考える。
これが正解です。

⑤ V.H.Vroom の期待理論では、管理監督者の期待が高いほど、労働者の動機づけが高まると考える。
間違いです。管理監督者の期待ではなく本人の期待です。他者から期待理論と聞くと期待されると動機づけが高まると考えがちですが、そうではなく労働者本人の期待です。

先生から期待されて勉強がよくできるようになるのは、ピグマリオン効果だったね。
ブルームの期待理論とは全く違うね。

第3回 問28

F.Herzbergの2要因理論に関する説明として、正しいものを1つ選べ。
① 達成動機は、接近傾向と回避傾向から構成される。
② 職場の出来事で満足を与える要因を達成欲求という。
③ 分配の公正と手続の公正は、仕事への動機づけを高める。
④ 職場での満足を感じる要因は、仕事への動機づけを高める。
⑤ 職場の出来事で不満足につながる要因をバーンアウトという。

① 達成動機は、接近傾向と回避傾向から構成される。
間違いです。達成動機といえばマクレランドやアトキンソンの理論です。

② 職場の出来事で満足を与える要因を達成欲求という。
間違いです。これは「動機付け要因」です。
達成欲求といえばマクレランドです。

③分配の公正と手続の公正は、仕事への動機づけを高める。
間違いです。これは「衛生要因」です。
衛生要因は、無いと不満足を与え、あっても仕事への動機を高めることはありません。

④ 職場での満足を感じる要因は、仕事への動機づけを高める。
これが正解です。これは「動機づけ要因」です。

⑤ 職場の出来事で不満足につながる要因をバーンアウトという。
これは「衛生要因」です。

第1回(追試)問56

動機づけ理論について、適切なものを2つ選べ。
① 自己実現欲求は欠乏動機である。
② 動機づけ要因は、満たされていれば満足につながる。
③ 有能さや自己決定の感覚が強められると、動機づけは高まる。
④ 金銭などの外的報酬は、その水準が変わらなければ、動機づけを維持する効果は時間とともに弱まる。
⑤ 内発的動機づけが働いている行動に、賞罰などの外的報酬を加えることで、動機づけは更に高められる。

① 自己実現欲求は欠乏動機である。
間違いです。自己実現の欲求は欠乏動機ではなく成長欲求です。

② 動機づけ要因は、満たされていれば満足につながる。
間違いです。これはハーズバーグの2要因論(動機づけ要因、衛生要因)の事だと思いますが、動機づけ要因が満たされていても、衛生要因が満たされていないと不満足につながってしまいます。

③ 有能さや自己決定の感覚が強められると、動機づけは高まる。
正しいです。デシは「内発的動機づけ」を有能さと自己決定の感覚であるとしています。

④ 金銭などの外的報酬は、その水準が変わらなければ、動機づけを維持する効果は時間とともに弱まる。
正しいです。これは「馴化」と呼ばれる現象です。

⑤ 内発的動機づけが働いている行動に、賞罰などの外的報酬を加えることで、動機づけは更に高められる。
間違いです。デシの理論では内発的動機づけが働いている行動に外的報酬を加えると動機づけが弱まる「アンダーマイニング効果」を謳っています。

第1回 問145

中学生A~Eが学習している。
Aは社会科に興味があり自ら進んで学習するが、テストのために勉強することが嫌いである。
Bはテストで良い点を取るために勉強するが、学習内容には関心がない。
Cは何事に対しても優れた成果を出すために努力し、学習に取り組む時間が長い。
D は親や教師に叱られることを避けるために勉強することが多く、学習が楽しいと思ったことはない。
Eには勉強しないと不安になる傾向があり、学習時間が長い。
内発的動機づけによる学習をしている者として、正しいものを1つ選べ。
① A
② B
③ C
④ D
⑤ E

① A
これが正解です。Aは社会科に興味があり自ら進んで学習するので「内発的動機づけ」によって学習しています。

② B
Bはテストで良い点を取るために勉強しているので「外発的動機づけ」によって学習しています。

③ C
Cは優れた成果を出すために努力しているので「外発的動機づけ」によって学習しています。

④ D
Dは叱られることを避けるために勉強しているので「外発的動機づけ」によって学習しています。

⑤ E
Eは勉強しないと不安になるから勉強しているので、これは「内発的動機づけ」とは言えません。

第1回(追試)問125

内発的動機づけと外発的動機づけの分類として、誤っているものを1つ選べ。
① 興味に基づいて行動が生起する場合は内発的動機づけに分類できる。
② 好成績をとる目的で行動が生起する場合は内発的動機づけに分類できる。
③ 罰を回避する目的で行動が生起する場合は外発的動機づけに分類できる。
④ 他者からの賞賛を得る目的で行動が生起する場合は外発的動機づけに分類できる。

選択肢②が誤りです。

次の記事

次は、スティグマについて。

【社会心理学】スティグマ
スティグマとは、社会的に個人に押し付けられた負のレッテルのことです。スティグマはギリシア語に由来し、牛や奴隷に焼きつけられた刻印のことです。スティグマは、社会的スティグマとセルフスティグマに分類できます。社会的ステ...

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