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【不安検査】MAS、STAI、CAS、GAD-7、LSAS-J

不安検査 心理検査
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不安検査は不安障害の検査で、MAS、STAI、CAS、GAD-7、LSAS-J等いろいろあります。

すべて、「Anxiety(不安)」の「A」が入っているのがポイントです。

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MAS(顕在性不安尺度)

MAS (Manifest Anxiety Scale) は、1953年テイラー(J.A.Taylor)がMMPIから50項目を選出し、顕在性不安尺度として発表しました。

日本版MASはこの50項目に、妥当性L尺度15項目を加え65項目により構成されています。

神経症、統合失調症、心身症にともなう不安の客観的測定に役立ちます。

L尺度はLie(ウソ)に関する信頼性尺度ですね。

検査方法

上記の項目について質問紙に回答します。

回答方法は「そう」「ちがう」の二件法です。

両方に×をつけて「どちらでもない」とすることもできます。

評価方法

以下のように不安得点(A得点)でランク付けされています。

段階 一般男子 一般女子 男子大学生 女子大学生
高度の不安 23以上 27以上 26以上 27以上
不安 19~22 23~26 22~25 23~26
正常 18以下 22以下 21以下 22以下

例えば、一般男子の場合は19点以上なら不安症となります。

L得点は、11点以上の場合「自分を好ましく見せようとする傾向」が見られます。

MASは妥当性の低さが課題と言われており、それを補強したものとして以下の「STAI(状態ー特性不安検査)」があります。

STAI(状態ー特性不安検査)

STAI(State-Trait Anxiety Inventory)は、1970年にスピルバーガー(C.D.Spielberger)が作成し、その後日本版として標準化されました。

質問項目は各20項目、計40項目から構成され、不安の2因子「状態不安」「特性不安」を測定します。

状態不安 (State Anxiety) :たった今この瞬間に自分に当てはまる不安
特性不安 (Trait Anxiety) :普段のいつもの自分に当てはまる不安

MASの信頼性を補強したもので、検査時間は10分程度と、MASより少し時間がかかります。

MASとSTAIを比較してみましょう。

項目 MAS(顕在性不安尺度) STAI(状態ー特性不安検査)
開発年 1953年 1970年
開発者 テイラー(J.A.Taylor) スピルバーガー(C.D.Spielberger)
項目数 50項目+信頼性尺度15項目 状態不安(20項目)+特性不安(20項目)
検査時間 約5分 約10分
適応年齢 16歳以上、児童用はCMAS 中学生以上

CAS(不安測定検査)

CAS(Cattele Anxiety Scale)はキャッテル(R.B.Cattell)の16性格因子の中から不安と関係の深い5因子で構成された検査です。

測定方法

5因子それぞれの段階点とその総合から、不安傾向を測定します。

検査時間が5~10分程度で採点も簡単なため検査に負担がかかりません。

<5因子>
・人格統御力の欠如
・自我の弱さ
・疑い深さ
・罪悪感
・欲求不満による緊張

評価方法

総合点によって不安傾向のレベルは以下のように診断できます。

総合点 評価
1~3点 精神的に安定
4~6点 普通
7~8点 要注意
9~10点 治療が必要

GAD-7(全般性不安障害スケール)

GAD−7(Generalized Anxiety Disorder-7)は、全般性不安障害のスクリーニング検査として用いられています。

検査方法

全般性不安障害を簡易に評価するための自己記入式の質問票です。

7つの質問から構成されており、過去2週間の状態から評価します。

評価方法

点数によって以下のように評価します。

点数 評価
5~9点 軽度
10~14点 中等度
15~21点 重度

LSAS-J(リーボヴィッツ社交不安尺度)

LSAS-J(Llebowitz Social Anxiety Scale)は、社交不安障害を測定する目的で開発された尺度であり、国際的にも広く用いられている社交不安障害の標準的な尺度とされています。

検査方法

質問は24項目で、対人場面や人前で何かをするときの恐怖感、あるいはそういった場面の回避の程度など、両方を分けて測ることができます。

24の状況は行為状況と社交状況の2種類に分かれており、ランダムに混ざっています。

評価方法

点数によって以下のように評価します。

点数(144点満点) 評価
30~50点 境界域
50~70点 中等度
70~90点 中等度~重度
90点以上 重度

様々な不安尺度を紹介してきましたが、このLSAS-Jだけは「社交不安(social anxiety)」であることを覚えておきましょう。

過去問

第3回 問137 

30歳の男性A、会社員。
独身で一人暮らしである。
Aは、職場での不適応感を訴えて精神科を受診した。
幼少期から心配性と言われてきたが、ここ半年ほどでその傾向が一層強まってきた。
仕事で失敗したり、失業したりするのではないか、重大な病気にかかっているのではないかなど気になって仕方がない。
自分でも心配しすぎだと分かってはいるが、いらいらし、仕事にも集中できず、疲労がつのる。
寝つきも悪く、しばしば早朝に覚醒してしまうこともある。
医師からAの状態をアセスメントするよう依頼された公認心理師が、Aに実施するテストバッテリーに含めるものとして、最も適切なものを1つ選べ。
① AQ-J
② CAPS
③ GAD-7
④ LSAS-J
⑤ Y-BOCS

事例から不安障害が疑われるので、選択肢から③と④が候補に挙がります。
選択肢④は社交不安の検査ですので、選択肢③が正解です。

第1回(追試)問72

24歳の女性 A、会社員。
Aは最近、職場で不安や緊張を感じるようになった。
子どもの頃から成績は平均より上だったが、おとなしく内気な性格で友人は少なかった。
就職した当初は単独作業が多かったが、配置転換により年上の先輩との協働作業が増えた。
先輩の前では会議資料の準備をするときに緊張が高まり発汗し、ハンカチが手放せなくなった。
変な人に思われるのではないかと思うと手が震え、視線を避けようとすると奇異に思われるのではないかと不安が高まるようになった。
Aは出勤が負担に感じられるようになり心理相談室を訪れた。
Aに実施するテストバッテリーに含める心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
① CAARS
② IES-R
③ KABC-Ⅱ
④ LSAS-J
⑤ Y-BOCS

① CAARS
間違いです。CAARS(Conners’Adult ADHD Rating Scales)はADHD症状を評価します。

② IES-R
間違いです。IES-R (Impact of Event Scale-Revised)は、改訂出来事インパクト尺度日本語版でPTSDの診断に用いられます。

③ KABC-Ⅱ
間違いです。KABC-Ⅱ(Kaufman Assessment Battery for Children)は、認知尺度のみならず、基礎学力を測定できる個別式習得尺度を備えています。
また、認知処理を、継次処理と同時処理だけでなく、学習能力、計画能力の4つの能力から測定していることも特徴です。
事例Aは同時処理、継時処理等の認知的問題を有しているとは見られません。

④ LSAS-J
これが正解です。LSAS-J(Llebowitz Social Anxiety Scale)は、リーボヴィッツ社交不安尺度で、社交不安障害を計測できます。

⑤ Y-BOCS
間違いです。Y-BOCS(Yale-Brown Obsessive Compulsive Scale)は、エール・ブラウン強迫尺度で、強迫性障害の強迫観念や強迫行為の臨床的重症度の評価に用いられる手法です。

第4回 問138

28歳の男性A、会社員。
Aは最近、会社に出勤できなくなり、産業医から紹介されて公認心理師 B のもとを訪れた。
Aは、人前に出ることはもともと苦手であったが、 1年前に営業部署に異動してからは、特に苦手意識が強くなり、部署内の会議への参加や、上司から評価されるような場面を避けがちになった。
Bが実施した心理検査の結果、BDI-Ⅱの得点は32点 、MASのA得点は32点、 L得点は5点、LSAS-Jの総得点は97点であった。
Aのアセスメントとして、最も適切なものを1つ選べ。
① 顕在性不安が強い。
② 抑うつ状態は軽度である。
③ 軽度の社交不安が疑われる。
④ 重度の強迫症状が見られる。
⑤ 好ましく見せようとする傾向が強い。

① 顕在性不安が強い。
これが正解です。MASのA得点(不安得点)が32点というのは高い点数で、顕在性不安が強いといえます。

② 抑うつ状態は軽度である。
間違いです。BDI-Ⅱの得点は32点なので重度のうつ状態です。

③ 軽度の社交不安が疑われる。
間違いです。LSAS-Jの総得点は97点というのは非常に高い点数で重度の社交不安です。

④ 重度の強迫症状が見られる。
間違いです。強迫症状は見られません。

⑤ 好ましく見せようとする傾向が強い。
間違いです。L得点は5点なので正常の範囲内です。

第5回 問93

質問紙法による心理検査の説明として、最も適切なものを1つ選べ。
① CAARSは、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害の重症度を測定する。
② GHQは、心理的ウェルビーイングを測定する。
③ IES-Rは、ストレッサーを測定する。
④ MASは、特性不安を測定する。
⑤ POMSは、認知特性を測定する。

選択肢④が正解です。MASは顕在性不安、STAIが特性不安と覚えていると、選択肢④は誤りと思ってしまいますが、MASはMMPIの特性不安尺度から作成されているので正しいです。

次の記事

次は、抑うつ検査について。

【抑うつ検査】BDI-Ⅱ、SDS
抑うつ検査は、抑うつ状態の検査です。抑うつ状態は、がん等の様々な疾患に付随する症状なので、多くの場面で用いられます。BDI-Ⅱ(ベック抑うつ質問票)BDI-Ⅱ(Beck Depression Inventory-S...

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