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【個人情報保護法】秘密保持義務と例外

個人情報保護法 専門職
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個人情報保護法に規定される秘密保持義務や例外規定、要配慮個人情報とは何かを見ていきましょう。

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秘密保持義務

<個人情報保護法 第18条>
個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。

公認心理師法第41条にも秘密保持義務が規定されていましたね。

ただし、第18条には以下のように例外が規定されています。

<秘密保持義務の例外>
明確で差し迫った生命の危険があり、攻撃される相手が特定されている場合
自殺など、自分自身に対して深刻な危害を加えるおそれのある緊急事態
虐待などが疑われる場合
・そのクライエントのケアなどに直接関わっている専門家同士で話し合う場合(相談室内のケース・カンファレンスなど)
法による定めがある場合
・医療保険による支払いが行われる場合
・クライエントが、自分自身の精神状態や心理的な問題に関連する訴えを裁判などによって提起した場合
クライエントによる明示的な意思表示がある場合

上記の「法による定めがある場合」とは、医療法に基づく立ち入り検査や刑事訴訟法第197条第2項に基づく照会などです。

生命の危険や自殺などの場合は「本人の同意を得ることが困難であるとき」という条件付きですが、法による定めがある場合については例外なく情報開示しなければなりません。

クライエントの支援に当たっている専門家間での情報共有についてもOKです。

要配慮個人情報

要配慮個人情報とは以下のような個人情報のことです。

個人情報保護法 第2条第3項
「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報

「政令で定める記述」については、次の事項のいずれかを内容とする記述等が「要配慮個人情報」とあります。

施行令第2条
身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の個人情報保護委員会規則で定める心身の機能の障害があること。
本人に対して医師その他医療に関連する職務に従事する者(次号において「医師等」という)により行われた疾病の予防及び早期発見のための健康診断その他の検査(同号において「健康診断等」という)の結果
健康診断等の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師等により心身の状態の改善のための指導又は診療若しくは調剤が行われたこと。
本人を被疑者又は被告人として、逮捕、捜索、差押え、勾留、公訴の提起その他の刑事事件に関する手続が行われたこと。
本人を少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第三条第一項に規定する少年又はその疑いのある者として、調査、観護の措置、審判、保護処分その他の少年の保護事件に関する手続が行われたこと。

過去問

第1回(追試)問126

クライエントに関する個人情報の扱い方について、適切なものを2つ選べ。
① 情報を共有してよい者の範囲をクライエントに確認する。
② 親族と名乗る人から電話で問合せを受け、クライエントの悩みを伝える。
③ 別の機関に勤める公認心理師にクライエントへの対応について相談する。
④ クライエントの情報が入ったファイルを誰でもアクセス可能な場所に保管する。
⑤ クライエントの情報を大学院の講義資料として配布するために個人が特定されないように加工する。

① 情報を共有してよい者の範囲をクライエントに確認する。
正しいです。

② 親族と名乗る人から電話で問合せを受け、クライエントの悩みを伝える。
間違いです。電話では親族かどうかの判断ができませんし、親族であっても個人情報は伝えてはいけません。

③ 別の機関に勤める公認心理師にクライエントへの対応について相談する。
間違いです。専門家間での情報共有は可能ですが、別機関となると不適切です。

④ クライエントの情報が入ったファイルを誰でもアクセス可能な場所に保管する。
間違いです。ダメです。

⑤ クライエントの情報を大学院の講義資料として配布するために個人が特定されないように加工する。
正しいです。

第2回 問126

クライエントに関する情報提供が秘密保持義務よりも優先される状況について、適切なものを2つ選べ。
① クライエントが虐待されていることが疑われる場合
② クライエントに直接関係ない専門家の研修会で事例として取り上げる場合
③ 成人のクライエントについて、一親等の家族から情報開示の請求がある場合
④ クライエントとの面接で、誹謗中傷される相手が特定できる可能性がある場合
⑤ クライエントが自分自身の精神状態や心理的な問題に関連して訴訟を起こし、その裁判所から要請がある場合

秘密保持義務の8つの例外に照らして考えると、選択肢①と選択肢⑤が正解です。

第4回 問78

公認心理師が担当する成人のクライエントに関する情報を、本人の同意なく開示することについて、秘密保持義務違反にあたるものはどれか、最も適切なものを1つ選べ。
① クライエントが友人に危害を加える可能性が高い場合当事者に知らせる。
② クライエントが1歳の娘の育児を放棄している場合、児童相談所に通報する。
③ 所属する医療チーム内でクライエントの主治医及び担当看護師と情報共有する。
④ クライアントが自殺を企図する可能性が高い場合、同居している保護者に連絡する。
⑤ 別居中の母親から音信不通で心配していると相談された場合、クライエントの居場所を教える。

秘密保持義務の8つの例外に照らして考えると、選択肢⑤が不適切なので正解です。
家族であっても本人の同意なく情報を開示してはいけません。

第4回 問109

医療関係者が患者から取得した個人情報の開示について、本人の同意を得る手続きが例外なく不要なものを1つ選べ。
① 財産の保護のために必要がある場合
② 公衆衛生の向上のために特に必要がある場合
③ 医療法に基づく立入検査など法令に基づく場合
④ 本人の生命、身体の保護のために必要がある場合
⑤ 児童の健全な育成の推進のために必要がある場合

① 財産の保護のために必要がある場合
間違いです。「本人の同意を得ることが困難であるとき」という条件付きです(個人情報保護法第16条第3項)

② 公衆衛生の向上のために特に必要がある場合
間違いです。

③ 医療法に基づく立入検査など法令に基づく場合
これが正解です。同様に刑事訴訟法第197条第2項に基づく照会についても本人の同意が例外なく不要です。

④ 本人の生命、身体の保護のために必要がある場合
間違いです。「本人の同意を得ることが困難であるとき」という条件付きです(個人情報保護法第16条第3項)

⑤ 児童の健全な育成の推進のために必要がある場合
間違いです。

第1回(追試)問42

要支援者等の個人情報とプライバシーの保護について、最も適切なものを1つ選べ。
① 心理的支援にあたって収集する情報は、すべて要配慮個人情報に該当する。
② 未成年者の支援事例について学会発表を行う場合、保護者の代諾を得るだけでよい。
③ 効果的な援助のためにプライバシー開示が必要な場合でも、要支援者に開示を強制してはならない。
④ どのような場合でも、要支援者本人の同意を得ることなく第三者に個人情報を提供してはならない。

① 心理的支援にあたって収集する情報は、すべて要配慮個人情報に該当する。
間違いです。すべて要配慮個人情報に該当するわけではなく、障害や逮捕歴などの情報に限定されます。

② 未成年者の支援事例について学会発表を行う場合、保護者の代諾を得るだけでよい。
間違いです。本人の承諾を得る努力をしなければなりません。

③ 効果的な援助のためにプライバシー開示が必要な場合でも、要支援者に開示を強制してはならない。
これが正解です。

④ どのような場合でも、要支援者本人の同意を得ることなく第三者に個人情報を提供してはならない。
間違いです。差し迫った生命の危険がある場合などは例外として個人情報を提供できます。

第3回 問78

公認心理師が、成人のクライエントの心理に関する情報を医療チームに提供する場合に事前に必要なものとして、正しいものを1つ選べ。
① 成年後見人の同意
② クライエント本人の同意
③ 医療チームが作成した手順書
④ ストレングス・アセスメント
⑤ シェアード・ディシジョン・メイキング

選択肢②が正解です。なによりも本人の同意が優先されます。成年後見人がいた場合でもです。
「シェアード・ディシジョン・メイキング」とは患者と治療者が、治療法などを一緒に決める共有意思決定のことです。

第4回 問51

個人情報保護について誤っているものを1つ選べ。
① 本人の同意があれば当該本人に関する個人データを第三者に提供できる。
② クライアントが公認心理師に対する信頼に基づいて打ち明けた事柄は個人情報に該当しない。
③ 個人情報には指紋やDNAの塩基配列など身体に固有の特徴を符号化したデータも含まれる。
④ 個人情報取扱事業者はその取り扱う個人データについて安全管理のために必要な措置を講じなければいけない。

選択肢②が誤りです。

次の記事

次は、公認心理師になるための実習について。

【公認心理師】実習
公認心理師になるために大学や大学院で学ぶ中で、実習に行きますね。実習は、行く側も受け入れる側も、とてもたいへんです。実習生は初めての実習先で緊張の連続、精神的にもかなり疲労するでしょう。事業所側は日々の支援に加えて...

コメント

  1. 岩井 より:

    いつも勉強させていただいています

    第4回 問78
    「秘密保持義務の8つの例外に照らして考えると、
    選択肢①が不適切なので正解です。
    家族であっても本人の同意なく情報を開示してはいけません。」
    の部分について、
    ① は ⑤ の誤記だと思われますが、いかがでしょう?

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