人間性心理学
1950年代に生まれた心理学の第三勢力「人間性心理学」では、病的状態の治療にだけでなく人間の正常で健康な側面を重視し、人のネガティブな面に枠組みを置くのではなく、可能性や成長、自己実現に研究の焦点を当ててきました。
欲求階層説のマズローや来談者中心療法のロジャーズが代表的な人物でしたね。
しかし、人間性心理学は、検証性や科学的な枠組みが乏しいと批判されていました。
そのような人間性心理学の検証性や科学性を補うため、科学的な枠組みを尊重するポジティブ心理学が生まれてきます。
ポジティブ心理学
マズローが人間性心理学の中で謳ったポジティブ心理学は、約半世紀経った1998年にアメリカ心理学会会長マーティン・セリグマンが提唱します。
マーティン・セリグマンと言えば「学習性無力感」ですね。
努力が結果に結びつかない体験が繰り返されると、人も動物も無気力になってしまうというものです。
セリグマンは、従来の心理学が対象とした精神疾患などのマイナス面ではなく、人間の強さや優れた機能を研究すべきだと考え、ウェルビーイング(心身ともに健康な生き方)を測定する構成要素「PERMA」を提唱しました。
P:Positive Emotion(ポジティブ感情)
E:Engagement(熱中、没頭)
R:Relationship(人間関係、関係性)
M:Meaning(人生の意味、仕事の意義)
A:Achievement(達成)
過去問
第1回 問23
学習性無力感はどのような体験が繰り返されることで生じるか。正しいものを1つ選べ。
① 他者から非難される体験
② 特定の課題を遂行する体験
③ 特定の行動を回避する体験
④ 努力が成果に結びつかない体験
⑤ 特定の場面での不安や緊張の体験
選択肢④が正解です。
第4回 問38
M.E.P.Seligman が提唱するPERMA のそれぞれの頭文字の意味として誤っているものを1つ選べ。
① P はポジティブな感情を表す
② E は力を獲得することを表す
③ R は他者との 良い関係を表す
④ M は生きる意味を表す
⑤ A は達成を表す
選択肢②が誤りです。「E」はEngagement(物事への積極的な関わり)のことです。
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引き続き、学習心理学です。
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