<お知らせ>

公認心理師国家試験の対策動画をアップしました。
全50動画で知識を補強しましょう。

カリスマチャンネル

【心理検査】日本版KABC-Ⅱ

KABC-Ⅱ 心理検査
スポンサーリンク

日本版KABC-Ⅱ(Kaufman Assessment Battery for Children Second Edition)は、WISC-Ⅳと並ぶ代表的な知能検査ツールで、認知能力だけでなく基礎学力を測定できる検査です。

アメリカのカウフマン博士夫妻(A.S.Kaufman&N.L.Kaufman)が発達障害や学習のつまずきが見られる子どもに向けて作成した知能検査です。

スポンサーリンク

2種類のモデル

以下の2種類の理論に基づいたモデルがあります。

ルリアの神経心理学理論(カウフマンモデル)

ルリアの神経心理学理論における脳の処理機能として、「認知能力」と「習得能力」を別に位置づけます。

習得能力は、認知能力を活用して環境から獲得した知識および読み・書き・算数といった基礎的学力のことです。

CHC理論

CHC(Cattell-Horn-Carroll theory)理論は、一般能力・広範的能力・限定的能力の3階層からなる心理測定学に基づく理論であり、日本版KABC-ⅡはCHCモデルの広範的能力10のうち7つの能力を測定します。

モデル 尺度 尺度 下位検査
カウフマンモデル 認知尺度 継次尺度 数唱、語の配列、手の動作
同時尺度 顔探し、絵の統合、近道さがし、模様の構成
学習尺度 語の学習、語の学習遅延
計画尺度 物語の完成、パターン推理
習得尺度 語彙尺度 表現語彙、なぞなぞ、理解語彙
読み尺度 言葉の読み、文の理解
書き尺度 言葉の書き、文の構成
算数尺度 数的推論、計算
CHCモデル CHC尺度 長期記憶と検索尺度 2個
短期記憶尺度 3個
視覚処理尺度 3個
流動性推理尺度 2個
結晶性能力尺度 3個
量的知識尺度 2個
読み書き尺度 4個

日本版と米国版の比較

日本版KABC-Ⅱは「日本版」とあるように「米国版」もあります。

どちらもルリアの神経心理学理論、CHC理論に基づいていますが、以下のような違いがあります。

比較してみましょう。

項目 日本版KABC-Ⅱ 米国版KABC-Ⅱ
理論 ルリアの神経心理学理論、CHC理論
適用年齢 2歳6か月~18歳11か月 3歳0か月~18歳11か月
認知尺度 学習能力、継時処理、同時処理、計算能力
習得尺度 語彙・読み・書き・算数 無し
非言語尺度 短期記憶、視覚処理、長期記憶と検索、流動性推理、結晶性能力、読み書き、算数 短期記憶、視覚処理、長期記憶と検索、流動性推理、結晶性能力
下位検査 20下位検査(基本検査のみ) 年齢に対応した基本検査+補助検査=18下位検査

日本語版の方は、非言語尺度として「読み書き」と「算数」が入っていますね。

英語版には習得尺度がありません。

対象年齢をWISC-Ⅳと比較しておきましょう。

KABC-ⅡもWISC-Ⅳも「C」は「Children」なので、児童用の検査です。

下の表にあるように、KABC-ⅡはWISC-ⅣとWPPSI-Ⅳの対象を足した範囲よりも大きいですね。

KABC

評価

継時尺度や同時尺度などの各尺度について、平均を100点として点数が算出されます。

過去問

第1回(追試)問122

KABC-Ⅱについて、正しいものを1つ選べ。
① 米国版KABC-Ⅱは習得度を測る尺度を設けている。
② 適用年齢は2歳6か月から 18歳11か月までである。
③ 日本版KABC-Ⅱは米国版の正確な翻訳版になっている。
④ 流動性推理と結晶性能力からなる認知尺度と、習得尺度との2尺度から構成される。

① 米国版KABC-Ⅱは習得度を測る尺度を設けている。
間違いです。日本版には習得尺度がありますが、米国版にはありません。

② 適用年齢は2歳6か月から18歳11か月までである。
これが正解、正しいです。

③ 日本版 KABC-Ⅱは米国版の正確な翻訳版になっている。
間違いです。日本版と米国版では、「適用年齢」「習得尺度」「非言語尺度」「CHC尺度」「下位検査」などの点で異なります。
例えば、適用年齢は日本版の下限が2歳6か月で、米国版に比べて半年早くから実施可能になっています。
選択肢①にもありますが、習得尺度の有無という点でも異なります。
ということで日本版は米国版の翻訳版ではありません。

④ 流動性推理と結晶性能力からなる認知尺度と、習得尺度との2尺度から構成される。
間違いです。認知尺度は流動性推理と結晶性能力だけではありません。
さらにカウフマンモデルでは認知尺度と習得尺度ですが、CHCモデルではCHC尺度があります。

次の記事

次は、「知能検査まとめ」です。

知能検査まとめ
知能検査は、ウェクスラー式知能検査、田中ビネー式知能検査、KABC-Ⅱの3つが重要です。「ウェクスラー式知能検査」はウェクスラー(D.Wechsler)「田中ビネー式知能検査」はビネー(A.Binet)「KABC-Ⅱ」はカウフマン夫...

コメント

タイトルとURLをコピーしました