内田クレペリン作業検査は、エミール・クレペリン(E.Kraepelin)が創案した「連続加算法」を内田勇三郎が取り入れ、作業検査法として完成させたものです。
ドイツの精神医学者であるクレペリンは、精神障害の分類として、統合失調症と躁鬱病の二大分類を提唱しました。昔の精神分裂病と呼ばれていた時代に統合失調症と変更されました。
内田クレペリン作業検査は、性格検査のなかでも投影法や質問紙法とは異なる「作業検査法」に属する検査法です。
入社試験などで受けられた方もいるでしょう。
ひたすら単純な計算をしていく検査です。
計算するので「知能検査」と思われがちですが、「性格検査」であることをしっかり覚えておきましょう。
入社試験で用いられるのは、知能を見たいのではなく、性格や人格を見たいのです。
検査方法
単純な計算をひたすら解いていきます。
「15分作業-5分休憩-15分作業」の流れで、1分毎に次の行に移ります。
評価方法
5因子
この検査では以下の5因子が大きく影響していると考えられます。
興奮:同一作業の進行につれて、その作業に没頭できるようになる状態
慣熟:短時間の作業への慣れ
練習:長時間の作業への慣れ
疲労:作業量を減少させるように働く
これら5因子を「曲線型」と「作業量」で評価します。
曲線型
各行にて計算された最後の数字同士を結んで出来た曲線の型(曲線型)を分析します。
定型曲線:特に休憩後の初頭努力があり、休憩効果があり、自然的調和的な型で異常傾向がない
準定型曲線:上記に次いで部分的に上記の特徴を欠き異常傾向を含まない
中間疑問型:正常・異常の両特徴が混在
劣等型:誤りも多くなく型も異常傾向を示さない
劣等異常型:異常傾向を含み作業量が僅少
疑異常型:平坦、落ち込み、動揺、誤りが多い
異常型:上記の異常型傾向が特に強い
作業量
作業量によって4~5段階で評価されます。
作業量が多ければ多いほど評価は高いです。
最後に
就職試験などでこの検査を受けて不合格になる人は、集中力が低い、計算スピードが遅い、余計なことを考えすぎてしまう、などの傾向がある人です。
この検査で合格したければ、集中力を養い、体調を万全にして臨みましょう。
とにかくたくさん答えること(作業量大)と、定型曲線(誤謬が少ない、初頭努力、休憩後の回復、動揺が少ない)を目指しましょう。
誤謬(ごびゅう)とは誤りのことです。
過去問
第1回(追試)問91
内田クレペリン精神作業検査の実施と解釈について、正しいものを1つ選べ。
① 練習効果は反映されない。
② 作業量の水準ではなく、偏りの有無に注目する。
③ 結果は、定型、A型、B型、C型、D型及びE型に分類される。
④ 作業速度の変化を示す作業曲線などから、被検者のパーソナリティを判定する。
⑤ 被検者は、ランダムに並んだ数字を、1分ごとに行を変え、30分間連続して加算する。
① 練習効果は反映されない。
間違いです。練習効果とは1回目より2回目の方が作業量が増加することですが、内田クレペリン作業検査では「練習」を含む5因子が大きく影響していると考えます。
② 作業量の水準ではなく、偏りの有無に注目する。
間違いです。「作業量の水準」は解釈に含めます。
「作業量」と「作業曲線」を元に解釈します。
③ 結果は、定型、A型、B型、C型、D型及びE型に分類される。
間違いです。A型~E型までタイプがあるのはYG性格検査です。
定型曲線、準定型、中間疑問型、劣等型、異常型など分類されます。
④ 作業速度の変化を示す作業曲線などから、被検者のパーソナリティを判定する。
正しいです。
⑤ 被検者は、ランダムに並んだ数字を、1分ごとに行を変え、30分間連続して加算する。
間違いです。「15分作業-5分休憩-15分作業」の流れなので、30分間連続して加算するわけではありません。
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ここまで性格検査の投影法、質問紙法、作業検査法と見てきましたので、性格検査のまとめをします。
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