TATとは
TAT(Thematic Apperception Test)は日本では「主題統覚検査」や「絵画統覚検査」と呼ばれる投影法による心理検査です。
投影法といえば、ロールシャッハテストやバウムテスト、PFスタディもそうでしたね。
「Apperception」は心理学用語で「統覚」と訳されますが、知覚を意味づける心の働きのことです。
TATは、1935年にモーガン(C.D.Morgan)とマレー(H.A.Murray)による「空想研究の一方法」という論文で紹介され、1943年にマレーが手法を完成させました。
「TAT」は泣き顔にしかみえません。
これと両手をついて謝る「m(__)m」を合体させて、泣きながら両手をついて謝る「m(TAT)m」。
この両手の「m」をモーガンとマレーの頭文字として覚えましょう。
公認心理師受験生の間では有名な覚え方のようです。
この検査は、マレーの「欲求-圧力理論」に基づいています。
これは、人間の欲求と外的な圧力とを二元論的に分けて考えようとする仮説で、パーソナリティを欲求と圧力の相互作用で捉えます。
検査方法
様々な場面が描かれた絵を見せて「絵を見て、その絵から思い浮かぶ物語を作って話してください」と伝えます。
絵は葛藤場面が描かれた30枚と白紙1枚の計31枚ありますが、検査者が30枚の絵から10数枚を選んで使用します。
原法では第一系列と第二系列という2回に分けて2日程かけて実施することになっていますが、実際はその通りにやることはほとんどなく、決められた順序やルールなどはありません。
ロールシャッハテストはもっと厳密でしたね。
分析・解釈方法
原法では欲求と圧力の程度を得点化していましたが、複雑で時間がかかる上に結果が直観的な解釈と変わらないので現在では原法でやることはほとんどありません。
結局、TATの分析解釈法については未だ体系化はされていないということです。
過去問
第1回 問115
TAT の実施と解釈について、正しいものを1つ選べ。
① 臨床場面での投影法検査として、L. Bellak による解釈法と分析法が標準である。
② 決められた順序に従って全ての図版を呈示することによって正確な解釈が得られる。
③ G. W. Allport が標準化した欲求−圧力分析による解釈法を基本に、被検者の対人関係の主題を読み取る。
④ 被検者には各図版を見てストーリーを構成することが求められるため、物語を通して主題を把握することが解釈において重視される。
① 臨床場面での投影法検査として、L. Bellak による解釈法と分析法が標準である。
間違いです。TATの解釈法は開発者であるマレーの理論があります。
ベラック(L. Bellak)は、CAT(子供用TAT)やSAT(高齢者用TAT)を作成した人です。
② 決められた順序に従って全ての図版を呈示することによって正確な解釈が得られる。
間違いです。現時点でTATには決められた順序や解釈法がありません。
③ G. W. Allport が標準化した欲求−圧力分析による解釈法を基本に、被検者の対人関係の主題を読み取る。
間違いです。「欲求−圧力分析」はオールポートではなく、マレーです。
④ 被検者には各図版を見てストーリーを構成することが求められるため、物語を通して主題を把握することが解釈において重視される。
正しいです。
次の記事
次は、性格検査の中でも投影法ではなく質問紙法である「MMPI」を取り上げます。
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