発達検査で覚えてほしいのは3つ、新版K式発達検査、遠城寺式乳幼児分析的発達検査、日本版デンバー式発達スクリーニング検査です。
新版K式発達検査は以下の記事で覚えてください。
K式は「京都式」でしたね。
ここでは、残り2つ「遠城寺式乳幼児分析的発達検査」、「日本版デンバー式発達スクリーニング検査」を見ていきましょう。
遠城寺式乳幼児分析的発達検査
遠城寺式乳幼児分析的発達検査は、九州大学附属病院の小児科医である遠城寺宗徳を中心に作成された、乳幼児の発達に関するスクリーニング検査です。
乳幼児の発達を以下の3つの分野(計6領域)から検査します。
・社会性:基本的習慣、対人関係
・言語:発語、言語理解
適用年齢は0か月から4歳8か月までで、1歳までは1か月ごとの12段階、1歳から1歳半までは2か月ごとの3段階、1歳半から3歳までは3か月ごとの6段階、3歳から4歳8か月までは4か月ごとの5段階に分けています。
6領域すべての検査項目について年齢ごとの通過率が示されており、例えば「移動運動」の問題「2~3歩歩く」については、1歳0か月~1歳1か月は通過率68.3%、1歳2か月~1歳3か月は89.5%、1歳4か月~1歳5か月は98.0%などとなっています。
それぞれの課題がどれくらいの年齢で達成できているべきかがわかるので、被検査者の発達段階がよくわかります。
日本版デンバー式発達スクリーニング検査
日本版デンバー式発達スクリーニング検査JDDST(Japanese Denver developmental screening test)は、アメリカで開発されたDDST(デンバー式発達スクリーニング検査)を基に、上田礼子らが日本版に標準化し1980年に公表したものです。
DDSTは1967年、アメリカのフランゲンバーグ(W.K.Frankenburg)とドッゾ(J.B.Dodds)が乳幼児の発達スクリーニング検査として、コロラド州デンバー市の乳幼児の検査結果を基に作成しました。
検査項目は以下の4領域(104項目)になります。
・微細運動-適応
・言語
・粗大運動
適用年齢は、生後16日から6歳までです。
心理検査の中でも0歳児から適用できるのはこれら発達検査くらいですので、そのような視点で覚えましょう。
過去問
第2回 問88
乳児院に一時保護された1歳半の幼児の認知・言語機能を評価する心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
① WPPSI-Ⅲ
② 日本語版KABC-Ⅱ
③ 田中ビネー知能検査Ⅴ
④ ベンダー・ゲシュタルト検査
⑤ 遠城寺式乳幼児分析的発達検査
① WPPSI-Ⅲ
間違いです。WPPSI-Ⅲの対象は2歳6か月から7歳3か月ですので対象外です。
② 日本語版KABC-Ⅱ
間違いです。KABC-Ⅱの対象は2歳6か月~18歳11か月ですので対象外です。
③ 田中ビネー知能検査Ⅴ
間違いです。田中ビネー知能検査Vの対象は2歳~成人ですので対象外です。
④ ベンダー・ゲシュタルト検査
間違いです。ベンダー・ゲシュタルト検査の対象は、児童用で5歳~10歳ですので対象外です。
⑤ 遠城寺式乳幼児分析的発達検査
これが正解です。遠城寺式乳幼児分析的発達検査は、乳幼児の発達について全般的に評価する検査で、対象は0歳~4歳8か月なので適用できます。
そもそも、①、②、③は知能検査なので、すぐに削除できなければなりませんね。
次の記事
ここまで、性格検査と発達検査を学んできました。
ここからは、神経心理学検査に入っていきます。
神経心理学検査は、知能、言語、認知などの高次脳機能に関する検査です。
まずは最も重要な「知能検査」から、その中でも最もメジャーな「ウェクスラー式知能検査」からスタートです。
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