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3障害(身体障害、知的障害、精神障害)

三障害 障害
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障害の定義

3障害と呼ばれる身体、知的、精神の障害について、以下のように定義されています。

障害 定義 根拠法
身体障害者 身体障害者手帳の交付を受けた者 身体障害者福祉法
知的障害者 定義なし
精神障害者

統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者

精神保健福祉法
発達障害者 発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により
日常生活又は社会生活に制限を受ける者
発達障害者支援法

知的障害者は定義がありません。

身体障害者は「身体障害者手帳の交付を受けた者」という手帳によって定義されています。

発達障害は精神障害に含まれます。

精神保健福祉法に規定されている精神障害者の入院形態について、リンク先の記事で学んでおきましょう。

手帳制度

以下のように3障害に対応した手帳があります。

身体障害者:身体障害者手帳
知的障害者:療育手帳
精神障害者:精神保健福祉手帳

この中で、療育手帳だけは根拠となる法律がありません。

知的障害は定義もなければ、療育手帳は根拠法もない、、、

発達障害

発達障害は精神障害に含まれ、ASD、ADHD、LDに分けられます。

発達障害

注意欠如多動症/注意欠如多動性障害(ADHD)

1.「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること
2.症状のいくつかが12歳以前より認められること
3.2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること
4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
5.その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと

ADHDは併存障害として「反抗挑戦性障害」を覚えておきましょう。これは親や教師など目上の人に対して拒絶的・反抗的な態度をとり、口論をしかけるなどの挑戦的な行動を起こしてしまう疾患です。

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)

DSM-5には以下のような診断基準が示されています。

1.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥があること
2.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上あること(情動的、反復的な身体の運動や会話、固執やこだわり、極めて限定され執着する興味、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ等)
3.発達早期から1,2の症状が存在していること
4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
5.これらの障害が、知的能力障害(知的障害)や全般性発達遅延ではうまく説明されないこと

ASDの併存障害としては知的障害が圧倒的に多く、ADHDとの併存もDSM-5では認められるようになりました。ASDもADHDも、男性の方が圧倒的に多いです。

学習障害(LD)

文部科学省のページには学習障害について以下のように書かれています。

学習障害とは、全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態をいいます。

過去問

第1回 問97

知的障害について、正しいものを1つ選べ。
① 成人期に発症する場合もある。
② 療育手帳は法律に規定されていない。
③ 療育手帳は18歳未満に対して発行される。
④ DSM-5では重症度を知能指数(IQ)で定めている。
⑤ 診断する際に生活全般への適応行動を評価する必要はない。

① 成人期に発症する場合もある。
誤りです。知的障害は、おおむね18歳までに発症するものであるとされています。

② 療育手帳は法律に規定されていない。
正しいです。療育手帳は都道府県知事が交付します。

③ 療育手帳は18歳未満に対して発行される。
誤りです。療育手帳に年齢制限はありません。

④ DSM-5では重症度を知能指数(IQ)で定めている。
誤りです。DSM-5では、知能指数〈IQ〉と日常生活への支障が考慮された重症度が定められています。

⑤ 診断する際に生活全般への適応行動を評価する必要はない。
誤りです。評価します。

第2回 問132

知的障害のある子どもへの対応方針について、適切なものを2つ選べ。
① 失敗体験を積み重ねて失敗に慣れさせる。
② スモールステップでできることを増やす。
③ 得意な面よりも苦手な面を優先して指導する。
④ 社会生活に必要な技能や習慣を身に付けさせる。
⑤ 具体的な活動よりも抽象的な内容の理解を重視する。

選択肢②と④が適切です。

第1回(追試) 問88

DSM-5に記載されている知的能力障害について、正しいものを1つ選べ。
① 幼少期までの間に発症する。
② 有病率は年齢によって変動しない。
③ IQが平均値より1標準偏差以上低い。
④ 知的機能と適応機能に問題が見られる。
⑤ 重症度は主にIQの値によって決められる。

① 幼少期までの間に発症する。
間違いです。幼少期までではなく18歳までです。

② 有病率は年齢によって変動しない。
間違いです。有病率は年齢によって変動します。

③ IQが平均値より1標準偏差以上低い。
間違いです。DSM-5ではIQの基準が廃止されています。
ICD-10ではIQの基準が残っていますが。

④ 知的機能と適応機能に問題が見られる。
これが正解です。

⑤ 重症度は主にIQの値によって決められる。
間違いです。DSM-5ではIQの基準が廃止されています。

第1回(追試)問87

聴覚障害について、正しいものを1つ選べ。
① 伝音難聴は内耳の疾患によって生じる。
② 日本手話には日本語に対応した文法と単語がある。
③ 人工内耳植込術後、速やかに聴力の改善がみられる。
④ 発音指導は教育課程において自立活動の領域で行われる。
⑤ 補聴器で音の聞き分けが改善しやすいのは感音難聴である。

① 伝音難聴は内耳の疾患によって生じる。
誤りです。伝音難聴は、外耳又は中耳の疾患によって生じます。

② 日本手話には日本語に対応した文法と単語がある。
誤りです。手話には「日本語対応手話」と「日本手話」の2種類あります。

日本語対応手話:ピジン言語(現地人と貿易商人などの外国語を話す人々との間で異言語間の意思疎通のために互換性のある代替単語で自然に作られた接触言語)なので日本語に対応した文法と単語
日本手話:クレオール言語(意思疎通ができない異なる言語の商人らなどの間で自然に作り上げられた言語(ピジン言語)が、その話者達の子供たちの世代で母語として話されるようになった言語のこと)なので、日本語とは全く異なる文法等の体系

③ 人工内耳植込術後、速やかに聴力の改善がみられる。
誤りです。術後はリハビリによって徐々に回復していきます。

④ 発音指導は教育課程において自立活動の領域で行われる。
正しいです。

⑤ 補聴器で音の聞き分けが改善しやすいのは感音難聴である。
誤りです。
感音難聴:内耳(蝸牛と有毛細胞)が正常に機能していない→補聴器の効果が小さい
伝音難聴:中耳(耳小骨と鼓膜を含む)が正常に機能していない→補聴器の効果が大きい

第1回 問32 

注意欠如多動症/注意欠如多動性障害<AD/HD>の診断や行動特徴として、不適切なものを1つ選べ。
① 女性は男性よりも主に不注意の行動特徴を示す傾向がある。
② 診断には、複数の状況で症状が存在することが必要である。
③ 診断には、いくつかの症状が12歳になる以前から存在している必要がある。
④ 診断には、不注意、多動及び衝動性の3タイプの行動特徴を有することが必要である。
⑤ DSMー5では、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害<ASD>の診断に併記することができる。

① 女性は男性よりも主に不注意の行動特徴を示す傾向がある。
正しいです。ADHDは女性より男性の方が数倍も多いとされていますが、女性の場合は多動性が少なく不注意が優勢であり攻撃的・反抗的な特徴が控えめな傾向があるため、気付かれていないだけという指摘があります。

② 診断には、複数の状況で症状が存在することが必要である。
正しいです。DSM-5では「不注意、多動性/衝動性の症状のいくつかは2つ以上の環境(家庭・学校・職場・社交場面など)で存在している」という基準があります。

③ 診断には、いくつかの症状が12歳になる以前から存在している必要がある。
正しいです。DSM-5には「不注意または多動性―衝動性の症状のうちいくつかが12歳になる前から存在していた」という基準があります。

④ 診断には、不注意、多動及び衝動性の3タイプの行動特徴を有することが必要である。
誤りです。3つの行動特徴を有することが必要ではありません。

⑤ DSMー5では、自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害<ASD>の診断に併記することができる。
正しいです。DSM-5ではASDの診断に併記することができます。

第1回 問45

発達障害及びその支援について、正しいものを1つ選べ。
① 療育手帳を取得することはできない。
② 精神障害者保健福祉手帳を取得することはできない。
③ 発達障害者支援センターの役割に診断は含まれない。
④ 発達障害者支援法では注意欠如多動症/注意欠如多動性障害(AD/HD)は支援の対象に含まれない。

① 療育手帳を取得することはできない。
誤りです。発達障害でも療育手帳を取得できます。

② 精神障害者保健福祉手帳を取得することはできない。
誤りです。発達障害でも精神保健福祉手帳を取得できます。

③ 発達障害者支援センターの役割に診断は含まれない。
正しいです

④ 発達障害者支援法では注意欠如多動症/注意欠如多動性障害(AD/HD)は支援の対象に含まれない。
誤りです。ADHDも含まれます。

第1回 問91

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の基本的な特徴として、最も適切なものを1つ選べ。
① 場面緘黙
② ひきこもり
③ ディスレクシア
④ 言葉の発達の遅れ
⑤ 通常の会話のやりとりの困難

選択肢⑤が正解です。ASDはコミュニケーションの障害です。

ディスクレシアはDSM-5の限局性学習障害に該当します。

第2回 問15

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の特性のうち「中枢性統合の弱さ」として説明できるのは次のうちどれか、正しいものを1つ選べ。
① 特定の物音に過敏に反応する。
② 他者の考えを読み取ることが難しい。
③ 目標に向けて計画的に行動することが難しい。
④ 細部にとらわれ大局的に判断することが難しい。
⑤ 状況の変化に応じて行動を切り替えることが難しい。

① 特定の物音に過敏に反応する。
誤りです。これは感覚の過敏性です。

② 他者の考えを読み取ることが難しい。
誤りです。これは「心の理論」の障害です。

③ 目標に向けて計画的に行動することが難しい。
誤りです。これは実行機能の障害です。

④ 細部にとらわれ大局的に判断することが難しい。
これが正解です。

⑤ 状況の変化に応じて行動を切り替えることが難しい。
誤りです。これは実行機能の障害です。

第1回 問132

注意欠如多動症/注意欠如多動性障害(AD/HD)の併存障害について、正しいものを2つ選べ。
① 環境調整と薬物療法とを考慮する。
② 成人期にしばしばうつ病を併存する。
③ 養育環境は併存障害の発症に関係しない。
④ 自尊感情の高低は併存障害の発症に関係しない。
⑤ 児童期に反抗挑戦性障害を併存することは少ない。

① 環境調整と薬物療法とを考慮する。
正しいです。

② 成人期にしばしばうつ病を併存する。
正しいです。

③ 養育環境は併存障害の発症に関係しない。
誤りです。「関係しない」と断定できるわけがありません。

④ 自尊感情の高低は併存障害の発症に関係しない。
誤りです。「関係しない」と断定できるわけがありません。

⑤ 児童期に反抗挑戦性障害を併存することは少ない。
誤りです。ADHDと反抗挑戦性障害は高確率で併存します。

第2回 問91

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)について、正しいものを1つ選べ。
① 男性よりも女性に多い。
② 知的障害を伴うことはない。
③ 精神障害者保健福祉手帳の対象ではない。
④ 放課後デイサービスの給付対象ではない。
⑤ 感覚過敏は DSM-5の診断基準の中に含まれている。

① 男性よりも女性に多い。
誤りです。女性より男性の方が数倍多いです。

② 知的障害を伴うことはない。
誤りです。知的障害を伴うことが多いです。

③ 精神障害者保健福祉手帳の対象ではない。
誤りです。精神障害者保健福祉手帳の対象です。

④ 放課後デイサービスの給付対象ではない。
誤りです。

⑤ 感覚過敏は DSM-5の診断基準の中に含まれている。
正しいです。

第2回 問93

注意欠如多動症/注意欠如多動性障害(AD/HD)の二次障害について、正しいものを1つ選べ。
① 素行障害が出現しやすい。
② 気分障害の合併率は5%以下である。
③ ペアレント・トレーニングは効果がない。
④ 精神分析的心理療法は治療の第一選択である。
⑤ 養育環境は二次障害の発症や程度に影響しない。

① 素行障害が出現しやすい。
正しいです。

② 気分障害の合併率は5%以下である。
誤りです。

③ ペアレント・トレーニングは効果がない。
誤りです。ペアレント・トレーニングは特にADHDに効果があります。

④ 精神分析的心理療法は治療の第一選択である。
誤りです。

⑤ 養育環境は二次障害の発症や程度に影響しない。
誤りです。

第3回 問121

発達障害者支援法について、不適切なものを1つ選べ。
① 発達支援には、医療的援助も含まれる。
② 支援対象には、18 歳未満の者も含まれる。
③ 支援対象には、発達障害者の家族も含まれる。
④ 国の責務の他に、地方公共団体の責務も定められている。
⑤ 支援は、個々の発達障害者の性別、年齢及び障害の状態に関係なく、一律に行う。

選択肢⑤が不適切です。障害に応じた支援を行います。

第4回 問119

学習障害について誤っているものを1つ選べ。
① 特別支援教育の対象とされている。
② 特定の領域の学業成績が低くなりやすい。
③ 計画の立案が困難であることにより特徴づけられる。
④ 必要に応じて頭部画像検査などの中枢神経系の検査が用いられる。
⑤ 聞く、話す、読む、 計算する、または推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す。

① 特別支援教育の対象とされている。
正しいです。2006年の学校教育法施行規則の改正によりLDとADHDが対象に含まれました。

② 特定の領域の学業成績が低くなりやすい。
正しいです。算数だけとか国語だけとか。

③ 計画の立案が困難であることにより特徴づけられる。
誤りです。これは遂行機能障害です。

④ 必要に応じて頭部画像検査などの中枢神経系の検査が用いられる。
正しいです。

⑤ 聞く、話す、読む、計算する、または推論する能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す。
正しいです。

第1回 問61

10歳の女児A、小学4年生。
小学校への行きしぶりがあり、母親に伴われて教育相談室に来室した。
母親によると、Aは学習にも意欲的で、友達ともよく遊んでいる。
母親をよく手伝い、食前に食器を並べることは必ず行うので感心している
幼児期は泣くことも要求も少ない、手のかからない子どもだった。
Aに聞くと、音読が苦手であり、予習はするが授業中うまく音読ができず、緊張して瞬きが多くなり、最近では家でも頻繁に瞬きをしてしまうという。
また「友達には合わせているが、本当は話題が合わない」と話す。
Aの見立てと対応として、最も適切なものを1つ選べ。
① チック症状がみられるため、専門医への受診を勧める。
② うつ状態が考えられるため、ゆっくり休ませるよう指導する。
③ 発達障害の重複が考えられるため、多面的なアセスメントを行う。
④ 発達障害が考えられるため、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を行う。
⑤ 限局性学習症/限局性学習障害(SLD)が考えられるため、適切な学習方法を見つける。

チック症状がみられるため、専門医への受診を勧める。
間違いです。事例だけの情報ではチック症状とも言えません。

うつ状態が考えられるため、ゆっくり休ませるよう指導する。
間違いです。うつ状態とは考えにくいです。

発達障害の重複が考えられるため、多面的なアセスメントを行う。
これが正解です。

発達障害が考えられるため、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を行う。
時期尚早です。

⑤ 限局性学習症/限局性学習障害(SLD)が考えられるため、適切な学習方法を見つける。
時期尚早です。

次の記事

次は、障害福祉で重要な理念である「合理的配慮」について。

【合理的配慮】障害者基本法、障害者差別解消法
国連障害者権利条約に規定されている「合理的配慮」を、障害者基本法や障害者差別解消法に盛り込むことで、日本は同条約の批准に至りました。2006年 「国連障害者権利条約」採択@国連2011年 「障害者基本法」改正(合理的配慮)@日本20...

コメント

  1. 岩井 より:

    コンテンツの精力的なアップロード、
    ありがとうございます

    細かいことですが、
    第1回 問61 の引用文、
    「食前に食器を並べることは必ず行うので関心している」
    について、
    心理研修センターのpdf問題文では
    「感心」になっています

    ご確認いただければ幸いです

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