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【道徳心の発達理論】ピアジェ、コールバーグ、セルマン

道徳性の発達理論 発達
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他律的道徳&自律的道徳 by ピアジェ

ピアジェ(J.Piaget)は、発達の4段階を示しましたが、道徳心にも発達段階があるとし、8~10歳前後に「他律的道徳」の段階から「自律的道徳」の段階に移行すると考えました。

他律的道徳とは他者のルールに従うこと、自律的道徳とは自分自身のルールに従うことです。

他律的道徳観(5~9歳)

この段階の子どもは、他人の作ったルールや法律に従い、それらのルールは絶対に変えられないものだと思っており、ルールを破ると厳しい罰を受けなければならないと信じています。

行動の意図よりも結果を重視して善悪を判断するので、例えば親が掃除するのを手伝っているときに掃除機を壊してしまった場合と、ふざけていて掃除機を壊してしまった場合で、どちらも善悪の程度は変わらないと考えます。

自律的道徳観(9~10歳)

この段階の子どもは、絶対的な善悪は存在しないことを理解し他人の視点からも考えられるようになりますので、行動の結果だけでなく意図も考慮して判断するようになります。

道徳性の発達段階 by コールバーグ

ローレンス・コールバーグ(L.Kohlberg)は、人間の道徳が、段階的に発達すると捉える「道徳性の発達理論」を提唱しています。

「道徳性の発達理論」では、人間の善悪の判断を3つのレベルと6つのステージに分けて捉えています。

水準 ステージ 名称 内容
前習慣的水準 ステージ1 罰と服従への志向性 他人から罰せられるかどうか
ステージ2 報酬と取引への志向性 自分の利益が守られるかどうか
習慣的水準 ステージ3 対人的同調への志向性 他人から好かれるかどうか
ステージ4 法と秩序の志向性 与えられた規則に合っているかどうか
脱習慣的水準 ステージ5 社会的契約の志向性 関係者と合理的に定められたルールかどうか
ステージ6 普遍的な倫理的原理の志向性 普遍的な良心にもとづくかどうか

役割取得 by セルマン

セルマン(R.L.Selman)の「役割取得」は道徳心の発達段階を示したもので、思いやりの心を「役割取得能力」の発達という視点から考察しています。

「役割取得能力」とは、自分の気持ちや考えだけでなく他者の立場に立ってその人の考えや気持ちを推し量り、それを受け入れ調整してそれらを対人交渉能力に活かす能力のことです。

段階0:自己中心的役割取得(3~5歳)

自己中心的役割取得の段階では、自分と他者の視点を区別することが難しいです。

段階1:主観的役割取得(5~9歳)

主観的役割取得の段階は、泣く、笑うなどはっきりした手がかりがあると、相手の気持ちを判断することができるが、表面的な行動から感情を予測しがちです。

段階2:自己内省的役割取得(7~12歳)

自己内省的役割取得の段階は、人はそれぞれ違った感情を持ったり異なった考え方を持つことが理解でき、他人の視点に立って考えることができます。

段階3:相互役割取得(10~15歳)

相互役割取得の段階では、第三者の視点をとることができ、自分を客観的に見ることができます。

段階4:象徴的相互交渉の役割取得(12歳~大人)

象徴的相互交渉の役割取得の段階では、自分がいろいろな社会的カテゴリーに属していることが理解できます。

過去問

第2回 問85

R.L.Selman による役割取得(社会的視点取得)の発達段階のうち、自他の視点の両方を考慮する第三者的視点をとれるようになる段階として、正しいものを1つ選べ。
① 相互役割取得の段階
② 主観的役割取得の段階
③ 自己中心的役割取得の段階
④ 自己内省的役割取得の段階
⑤ 象徴的相互交渉の役割取得の段階

選択肢①が正解です。
③→②→④→①→⑤の順番です。

第4回 問91

L.Kohlberg の道徳性の発達理論において、”近所のおばあさんはいつもお菓子をくれるから良い人である” という判断に該当する発達段階として、適切なものを1つ選べ。
① 法と秩序の志向性
② 社会的契約の志向性
③ 罰と服従への志向性
④ 対人的同調への志向性
⑤ 報酬と取引への志向性

これはステージ2「報酬と取引への志向性」なので選択肢⑤が正解です。

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