スティグマとは、社会的に個人に押し付けられた負のレッテルのことです。
スティグマはギリシア語に由来し、牛や奴隷に焼きつけられた刻印のことです。
スティグマは、社会的スティグマとセルフスティグマに分類できます。
社会的スティグマ
社会的スティグマとは、「普通」と異なるために差別や偏見の対象として使われる属性やそれに伴う負のイメージのことです。
社会的スティグマは特定の文化、人種、ジェンダー、知能、健康、障害、社会階級、また生活様式などと関連することが多いです。
コリガンのモデル
精神障害者のスティグマに関するコリガン(P.W.Corrigan)らのモデルでは、精神疾患全般に対するスティグマを、認知・感情・行動の3要因に分類しています。
・感情的側面:不安や恐怖の感情を抱く
・行動的側面:精神障害者を避ける
自尊感情とスティグマ
自尊感情とスティグマには負の相関があります。
自尊感情が低い人ほど、スティグマが強い傾向があります。
セルフスティグマ
セルフスティグマ(自己スティグマ)は、社会的スティグマによって、当事者やそのご家族自身が持つ劣等感のようなものです。
セルフスティグマを軽減するために当事者自身やその家族が体験を語るアンチスティグマ活動などがあります。
潜在的スティグマ
スティグマには、自分自身で気付かない潜在的スティグマがあり、「IAT(Implicit Association Test):潜在連合テスト」などで潜在的なスティグマを評価することができます。
この検査では、人が潜在的に持っている態度を測ることができ、差別や偏見など社会的に望ましくない表出しにくい態度もわかります。
②評価対象を画面上で分類していく(「とんぼ」を「虫ー不快な」に分類する等)
③言葉の組み合わせが無意識下で強く連合する場合にはスムーズに分類ができる
IATでは、反応する時間を測定し、その時間が短いほど概念間の連合が強いと判断します。
スティグマやステレオタイプのような社会的にセンシティブな態度の測定に使用できます。
過去問
第1回(追試)問41
精神障害に対するスティグマ(差別、偏見)について、正しいものを1つ選べ。
① セルフスティグマを軽減する方法はない。
② 社会的スティグマは認知的側面と感情的側面の2つから構成される。
③ 社会的スティグマの強さと当事者の自尊感情との間には正の相関がある。
④ 対象への反応時間を測定することにより潜在的なスティグマが評価できる。
① セルフスティグマを軽減する方法はない。
間違いです。セルフスティグマを軽減するために当事者自身やその家族が体験を語るアンチスティグマ活動などがあります。
② 社会的スティグマは認知的側面と感情的側面の2つから構成される。
間違いです。コリガンのモデルでは、認知的側面、感情的側面、行動的側面の3つから構成されます。
③ 社会的スティグマの強さと当事者の自尊感情との間には正の相関がある。
間違いです。スティグマと自尊感情には負の相関があります。
④ 対象への反応時間を測定することにより潜在的なスティグマが評価できる。
正しいです。IATなどで検査できます。
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次は、生物心理社会モデルです。
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