DSMとは
DSMとはアメリカの精神医学会が出版している「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders=精神疾患の診断・統計マニュアル」のことです。
統合失調症やうつ病など様々な精神疾患の診断基準が示されています。
詳細は以下のページで。
神経発達症群/神経発達障害群
ここでは、国家試験に頻出の神経発達障害群だけ見ていきましょう。
知的障害、自閉スペクトラム症、ADHDなどが該当します。
知的能力障害群
この群は以下のような知的能力障害が該当します。
・全般性発達遅延
・特定不能の知的能力障害
コミュニケーション症群
・語音症
・小児期発症流暢症(吃音)
・社会的コミュニケーション症
・特定不能のコミュニケーション症
自閉スペクトラム症
注意欠如・多動症
限局性学習症
運動症群
・情動運動症
・チック症群
チック症なんかも神経発達障害群に含まれるんですね。
過去問
第3回 問88
精神疾患の診断・統計マニュアル改訂第5版DSM-5について、正しいものを1つ選べ。
① 機能の全体的評価を含む多軸診断を採用している。
② 次元モデルに基づく横断的症状尺度が導入されている。
③ 強迫症/強迫性障害は、不安症群/不安障害群に分類される。
④ 生活機能を心身機能・身体構造、活動及び参加の要素で捉えている。
⑤ 分離不安症/分離不安障害は、「通常、幼児期、小児期または青年期に初めて診断される障害」に分類される。
① 機能の全体的評価を含む多軸診断を採用している。
誤りです。多軸診断ではなく多元的診断です。
② 次元モデルに基づく横断的症状尺度が導入されている。
正しいです。
③ 強迫症/強迫性障害は、不安症群/不安障害群に分類される。
誤りです。DSM-5に改定された際に「強迫症および関連症群/強迫性障害および関連障害群」というカテゴリーが設けられ、不安障害群からは分離されました。
④ 生活機能を心身機能・身体構造、活動及び参加の要素で捉えている。
誤りです。これはICFの内容です。
⑤ 分離不安症/分離不安障害は、「通常、幼児期、小児期または青年期に初めて診断される障害」に分類される。
誤りです。DSM-5に改訂された際に「通常、幼児期、小児期または青年期に初めて診断される障害」は解体され「神経発達症群/神経発達障害群」等を創設して分類されたので、精神遅滞、学習障害、広汎性発達障害などはこちらに分類されました。
第1回(追試)問52
DSM-5の神経発達症群/神経発達障害群について、正しいものを2つ選べ。
① 選択性緘黙が含まれる。
② 典型的には発達早期に明らかとなる。
③ 知的障害を伴わない発達障害のグループである。
④ 異なる神経発達症が併発することはほとんどない。
⑤ 発達の里程標への到達の遅れだけでなく、過剰な兆候も含まれる。
① 選択性緘黙が含まれる。
誤りです。選択性緘黙は「不安症群/不安障害群」に含まれます。
② 典型的には発達早期に明らかとなる。
正しいです。
③ 知的障害を伴わない発達障害のグループである。
誤りです。「知的能力障害群」が含まれます。
④ 異なる神経発達症が併発することはほとんどない。
誤りです。知的障害と自閉スペクトラム症の併発はしばしば起こります。
⑤ 発達の里程標への到達の遅れだけでなく、過剰な兆候も含まれる。
正しいです。
第4回 問13
DSM-5の神経発達症群/神経発達障害群に分類される障害として、正しいものを1つ選べ。
① 素行症/素行障害
② 脱抑制型対人交流障害
③ 神経性やせ症/神経性無食欲症
④ 解離性同一症/解離性同一性障害
⑤ 発達性協調運動症/発達性協調運動障害
① 素行症/素行障害
誤りです。秩序破壊的・衝動制御・素行症群です。
② 脱抑制型対人交流障害
誤りです。脱抑制型対人交流障害は愛着障害の一種で、心的外傷・ストレス因関連障害群です。
③ 神経性やせ症/神経性無食欲症
誤りです。食行動障害・摂食障害群です。
④ 解離性同一症/解離性同一性障害
誤りです。解離症群です。
⑤ 発達性協調運動症/発達性協調運動障害
これが正解です。
第1回(追試)問88
DSM-5に記載されている知的能力障害について、正しいものを1つ選べ。
① 幼少期までの間に発症する。
② 有病率は年齢によって変動しない。
③ IQが平均値より1標準偏差以上低い。
④ 知的機能と適応機能に問題がみられる。
⑤ 重症度は主にIQの値によって決められる。
① 幼少期までの間に発症する。
誤りです。「知的能力障害(知的発達症)は、発達期に発症し、概念的、社会的、および実用的な領域における知的機能と適応機能両面の欠陥を含む障害である」とされていますので幼少期までに発症するとはなっていません。
② 有病率は年齢によって変動しない。
誤りです。知的能力障害はなくなることはなく診断されればずっと知的障害となるので、有病率は年齢とともに上がっていくと考えられます。
③ IQが平均値より1標準偏差以上低い。
誤りです。1標準偏差ではなく2標準偏差です。
1標準偏差だと約68%、2標準偏差だと約95%が含まれます。
④ 知的機能と適応機能に問題がみられる。
正しいです。「知的能力障害(知的発達症)は、発達期に発症し、概念的、社会的、および実用的な領域における知的機能と適応機能両面の欠陥を含む障害である」とされています。
⑤ 重症度は主にIQの値によって決められる。
誤りです。DSM-4-TRではIQによって重症度を判定していましたが、DSM-5では「概念的領域」「社会的領域」「実用的領域」から、軽度・中等度・重度・最重度に重症度を分けます。
第4回 問14
DSM-5の心的外傷およびストレス関連症候群に分類される障害として正しいものを1つ選べ。
① 適応障害
② ためこみ症
③ 病気不安症
④ 強迫症 / 強迫性障害
⑤ 分離不安症 / 分離不安障害
① 適応障害
これが正解です。
② ためこみ症
誤りです。これは強迫症群です。
③ 病気不安症
誤りです。これは不安症群です。
④ 強迫症 / 強迫性障害
誤りです。これは強迫症群です。
⑤ 分離不安症 / 分離不安障害
誤りです。これは不安症群です。
第4回 問126
DSM-5の急性ストレス障害〈Acute Stress Disorder〉について、正しいものを1つ選べ。
① 主な症状の1つに、周囲または自分自身の現実が変容した感覚がある。
② 心的外傷的出来事は、直接体験に限られ、他者に生じた出来事の目撃は除外される。
③ 6歳以下の場合、死や暴力、性被害などの心的外傷体験がなくても発症することがある。
④ 心的外傷的出来事の体験後、2週間以上症状が持続した場合は心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉に診断を切り替える。
① 主な症状の1つに、周囲または自分自身の現実が変容した感覚がある。
正しいです。
② 心的外傷的出来事は、直接体験に限られ、他者に生じた出来事の目撃は除外される。
誤りです。目撃も含まれます。
③ 6歳以下の場合、死や暴力、性被害などの心的外傷体験がなくても発症することがある。
誤りです。急性ストレス障害については年齢で区切られていません。
PTSDでは6歳以下で区切られています。
④ 心的外傷的出来事の体験後、2週間以上症状が持続した場合は心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉に診断を切り替える。
誤りです。PTSDに切り替えるのは4週間以上症状が持続した場合です。
次の記事
次は、生活習慣病について。
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