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【PTSD】心的外傷後ストレス障害、二次的外傷性ストレス

PTSD 人体&疾患
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PTSD

厚生労働省のページによると、「PTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)は次のように定義されています。

「死の危険に直面した後、その体験の記憶が自分の意志とは関係なくフラッシュバックのように思い出されたり、悪夢に見たりすることが続き、不安や緊張が高まったり、辛さのあまり現実感がなくなったりする状態」

診断

以下の場合にPTSDと診断されます。

・外傷的出来事を直接または間接的に体験したことがある
・症状が1カ月以上続いている
・症状が重大な苦痛を引き起こしているか、日常生活に大きな支障をきたしている
・心的外傷後ストレス障害に関連する各カテゴリーの症状(侵入症状、回避症状、思考や気分に対する悪影響、覚醒レベルと反応の変化)がいくつか認められる

症状が1カ月以上続いているとPTSD、症状が1か月以上続かない場合は「急性ストレス障害」になります。

症状

PTSDの症状として以下の4種類を覚えておきましょう。

・侵入症状(トラウマ的出来事が頭の中に入り込んでくるように繰り返しよみがえり、制御することができない)
・回避症状(トラウマ的出来事を思い出させるあらゆる物事の回避)
・認知と気分の陰性変化
・覚醒度と反応性の変化

「認知と気分の陰性変化」は、持続的で過剰に否定的な信念を持つようになったり、様々なことに関心や興味を持てなくなったり、以前は楽しめていたことが楽しめなくなったり、他者から孤立していると感じたり、幸福感や優しさなどの感情が持てなくなったり・・・
「覚醒度と反応性の変化」は、いつも気持ちが張り詰め、ドキドキしたり、物音にひどく驚いたり、怒りっぽくなったりします。

治療法

EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)は、シャピロ(F.Shapiro)が発表したPTSDや解離性障害などのトラウマに関連する精神障害の治療のために開発された心理療法です。

トラウマ場面を頭に思い浮かべながらカウンセラーが指を左右にリズミカルに振るのに合わせて目で追いかけるという作業を繰り返します。

トラウマが比較的短期間で解消されるというカウンセリング技法として知られています。

二次的外傷性ストレス

命の危険があるような体験をした人たちと日常的に接することは、支援をする人たちにとってもストレスを感じることになります。

これを専門用語では、「援助者の二次的外傷性ストレス(Secondary Traumatic Stress=STS)」と呼びます。

過去問

第1回 問153

28歳の女性A、会社員。
Aは、3か月前に夜遅く一人で歩いていたところ、強制性交等罪(強姦)の被害に遭った。
その後、気がつくと事件のことを考えており、いらいらしてささいなことで怒るようになった。
仕事にも集中できずミスが目立つようになり、上司から心配されるまでになった。
「自分はどうして事件に巻き込まれたのか。こんな私だから事件に遭ったのだろう。
後ろから足音が聞こえてくると怖くなる。
上司も私を襲ってくるかもしれない」と思うようになった。
Aに認められていない症状として、正しいものを1つ選べ。
① 侵入症状
② 回避症状
③ 覚醒度と反応性の変化
④ 認知と気分の陰性変化

事例からPTSDの症状が伺えます。
PDSDで見られる症状が選択肢に4つ記載されています。

① 侵入症状
「気がつくと事件のことを考えており」が侵入症状です。

② 回避症状
これが正解です。回避症状とは、トラウマを思い出させる物事(活動、状況、人物)を執拗に避ける症状です。

③ 覚醒度と反応性の変化
「いらいらしてささいなことで怒る」が覚醒度と反応性の変化です。

④ 認知と気分の陰性変化
「こんな私だから事件に遭ったのだろう。後ろから足音が聞こえてくると怖くなる。上司も私を襲ってくるかもしれない」が認知と気分の陰性変化です。

第1回(追試)問117

心的外傷後ストレス障害(PTSD)について、誤っているものを1つ選べ。
① うつ病やアルコールの問題を合併することがある。
② 自分自身や他者への非難につながる、出来事の原因や結果についての持続的で歪んだ認識を持つことがある。
③ 私が悪い、誰も信用できない、いつまた被害に遭うか分からないといった、否定的な信念や予想が含まれる。
④ 一定期間が経過しても自然軽快しない場合には、トラウマに焦点を当てた認知行動療法や EMDR などの実施を検討する。
⑤ 日常的に行われる家庭内暴力(DV)や虐待などによって生じるものは含めず、災害、犯罪、交通事故などの単回の出来事によって生じるものをいう。

選択肢⑤が誤りです。

第2回 問22

DSM-5の心的外傷後ストレス障害(PTSD)について、正しいものを1つ選べ。
① 児童虐待との関連は認められない。
② 症状が1か月以上続いている必要がある。
③ 診断の必須項目として抑うつ症状がある。
④ 眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)の治療効果はない。
⑤ 心的外傷の原因となる出来事は文化的背景によって異なることはない。

① 児童虐待との関連は認められない。
誤りです。認められます。

② 症状が1か月以上続いている必要がある。
正しいです。

③ 診断の必須項目として抑うつ症状がある。
誤りです。診断項目として抑うつ症状はありません。

④ 眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)の治療効果はない。
誤りです。EMDRはPTSDの心理療法です。

⑤ 心的外傷の原因となる出来事は文化的背景によって異なることはない。
誤りです。文化的背景によって異なります。

第3回 問54

トラウマや心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連するものとして、適切なものを2つ選べ。
① PTSDの生涯有病率は、男性の方が高い。
② PTSD関連症状に、薬物療法は無効である。
③心的外傷的出来事による身体的影響は少ない。
④ 治療開始の基本は、クライエントの生活の安全が保障されていることである。
⑤ 複雑性 PTSD は、複数の、又は長期間にわたる心的外傷的出来事への暴露に関連する、より広範囲の症状を示す。

① PTSDの生涯有病率は、男性の方が高い。
誤りです。女性の方が高いです。

② PTSD関連症状に、薬物療法は無効である。
誤りです。薬物療法も用いられます。

③ 心的外傷的出来事による身体的影響は少ない。
誤りです。身体的な症状も出現します。

④ 治療開始の基本は、クライエントの生活の安全が保障されていることである。
正しいです。

⑤ 複雑性 PTSD は、複数の、又は長期間にわたる心的外傷的出来事への暴露に関連する、より広範囲の症状を示す。
正しいです。

第4回 問64

28歳の女性A。
Aが生活する地域に大規模な地震が発生し、直後に被災地外から派遣された 公認心理師Bが避難所で支援活動を行っている。
地震発生から約3週間後に、AからBに、 ”地震の後から眠れない”と相談があった。
Aの家は無事だったが、隣家は土砂に巻き込まれ、住人は行方不明になっている。
Aはその様子を目撃していた。
Aによれば、最近崩れる隣家の様子が繰り返し夢に出てきて眠れず、隣家の方向を向くことができずにいる。
同居の家族から見ても焦燥感が強くなり、別人のようだという。
BのAへの対応として、最も優先されるものを1つ選べ。
① ジョギングなどの運動を勧める。
② 生き残った者の氏名について話し合う。
③ リラックスするために腹式呼吸法を指導する。
④ 行方不明になった住人が必ず発見されると保証する。
⑤ 現地の保健医療スタッフに情報を伝えることへの同意を得る。

AはPTSDが疑われるので、選択肢⑤が正解です。

第2回 問77

12歳の女児A。祖父Bと散歩中に自動車にはねられた。Bは全身を打撲し、救命救急センターの集中治療室で治療を受けているが、意識障害が持続している。
Aは下肢骨折により整形外科病棟に入院した。
入院後、Aは夜間あまり眠れず、夜驚がある。
日中は、ぼんやりとした状態がみられたり、急に苛立ち、理由もなくかんしゃくを起こしたりする。
両親が自宅から持ってきた A の好きなぬいぐるみを叩いたり、壁に打ち付けたりする。
Aの行動の説明として、適切なものを2つ選べ。
① 素行障害
② 解離性障害
③ 反応性アタッチメント障害
④ トラウマティック・ボンディング
⑤ ポストトラウマティック・プレイ

① 素行障害
誤りです。素行障害の特徴は攻撃性なので事例には見られません。

② 解離性障害
正しいです。トラウマを抱えた子どもは自分を守るためにその感覚や記憶を「切り離し(解離)」、それが自分に起こったことではないかのように位置づけます。
するとぼんやりして夢をみているかのように過ごしたり、気分、性格、口調などが日により時間により大きく変化するといった解離性障害が起こります。

③ 反応性アタッチメント障害
誤りです。反応性アタッチメント障害は誰にも愛着行動を示さない障害です。

④ トラウマティック・ボンディング
誤りです。トラウマティック・ボンディングは「トラウマが起きている関係性の中で構築されるつながり」を意味する概念です。
トラウマのある関係の中で発生してしまう「相手と離れたくない」と感じてしまう特殊な心理状態で、例えばDV関係のような暴力などのトラウマティックな状況に置かれ続けることで、加害者を慕うような感情が出てくることが指摘されています。

⑤ ポストトラウマティック・プレイ
正しいです。トラウマを受けた後、遊びに現われる以下のような特有の再演行動をポストトラウマティック・プレイと呼びます。
・震災後、子どもたちが地震ごっこをする
・交通事故に遭った子どもがミニカーで衝突の遊びを繰り返す
・加害者に蹴られた子どもが人形を蹴る
・性虐待にあった子どもが人形の股を棒でつつく

第5回 問145

24歳の女性A。同居している男性Bから繰り返し暴力を受けている。ある日、怪我をしているAを心配して友人が問い詰めたところ、Bから日常的に暴力を受けていると語ったため、Bとの関係を解消し、家を出るように勧めた。一時は、「関係を解消しようかな」と言っていたAであったが、結局Bとの関係を解消することはなく、再び暴力を受けることになった。その後も周囲が関係の解消や相談機関への相談を勧めたことで、一時家を離れることもあったが結局はBの元に戻り、暴力を受けることを繰り返している。このように暴力の被害者が、被害を受ける関係の中に留まり続ける現象を説明するものとして、最も適切なものを1つ選べ。
① バウンダリー
② ハネムーン期
③ 複雑性PTSD
④ サバイバーズ・ギルト
⑤ トラウマティック・ボンディング

選択肢⑤が正解です。

第2回 問54

二次的外傷性ストレス(Secondary Traumatic Stress)による反応について、正しいものを2つ選べ。
① 幼児期のトラウマ体験を原因とする。
② フラッシュバックを呈することがある。
③ 被害者の支援活動をしている人に生じる。
④ 回復には年単位の時間を要することが多い。
⑤ 不安発作の反復を恐れ、社会的活動が制限される。

幼児期のトラウマ体験を原因とする。
間違いです。これは必ずしも原因とはなっていません。

フラッシュバックを呈することがある。
正しいです。

被害者の支援活動をしている人に生じる。
正しいです。二次的外傷性ストレスの定義に近いです。

回復には年単位の時間を要することが多い。
間違いです。回復は比較的早いです。

⑤ 不安発作の反復を恐れ、社会的活動が制限される。
間違いです。

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コメント

  1. 岩井 より:

    いつも勉強させていただいています

    過去問 第2回 問22 の問題文
    「DSM-5の心的外傷後ストレス障害(PTSD)について、
    正しいものを2つ選べ。」
    ですが、
    「正しいものを1つ選べ」の誤記ではないかと思われます

    ついでなので、細かいことですが、
    EMDR、PTSD を、
    「括弧記号」で囲ったと思われる箇所で、
    表示されていないところがあります

    ご確認いただければ幸いです

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