色覚
視覚の中でも色を見分ける色覚は、「3色説」「反対色説」「段階説」という説が提唱されています。
3色説
3色説とは、赤・緑・青の錐体が感知した3原色を適量に混合することによって、すべての色が再現できるという説です。
ヤング(T.Young)によって提唱され、その後、ヘルムホルツ(H.L.F.V.Helmholtz)により体系化されたことから「ヤング=ヘルムホルツの三色説」として知られています。
反対色説
反対色説は、「黒-白物質」「青-黄物質」「緑-赤物質」という3対の反対色に反応する物質が網膜にあり、それが反応することによって色を知覚するという説で、ヘリング(E.K.Hering)が提唱しています。
特定の色を長時間観察した後、無色の対象をながめると、観察した色の補色(赤に対する緑、青に対する黄)が比較的持続して知覚され、この現象を色残像(色の残効)と呼びます。
この現象は3色説では説明できず、反対色説による説明が必要になります。
段階説
段階説では、3色説で説明される処理が行われ、その次に反対色説で説明される処理が行われるとされています。
現在はこの説が有力となっています。
聴覚
内耳は聴覚器(蝸牛)と平衡器(前庭と半規管)から構成されており、「蝸牛」が聴覚受容器官です。
蝸牛は、中耳から伝わった機械信号である音波を電気信号に変換し蝸牛神経から脳へ伝える役割を担っています。
蝸牛の基底部から頂部に至るらせん状の構造を全体として形作っているのがコルチ器官で、聴覚の受容器細胞である有毛細胞と複数の支持細胞で構成されています。
音の高低をどのように認識しているのか
場所説:有毛細胞が反応する場所の違いによって音の高さ(ピッチ)を認識
→ミッシング・ファンダメンタル現象(複合音の基本周波数成分を取り除いた場合でも、その基本周波数成分と同じピッチが知覚される現象)が説明できない
→低周波音の知覚の説明ができない
時間説:音に対して同じ振幅の位相をキャッチしていき、その時間的な繰り返しパターンと、神経発火の時間パターンが関係
→高周波音の知覚が説明できない
味覚
味覚は、舌などにある味蕾(みらい)で受容され、味覚神経を介して脳に伝達されます。
・甘味:糖
・酸味:酸
・塩味:塩
・苦味:カフェイン等
・うま味:グルタミン酸等
※辛味は痛覚、渋味は触覚なので味覚ではない
体性感覚
体性感覚は、皮膚感覚と深部感覚から成り、内臓感覚は含みません。
深部感覚(自己受容感覚):身体内部の筋や腱、関節などの感覚
自己受容感覚
五感は一般的に、聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚を指しますが、20世紀半ば、神経生理学者がそこに自己受容感覚という「第六感」を付け加えました。
第六感は、空間における身体のバランス、位置、動きを感知する感覚のことです。
自己受容感覚というと、自尊感情のような意味に聞こえますが、全く違います。
体の内部の感覚のことです。
過去問
第4回 問84
色覚の反対色過程と関連するものとして、最も適切なものを1つ選べ。
① 中心窩の存在
② 色の残効の生起
③ 桿体細胞の存在
④ 色の恒常性の成立
⑤ 二色型色覚者の存在
選択肢②が正解です。
第3回 問83
ヒトの聴覚について、正しいものを1つ選べ。
① 蝸牛にある聴覚受容器は、双極細胞と呼ばれる。
② 音源定位には、両耳間時間差と両耳間強度差が用いられる。
③ ピッチ知覚の場所説は、高周波音の知覚の説明が困難である。
④ 聴覚感度は、可聴域内で周波数が高くなるほど単調に減少する。
⑤ 主観的な音の大きさであるラウドネスの単位は、デシベルである。
① 蝸牛にある聴覚受容器は、双極細胞と呼ばれる。
誤りです。双極細胞ではなくコルチ器の有毛細胞です。
双極細胞は目の網膜です。
② 音源定位には、両耳間時間差と両耳間強度差が用いられる。
正しいです。音源定位というのは音源のある位置のことで、その位置を把握するために両耳間の時間差や強度差が用いられています。
③ ピッチ知覚の場所説は、高周波音の知覚の説明が困難である。
誤りです。高周波音ではなく低周波音の説明が困難です。
④ 聴覚感度は、可聴域内で周波数が高くなるほど単調に減少する。
誤りです。単調に減少しません。2,000Hz~4,000Hzを頂点として、低周波数および高周波数で人間の耳の感度が悪くなっていきます。
⑤ 主観的な音の大きさであるラウドネスの単位は、デシベルである。
誤りです。ラウドネスの単位は「phon:ホーン(ホン)」です。
第4回 問112
味覚の基本味に含まれないものを1つ選べ。
① 塩味
② 辛味
③ 酸味
④ 苦味
⑤ うま味
選択肢②が正解です。辛味は基本味に含まれません。
次の記事
次は、食欲について。
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