性格検査は人格検査やパーソナリティ検査とも呼ばれます。
投影法、質問紙法、作業検査法の3種類に分けて覚えると、その検査の本質が捉えやすいです。
投影法だと曖昧さが残るので質問紙法が出て来て客観的に検査できるようになりました。
でも投影法にも良さがあるので今でも用いられています。
投影法
SCT(文章完成法)
SCT(Sentence Completion Test)は、未完成の文や短文を提示し、そこから思いつくことや感じたことを自由に記述して文章を完成させていく検査です。
1897年にエビングハウスが考案し、当時は知的統合能力の検査ツールとして用いられました。
性格検査として用いられたのは1928年のペイン(A.F.Payne)が最初のようです。
エビングハウスといえば、「心理学の過去は長いが歴史は短い」の人でしたね。
ロールシャッハテストなどとバッテリーを組んで、その結果の齟齬や共通点から人格を全体的に把握することができます。
ロールシャッハ・テスト
ロールシャッハ・テストは、1921年にスイスの精神科医ヘルマン・ロールシャッハ(H.Rorschach)が著した「精神診断学」という本の中で紹介されています。
ロールシャッハが1909年から1913年まで、スイスのミュンスターリンゲン精神病院で勤務医として働いていたときに考案しました。
以下のようなインクの染みを見せて、何に見えるかということからパーソナリティを評価します。
ぼくは、ちょうちょに見える!
質問紙法
・MPI(モーズレイ人格目録)
・EPI(アイゼンク人格目録)
・MMPI(ミネソタ多面的人格目録)
・NEO-PI-R
・CPI(カリフォルニア人格検査)
・EPPS(エドワーズ個人的傾向目録)
・TEG(東大式エゴグラム)
CPI(カリフォルニア人格検査)
CPI(California Psychological Inventory)は、カリフォルニア大学の心理学者、ハリソン・G・ゴーフ教授によって作成されました。
18尺度と4尺度群で構成され、480項目(2件法)の質問に答えていきます。
WISC-Ⅳの得点指標であるCPI(Cognitive Proficiency Index)と混同しないように。
CPI(認知熟達度指標)は、情報を流暢に処理する能力でしたね。
EPPS(エドワーズ個人的傾向目録)
EPPS(Edwards Personal Preference Schedule)は、エドワーズ(A.L.Edwards)がマレーの欲求圧力理論に基づいて作成しました。
15の性格特性が評価され、動機や欲求を測定します。
TEG(東大式エゴグラム)
エゴグラムは、エリック・バーン(E.Berne)の交流分析理論に基づいて、弟子であるデュセイ (J.M.Dusay) が考案した人間の性格を5つの自我状態に分けて分析する手法です。
CP(Critical Parent):支配性
NP(Nurturing Parent):寛容性
A(Adult):論理性
FC(Free Child):奔放性
AC(Adapted Child):順応性
TEG(東大式エゴグラム)は、交流分析理論に基づいて東京大学医学部心療内科TEG研究会が開発した質問紙法による性格検査です。
53の質問に、「はい」「いいえ」「どちらでもない」で回答します。
作業検査法
ベンダー・ゲシュタルト検査は、気質的脳障害の検査ですが、パーソナリティ検査としても用いられます。
まとめ
分類 | 手法 | 検査名 |
---|---|---|
性格検査 | 投影法 | ロールシャッハ・テスト |
P-Fスタディ | ||
TAT | ||
バウムテスト | ||
SCT | ||
質問紙法 | MMPI | |
YGPI | ||
MPI | ||
EPI | ||
NEO-PI-R | ||
TEG | ||
CPI | ||
EPPS | ||
作業検査法 | 内田クレペリン作業検査 |
過去問
第3回 問16
精神分析理論の防衛機制に関する実験的研究の結果を基盤に発展した心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
① SCT
② TAT
③ MMPI
④ P-F スタディ
⑤ ロールシャッハ・テスト
① SCT
SCT(Sentence Completion Test)は、文章完成法です。投影法の一種です。
② TAT
TAT(Thematic Apperception Test)は、主題統覚検査です。投影法の一種です。
③ MMPI
MMPI(Minnesota Multiphasic Personality Inventory)は、ミネソタ多面的人格目録です。質問紙法の一種です。
④ P-F スタディ
これが正解です。P-F スタディは精神分析理論の防衛機制に関する実験的研究の結果を基盤に発展しました。投影法の一種です。
⑤ ロールシャッハ・テスト
ロールシャッハ・テストは、投影法の一種です。
第5回 問16
H.Ebbinghaus が文章完成法を開発した際に、測定しようとした対象として、最も適切なものを1つ選べ。
① 性格
② 病態
③ 対人知覚
④ 知的統合能力
⑤ 欲求不満耐性
文章完成法が性格検査とだけ覚えていると誤ってしまいます。エビングハウスが開発した当初は、選択肢④「知的統合能力」の検査として用いられました。
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ここまでで性格検査を制覇しました。
ここからは、発達検査です。
まずは、カリスマの地元京都で開発された「新版K式発達検査」について。
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