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【心理療法】総まとめ

心理療法 総まとめ 心理療法
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心理療法一覧

様々な心理療法について見てきましたが、「心理療法」と「精神療法」は同じ意味だと捉えてください。

例えば、力動的精神療法も力動的心理療法も同じ意味です。

赤字の対象疾患については、特に覚えてください。

「今ここ」がキーワードの、ゲシュタルト療法、マインドフルネス、集団精神療法、サイコドラマ、パーソンセンタードケアなど。

「あるがまま」がキーワードの、来談者中心療法、森田療法など。

分類 療法 対象
精神分析療法 力動的心理療法 不安、抑うつ
催眠療法 不安障害、解離性障害、うつ病、身体表現性障害、心身症
行動療法 系統的脱感作法 恐怖症、不安障害
暴露療法(エクスポージャー法) 強迫性障害不安障害、PTSD
暴露反応妨害法 強迫性障害
トークンエコノミー法 慢性的精神疾患など
モデリング療法 恐怖症 精神疾患 発達障害等
嫌悪療法 依存症、不適応行動
認知行動療法 論理療法(論理情動行動療法)  
認知療法  
認知行動療法 うつ病、社交不安障害、パニック障害、強迫性障害、PTSD
弁証法的行動療法 境界性パーソナリティー障害
総合療法 スキーマ療法 パーソナリティ障害
集団療法 家族療法 家族全員
集団精神療法 集団
回想法 認知症高齢者
人間主義 来談者中心療法(クライエント中心療法)  
フォーカシング指向心理療法  
ゲシュタルト療法  
日本発祥 森田療法 神経症性障害(恐怖症性不安障害、パニック障害、全般性不安障害、強迫性障害など)
内観療法 人間関係の不和を誘因とした、不登校、出勤困難、神経症、うつ病、依存症、心身症など
動作法 脳性まひ
子供 遊戯療法 子供
箱庭療法 子供~大人
その他 自律訓練法 全ての人

ここでは、国家試験の選択肢でよく出てくる「自律訓練法」について見てみましょう。

結論から書くと、自律訓練法が正解選択肢になる可能性は低いです。

その理由は以下を読めばわかります。

自律訓練法

自律訓練法は、ドイツの神経科医シュルツ(J.H.Schultz)によって開発された、心身機能の自律的な調整を促進するためのトレーニング法(リラクゼーション法)です。

19世紀末の自己催眠を活用したフォクトの予防的休息法が基礎となっており、疾患の治療法としてだけでなく、心身のコンディションを整える健康増進法や能力開発法とし、スポーツ・教育・産業などの領域でも広く活用されています。

以下の2つの練習が基本となります。

四肢重感練習:腕や脚の筋肉が弛緩した感覚をモニタリング
四肢温感練習:末梢の血液循環が良くなって手足が暖かくなった感覚をモニタリング

どちらも自分の体の感覚を感じるという点でマインドフルネスに近い要素を持っています。

これらの練習を通して心身共に深い休息状態が得られ、緊張性頭痛、本態性高血圧、睡眠障害や疼痛、不安などの慢性的な症状が改善します。

学生時代の部活動などでやったことのある人もいるでしょう。眉間を意識してむず痒くなる感覚を味わえればヤミツキになります。

ということで、自律訓練法は単なるリラクゼーション法なので、特定の疾患等に用いられる療法ではないことから、正解選択肢にはなりにくいということです。

心理療法の効果検証

さまざまな心理療法を見てきましたが、その効果を検証するにはどうすればよいのでしょう。

そのときに用いられる手法がランダム化比較試験(RCT:randomized controlled trial)です。

公認心理師国家試験では、分散分析因子分析重回帰分析などの難しい分析手法が出てきますが、このランダム化比較試験は非常にシンプルで、比較したい条件以外は全て共通にしたグループで実験する、これだけです。

このグループを作る時に「ランダム」で被験者を振り分けていくというのが、ランダム化比較試験の特徴です。

そんなの当たり前やん。

過去問

第1回 問102

軽症うつ病エピソードに対する初期の短期間の心理療法として、最も適切なものを1つ選べ。
① 家族療法
② 自律訓練法
③ 認知行動療法
④ 来談者中心療法
⑤ 力動的心理療法

① 家族療法
間違いです。家族療法は初期の短期間の支援とは言えません。

② 自律訓練法
間違いです。自律訓練法が軽症うつ病者の治療に特に有効ということはありません。

③ 認知行動療法
これが正解です。認知行動療法はうつ病の治療に有効で、しかも短期間で効果があります。

④ 来談者中心療法
間違いです。来談者中心療法は初期の短期間の支援に限定されません。

⑤ 力動的心理療法
間違いです。力動的心理療法は時間がかかります。

第4回 問141

7歳の男児A、小学1年生。
入院治療中。
Aは気管支喘息と診断され通院治療を受けていた。
喘息発作で救急外来を受診した時、強引に押さえられて吸入処置を受けた。
それを機に、吸入器を見ると大泣きするようになり、自宅での治療がいっさいできなくなった。
その為、発作により救急外来を頻回に受診するようになり、最終的に入院となった。
医師や看護師が吸入させようとしても大泣きして手がつけられず、治療スタッフが近づくだけで泣くようになったため、主治医から公認心理師に心理的支援の依頼があった。
Aに対して行う行動療法的な支援の技法として、適切なものを1つ選べ
① 嫌悪療法
② 自律訓練法
③ エクスポージャー
④ バイオフィードバック
⑤ アサーショントレーニング

この事例では、「強引に押さえつけられて」吸入処置を受けたAが吸入器を見ると大泣きするようになったという、レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)の事例だと考えられます。
行動療法的な技法ということは、系統的脱感作法、暴露療法、トークンエコノミー法などが思い浮かびますが・・・

① 嫌悪療法
間違いです。嫌悪療法は、不適切な観念や行動に対して嫌悪感・不快感を形成し、そのような観念や行動を抑制する療法です。
治療が困難なアルコール依存症や性的逸脱行動の治療法として開発されました。

② 自律訓練法
間違いです。自律訓練法はリラクゼーション法なのでこの事例では不適切です。

③ エクスポージャー
これが正解です。不安に積極的に暴露させながら慣れていくエクスポージャーが適しています。

④ バイオフィードバック
間違いです。バイオフィードバックとは、自分の意思でコントロールできない心拍、血圧、発汗などの自律神経系の生理指標を電子機器によって可視化し、クライエント自身がその信号を動かすことでコントロールすることを学習する方法です。

⑤ アサーショントレーニング
間違いです。アサーショントレーニングは、自分と相手の権利を尊重しながら、適切で建設的な自己主張(アサーション)を身につけるためのトレーニングです。
行動療法的な技法ではありますが、この事例には不適切です。

第5回 問127

リラクセーションを主な目的とする技法として、適切なものを2つ選べ。
① 自律訓練法
② 漸進的筋弛緩法
③ 睡眠スケジュール法
④ トークン・エコノミー法
⑤ アサーション・トレーニング

選択肢①と②が正解です。

第2回 問112

心理療法の有効性の研究について、誤っているものを1つ選べ。
① 介入期間が定められる。
② 介入マニュアルが必要とされる。
③ 単一の理論に基づく心理療法が用いられる。
④ クライエントが抱える多様な問題に焦点を当てる。
⑤ クライエントは無作為に介入群と対照群に割り付けられる。

この問題は、心理療法についてではなく、心理療法の有効性の研究について問うているということを意識しましょう。

① 介入期間が定められる。
正しいです。有効性の研究を行うに当たっては介入期間を定めないと研究になりません。
1カ月間介入した対象と、1年間介入した対象は比較できません。

② 介入マニュアルが必要とされる。
正しいです。介入マニュアルがないと体系的な研究はできません。

③ 単一の理論に基づく心理療法が用いられる。
正しいです。単一の理論にしないと、研究になりません。

④ クライエントが抱える多様な問題に焦点を当てる。
間違いです。多様な問題に焦点を当てるのではなく、焦点を当てる課題を絞って研究対象とします。

⑤ クライエントは無作為に介入群と対照群に割り付けられる。
正しいです。心理療法を実施する介入群と、実施しない対照群には、無作為に振り分けないといけません。作為的に振り分けると、研究になりません。

第4回 問46

公認心理師がクライエントに心理療法を行う場合、インフォームドコンセントを取得する上で最も適切なものを1つ選べ
① 公認心理師が考える最善の方針に同意するように導く。
② 深刻なリスクについては頻度が低くても情報を開示する。
③ 心理療法についての説明は クライエントにとって難解なため 最小限にとどめる。
④ クライエントに対して不利益にならないように、心理療法を拒否した時の負の結果については強調して伝える。

① 公認心理師が考える最善の方針に同意するように導く。
間違いです。公認心理師が考える方針ではダメです。

② 深刻なリスクについては頻度が低くても情報を開示する。
これが正解です。

③ 心理療法についての説明は クライエントにとって難解なため 最小限にとどめる。
間違いです。これではダメです。

④ クライエントに対して不利益にならないように、心理療法を拒否した時の負の結果については強調して伝える。
間違いです。あり得ません。

第4回 問97

心理療法における効果検証に用いられる方法として、最も適切なものを1つ選べ。
① 主成分分析
② クラスター分析
③ ランダム化比較試験
④ コレスポンデンス分析
⑤ 修正版 グラウンデッド セオリー アプローチ

選択肢③が正解です。

第5回 問18

自分自身で一定の手順に従い、段階的に練習を勧めることによって、心身の機能を調整する方法として、最も適切なものを1つ選べ。
① 森田療法
② 自律訓練法
③ シェイピング
④ スモールステップ
⑤ セルフ・モニタリング

選択肢②が正解です。

次の記事

心理療法の最後に、心理療法の効果測定について。

【効果測定】単一事例実験計画法&集団比較実験計画法
心理療法などの効果を測定するには、大きく2種類の実験方法(単一事例実験、集団比較実験)があります。詳しくは以下の記事で。事例研究心理療法の効果を測定するには、エビデンス(証拠、根拠)に基づいたアプローチ(エビデ...

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