甲状腺ホルモン
甲状腺はのどぼとけの下にある蝶(チョウ)が羽を広げた形をした臓器で、甲状腺ホルモンというホルモンを作っています。
このホルモンは、血液の流れに乗って心臓や肝臓、腎臓、脳など体のいろいろな臓器に運ばれて、身体の新陳代謝を盛んにするなど大切な働きをしています。
甲状腺ホルモンが少なすぎると、代謝が落ちた症状がでてきます。甲状腺ホルモンの産生は脳下垂体より分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)により調節されます。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は、血中の甲状腺ホルモン作用が必要よりも低下した状態です。
甲状腺機能低下症による症状には、一般的に、無気力、疲労感、むくみ、寒がり、体重増加、動作緩慢、記憶力低下、便秘などがあります。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺が活発に活動し、血中に甲状腺ホルモンが多く分泌される病気で、バセドウ病やグレーブス病とも言われます。
原因としては、健常な人には認められない甲状腺を刺激する異常な物質が血中および組織の中に存在するためと考えられます。
甲状腺ホルモンが多いため、熱産生の増加および組織の交感神経感受性の亢進があります。熱産生増加の症状としては、暑がり・発汗過多・体重減少・食欲亢進があり、組織の交感神経感受性亢進としては、動悸・体動時息切れ・ふるえ・不眠・不安を示します。
過去問
第3回 問68
32歳の女性A、会社員。
Aは、感情の不安定さを主訴に社内の心理相談室に来室し、公認心理師Bが面接した。
職場で良好な適応状況ったが、2か月前から動悸をしばしば伴うようになった。
その後、異動してきた上司への苛立ちを強く自覚するようになり、ふとしたことで涙が出たり、これまで良好な関係であった同僚とも衝突することがあった。
最近では、緊張して発汗することがあり、不安を自覚するようになった。
Bが優先的に行うべきAへの対応として、最も適切なものを1つ選べ。
① 休職を勧める。
② 瞑想を教える。
③ 認知行動療法を勧める。
④ 医療機関の受診を勧める。
⑤ カウンセリングを導入する。
選択肢④が正解です。
甲状腺機能亢進症と推察されるため、まずはメンタル面以外の病気の検査を行う必要があります。
第3回 問30
甲状腺機能低下症にみられる症状について、正しいものを1つ選べ。
① 下痢
② 頻脈
③ 眼球突出
④ 傾眠傾向
⑤ 発汗過多
選択肢④が正解です。それ以外は甲状腺機能亢進症です。
次の記事
次は、更年期障害について。
コメント