概要
新版K式発達検査は、子どもの心身の発達の度合いを調べ、療育などの子どもの発達支援に役立てるための検査です
1951年、ゲゼル(A.Gesell)の発達理論に基づいて嶋津峯眞、生澤雅夫らによって、京都市児童院(現・京都市児童福祉センター)で開発されました。
K式というのは京都式ということです。
アーノルド・ゲゼルといえば成熟優位説だね。
ということで、カリスマ社会福祉士さんの生まれ育った町「京都」の写真をお楽しみください。
検査方法
もともと子供が対象でしたが、改定後は0歳から成人まで適用可能となりました。
328項目で構成され、実施項目は20~50項目程度になります。
各検査項目で設定された場面において、対象となる子供の行動を観察します。
評価方法
以下の3領域を評価します。
認知・適応(C-A):手先の巧緻性や視覚的な処理力
言語・社会(L-S):言語力、抽象的な概念や数概念を含む対人交流の力
これら3領域について発達年齢(Developmental Age:DA)と発達指数(Developmental Quotient:DQ)を算出します。
「発達指数」:発達年齢と実年齢との比
知能検査では「精神年齢MA」や「知能指数IQ」などの数値を算出しましたね。
過去問
第1回(追試) 問129
新版K式発達検査について、正しいものを2つ選べ。
① 発達年齢と発達指数を算出する。
② 継次処理尺度と同時処理尺度から成る。
③ 運動、社会性及び言語の3領域で測定する。
④ 生後100日頃から成人まで適用可能である。
⑤ 成人用検査として開発され、徐々に適用範囲を拡大した。
① 発達年齢と発達指数を算出する。
正しいです。
② 継次処理尺度と同時処理尺度から成る。
間違いです。この継次処理尺度や同時処理尺度はKABCの内容です。
③ 運動、社会性及び言語の3領域で測定する。
間違いです。「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」の3領域で測定します。
④ 生後100日頃から成人まで適用可能である。
正しいです。
⑤ 成人用検査として開発され、徐々に適用範囲を拡大した。
間違いです。改定前は0歳3か月~14歳0か月という子供が対象でしたが、成人まで対象になりました。
第2回 問61
2歳2か月の男児A。
Aの保護者は、Aの言葉の遅れと、視線の合いにくさが気になり、市の相談室に来室した。
現時点では、特に家庭での対応に困ることはないが、同年代の他の子どもと比べると、Aの発達が遅れているのではないかと心配している。
また、どこに行っても母親から離れようとしないことも、気にかかるという。
Aの保護者からの情報とAの行動観察に加え、公認心理師である相談員がAに実施するテストバッテリーに含める心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
① WPPSI-Ⅲ
② CAARS 日本語版
③ 新版K式発達検査
④ 日本語版 KABC-Ⅱ
⑤ S-M社会生活能力検査
① WPPSI-Ⅲ
間違いです。WPPSIの対象年齢は2歳6か月~7歳3か月なので、2歳2か月のAには適用できません。
② CAARS日本語版
間違いです。CAARS(Conners’Adult ADHD Rating Scales)は、成人を対象としたADHDの重症度を測る検査です。
③ 新版K式発達検査
これが正解です。年齢も対象範囲です。
④ 日本語版KABC-Ⅱ
間違いです。KABC-Ⅱ(カウフマン式知能検査)の対象年齢は2歳6か月~18歳11か月なので適用できません。
⑤ S-M社会生活能力検査
S-M社会生活能力検査は、1歳から13歳までの子どもの社会生活能力(身辺自立、移動、作業、コミュニケーション、集団参加、自己統制作業)の発達を測定するために考案された質問紙で、回答するのは本人ではなく保護者です。なので設問にある公認心理師がAに実施するという点で不適切です。
次の記事
次は、発達検査の残り2つをまとめて見ていきましょう。
コメント