コンピテンシーとは、高い成果につながる「行動特性」のことです。
専門職が高いパフォーマンスを発揮する行動特性には共通点があり、それをコンピテンシーと言います。
基盤コンピテンシー
E.Rodolfa らが提唱した心理職の基盤コンピテンシーは、姿勢、倫理、価値観、行動規範などに関して以下の7項目あります。
・反省的実践:自己の言動を振り返り、他者に対する自己の影響の認識や、自らを評価する
・科学的知識と方法:科学的な研究から得られた知識を尊重し、効果的に応用する
・関係形成:個人やグループ、共同体と効果的に意味のあるやり方で関係を作る
・文化的ダイバーシティ:様々な価値、文化的背景などをもつ個人、集団に対する敏感さと配慮
・他職種協働:他の専門家と効果的に協働作業ができる
・倫理・法的基準と政策:倫理的概念や法に関する知識を個人や集団に対して適用できる
ダイバーシティとは「多様性」という意味です。
機能コンピテンシー
機能コンピテンシーとは専門的な技能のことです。
・介入:クライエントの特徴にあった介入計画、知識とスキル、成果の評価
・スーパービジョン・教育:専門的知識やスキルの教授を受ける
・研究と評価:研究とその方法への理解、知見の効果的な活用
・管理・運営:メンタルヘルスサービス、事業の管理と組織運営への関わり
・コンサルテーション:リファー元に対する専門家としての助言や支援
・アドボカシー:権利・利益を擁護し代弁することで社会、政治、経済、文化的に影響を与え、個人、集団、システムの変化を促進
職業的発達
職業的発達とは、訓練や実践の水準を示すものです。
・博士課程の研修
・博士課程後のスーパービジョン
・就職後の研修
・継続的なコンピテンシー
過去問
第4回 問47
公認心理師の基本的なコンピテンシーについて最も適切なものを1つ選べ。
① 科学的な知見を参考にしつつも直感を優先して判断する。
② 要支援者への関わり方や対応のあり方を自ら振り返って検討する。
③ 普遍的な視点に立ち文化的背景を考慮せず要支援者を同様に扱う。
④ 専門職としての知識と技術を基に最低限の実践ができるようになってから職業倫理を学ぶ。
① 科学的な知見を参考にしつつも直感を優先して判断する。
間違いです。基盤コンピテンシーには「科学的知識と方法」がありますので、直感を優先してはいけません。
② 要支援者への関わり方や対応のあり方を自ら振り返って検討する。
これが正解です。基盤コンピテンシーの「反省的実践」です。
③ 普遍的な視点に立ち文化的背景を考慮せず要支援者を同様に扱う。
間違いです。基盤コンピテンシーには「文化的ダイバーシティ」があります。
④ 専門職としての知識と技術を基に最低限の実践ができるようになってから職業倫理を学ぶ。
間違いです。基盤コンピテンシーには「倫理・法的基準と政策」がありますので、まず学ばなければなりません。
第5回 問125
E.Rodolfa らが提唱する心理職の基盤的コンピテンシーに該当するものを2つ選べ。
① 介入
② 関係形成
③ 反省的実践
④ コンサルテーション
⑤ 心理的アセスメント
選択肢②と③が正解です。
次の記事
次からは、心理的支援のプロセスに入ります。
まずは心理的アセスメントから。
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