感情労働とは
感情労働とは、1983年アメリカの社会学者であるホックシールド(A.Hochschild)が提唱した概念で、「労働者が労働場面において、その職業や状況にふさわしい言動が求められ、常に自己の感情の管理を余儀なくされる労働形態」のことです。
「肉体労働」「知的労働」に次ぐ「第三の労働」ともいわれます。
感情労働を他の労働と区別する要素として、以下の三点が挙げられます。
②感情労働者は、他人の中に何らかの感情変化 ― 感謝の念や恐怖心等 ― を起こさせる
③そのような職種における雇用者は、研修や管理体制を通じて労働者の感情活動をある程度支配している
表層演技&深層演技
感情労働場面において、労働者には、表層演技と深層演技と呼ばれる2種類の演技が求められます。
表層演技
表層演技とは、作り笑いやイライラを隠して笑顔で接客するなど、その時の状況で実際に抱いた感情を抑制したり別の感情を抱いているかのように振る舞うことによって、外面的に望ましい感情表出を行うことです。
深層演技
深層演技とは、その状況や社会的・職業的に望ましいとされる感情をあたかも心の底から感じているように、自己の感情を誘発することです。
お客様への申し訳なさを心から感じながら謝罪をすることとかですね。
過去問
第3回 問34
対人援助職のセルフケアと自己点検において重要な感情労働について、不適切なものを1つ選べ。
① 感情労働は、第三の労働形態である。
② 感情労働は、A.Hochschildによって定義された概念である。
③ 感情労働とは、職業上、自己の感情をコントロールすることが要求される労働のことである。
④ 感情労働における深層演技とは、クライエントの感情を無意識的に自分の感情として感じることである。
⑤ 感情労働における表層演技は、自らの感情とは不一致でも他者に表出する感情を望ましいものにしようとすることである。
選択肢④が不適切です。深層演技とは自分の感情・情動までもコントロールする深い演技のことです。
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