強迫性障害(OCD)の検査としてはY-BOCSだけでも覚えておきましょう。
Y-BOCS(エール・ブラウン強迫尺度)
Y-BOCS(Yale-Brown Obsessive Compulsive Scale)は、強迫性障害の「強迫観念(obsessive)」と「強迫行為(compulsive)」の臨床的重症度の評価において最も一般的に用いられる手法です。
検査方法
「強迫観念」と「強迫行為」について10項目から成り、以下の表のように各項目0~4点の合計点で評価します。
強迫観念 | 項目 | 0点 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 |
---|---|---|---|---|---|---|
観念に占められる時間 | 0時間/日 | ~1時間/日 | 1~3時間/日 | 3~8時間/日 | 8時間~/日 | |
社会的障害 | なし | 軽度 | 中度 | 重度 | 無能力 | |
苦痛 | なし | 軽度 | 中度 | 重度 | 苦痛で何もできない | |
観念に対する抵抗 | 不要 | 大抵抵抗している | 少しは抵抗する | しばしば従う | 強迫観念に支配されている | |
制御 | 完全な制御 | 十分な制御 | 相当な制御 | わずかな制御 | 制御不能 | |
強迫行為 | 項目 | 0点 | 1点 | 2点 | 3点 | 4点 |
行為に占められる時間 | 0時間/日 | ~1時間/日 | 1~3時間/日 | 3~8時間/日 | 8時間~/日 | |
社会的障害 | なし | 軽度 | 中度 | 重度 | 無能力 | |
苦痛 | なし | 軽度 | 中度 | 重度 | 苦痛で何もできない | |
行為に対する抵抗 | 不要 | 大抵抵抗している | 少しは抵抗する | しばしば従う | 強迫行為に支配されている | |
制御 | 完全な制御 | 十分な制御 | 相当な制御 | わずかな制御 | 制御不能 |
評価方法
上記の各項目の合計点数から以下の表で評価します。
点数 | 意味 |
---|---|
0~7点 | 閾値下 |
8~15点 | 軽症 |
16~23点 | 中等度 |
24~31点 | 重症 |
32~40点 | 最重症 |
MOCI(モーズレイ強迫神経症質問紙)
MOCI(Maudsley Obsessional-Compulsive Inventory)は、ラックマン(S.J.Rachman)とホジソン(R.J.Hodgson)によって開発されました。
30項目(2件法)の質問紙に答えます。
過去問
第1回(追試)問72
24歳の女性 A、会社員。
Aは最近、職場で不安や緊張を感じるようになった。
子どもの頃から成績は平均より上だったが、おとなしく内気な性格で友人は少なかった。
就職した当初は単独作業が多かったが、配置転換により年上の先輩との協働作業が増えた。
先輩の前では会議資料の準備をするときに緊張が高まり発汗し、ハンカチが手放せなくなった。
変な人に思われるのではないかと思うと手が震え、視線を避けようとすると奇異に思われるのではないかと不安が高まるようになった。
Aは出勤が負担に感じられるようになり心理相談室を訪れた。
Aに実施するテストバッテリーに含める心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
① CAARS
② IES-R
③ KABC-Ⅱ
④ LSAS-J
⑤ Y-BOCS
① CAARS
間違いです。CAARS(Conners’Adult ADHD Rating Scales)はADHD症状を評価します。
② IES-R
間違いです。IES-R (Impact of Event Scale-Revised)は、改訂出来事インパクト尺度日本語版でPTSDの診断に用いられます。
③ KABC-Ⅱ
間違いです。KABC-Ⅱ(Kaufman Assessment Battery for Children)は、認知尺度のみならず、基礎学力を測定できる個別式習得尺度を備えています。
また、認知処理を、継次処理と同時処理だけでなく、学習能力、計画能力の4つの能力から測定していることも特徴です。
事例Aは同時処理、継時処理等の認知的問題を有しているとは見られません。
④ LSAS-J
これが正解です。LSAS-J(Llebowitz Social Anxiety Scale)は、リーボヴィッツ社交不安尺度で、社交不安障害を計測できます。
⑤ Y-BOCS
間違いです。Y-BOCS(Yale-Brown Obsessive Compulsive Scale)は、エール・ブラウン強迫尺度で、強迫性障害の強迫観念や強迫行為の臨床的重症度の評価に用いられる手法です。
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次は、健康調査票について。
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