YG性格検査は、アメリカ南カリフォルニア大学心理学ギルフォード教授が考案したギルフォード性格検査をモデルとし、京都大学の矢田部教授が日本の文化環境に合うように作成された検査です。
ギルフォードの13因子の中から12因子を抽出して性格検査に用いたのがこのYG性格検査です。
性格検査の中でも質問紙法は、YGPIだけでなくMMPI、MPI、EPIなどがありましたね。
検査方法
12尺度×10問=120の質問に、「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3件法で答えていきます。
MMPIは550問もありましたから、だいぶ少ないですね。
評価
120の質問に対する回答から12尺度を評価し、最終的にA型、B型、C型、D型、E型の5種類のタイプに分類します。
臨床尺度 | 意味 | 内容 | 情緒不安定性因子 | 社会不適応性因子 | 活動性因子 | 衝動性因子 | 内省性因子 | 主導性因子 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
D尺度 | 抑うつ性(depression) | 悲観的 | 〇 | |||||
C尺度 | 回帰性傾向(cyclic tendency) | 気分の変わりやすさ | 〇 | |||||
I尺度 | 劣等感(inferiority feelings) | 自信の無さ、自己の過小評価 | 〇 | |||||
N尺度 | 神経質(nervousness) | 心配性、過敏 | 〇 | |||||
O尺度 | 客観性(objectivity) | 客観的に物事を判断できるか | 〇 | |||||
Co尺度 | 協調性(cooperativeness) | 同調性、猜疑心の強さ | 〇 | |||||
Ag尺度 | 攻撃性(aggression) | 攻撃的かどうか | 〇 | 〇 | ||||
R尺度 | のんきさ(rhathymia) | のんきさの程度 | 〇 | 〇 | ||||
G尺度 | 一般的活動性(general activity) | 心身両面での活動性 | 〇 | 〇 | ||||
T尺度 | 思考的内向/外向(thinking extra/intra) | 社会的に内向か外向か | 〇 | |||||
A尺度 | 支配性(asendance) | リーダーシップの高さ | 〇 | |||||
S尺度 | 社会的内向/外交(social extra/intra) | 対人関係の社交性 | 〇 |
上の12尺度をもとに、以下の5種類のタイプに分類されます。
型 | 意味 |
---|---|
A型(平均型:Average) | 平均的にバランスがとれている |
B型(不安定不適応積極型:Black list) | 情緒面が不安定、積極的で外向的、社会的不適応を起こしやすい |
C型(安定消極型:Calm) | 情緒安定、非活動的で内向的 |
D型(安定積極型:Director) | 情緒が安定し積極的、好ましい性格 |
E型(不安定消極型:Eccentric) | 不安定で非活動的、内向的でノイローゼ傾向 |
以下のA~Eまでの5種類のタイプを覚えるコツは、A~Eまでの頭文字を覚えること。
B型は社会不適応を起こしやすいブラックリストタイプ
C型は消極的なカームタイプ
D型が最も理想的なディレクタータイプ
E型は芸術家肌のエキセントリックタイプ
YGPIとMMPI
同じ質問紙法の性格検査であるMMPI(ミネソタ多面的人格目録)と比較してみましょう。
項目 | YGPI | MMPI |
---|---|---|
理論 | ギルフォード13因子 | 特定のパーソナリティ理論に基づかない |
分類 | 性格検査 | 性格検査 |
手法 | 質問紙法 | 質問紙法 |
質問数 | 120問(3件法) | 550問(3件法) |
評価 | 12尺度、5タイプ | 4妥当性尺度、10臨床尺度 |
過去問
第1回 問8
パーソナリティや自我状態に関する心理検査について、正しいものを1つ選べ。
①MAS は、多面的にパーソナリティを測定する検査である。
②IAT は、顕在的意識レベルの自尊心の個人差を測定する検査である。
③NEO−PI−R は、パーソナリティの6つの次元を測定する検査である。
④東大式エゴグラムは、被検者の自我状態をP、A又はCの3タイプのいずれか1つに分類する検査である。
⑤YG性格検査は、パーソナリティの12の特性を測定する120項目への反応を通して被検者を典型的な型に分類する検査である。
①MAS は、多面的にパーソナリティを測定する検査である。
間違いです。これはMASではなくMMPIの内容です。
MASはMMPIの追加尺度で、不安を計る検査でした。
②IAT は、顕在的意識レベルの自尊心の個人差を測定する検査である。
間違いです。IAT(Implicit Association Test)は「潜在連合テスト」のことです
③NEO−PI−R は、パーソナリティの6つの次元を測定する検査である。
間違いです。NEO−PI−R は、パーソナリティの5つの次元を測定します。
④東大式エゴグラムは、被検者の自我状態をP、A又はCの3タイプのいずれか1つに分類する検査である。
間違いです。東大式エゴグラム(TEG)では5つの自我状態(CP:批判的な親、NP:養育的な親、A:大人、FC:自由な子ども、AC:順応した子ども)に分類されます。
⑤YG性格検査は、パーソナリティの12の特性を測定する120項目への反応を通して被検者を典型的な型に分類する検査である。
これが正解です。
次の記事
次も、同じ質問紙法の性格検査である「NEO-PI-R」について。
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