自己概念
ロジャーズ(C.R.Rogers)の提唱した「自己概念(self-structure)」とは、「自分が自分のことをどのような人間であると思っているか」という、自己が認知する自己像のことです。
詳しくは以下の記事を参照してください。
自己知識
ナイサー(U.Neisser)が提唱した「自己知識」は、自己概念よりも包括的に、過去の思い出や将来の姿の予想なども含めた知識です。
以下の5種類の自己があります。
・対人的自己:自分を対面する他者からとらえる自己
・概念的自己:自分自身や自身の状況などを外部から対象化してとらえる自己
・拡張的/想起的自己:自分の過去・現在・未来においてとらえられる自己
・私的自己:他者と共有できない自分を意識的にとらえる自己
自己意識
自己意識とは、「外的事物や他者と区別された自分自身であるという意識、また自己の本性や能力、およびその限界についての認識」のことです。
自己意識的感情
ルイス(M.Lewis)は、恥や罪悪感、困惑、誇りが自己評価を伴う自己意識的で評価的感情であるとし、単にうまくいかない時に感じるような怒りや悲しみなどと違い、他者の存在や他者が見る自己の姿を意識するからこそ感じる感情を「自己意識的感情」と呼んでいます。
・生後3か月頃までに「満足」という感情から「喜び」という感情が生まれ、「苦痛」という感情から「悲しみ」と「嫌悪」という感情が生まれる。
・生後6か月頃までに「嫌悪」から「怒り」と「恐怖」という感情が生まれ、「興味」から「驚き」という感情が生まれる。
・概ね9か月頃までに喜怒哀楽という基本的な感情が形成される。
・16か月頃には、歩いて行動できる様になることで親元を離れ、自分の世界を創りあげていくことで、「照れる」「憧れ」「共感」といった感情が生まれる
・生後36か月頃には親や周囲の人の存在を認識することで「自尊心」「罪悪感」「恥」といった感情が生まれる。
ルイスは、こうした感情は、関わる人とのつながりの中で形成されていくものなので育つ環境が大きく影響するとしています。
過去問
第1回(追試)問124
感情の発達について、不適切なものを1つ選べ。
① 1歳半頃から誇りの感情が現れる。
② 2歳後半になると罪悪感が現れる。
③ 出生時に、快(充足)、不快(苦痛)及び興味という感情を備えている。
④ 生後半年頃までに、喜び、悲しみ、怒り、恐れ、嫌悪及び驚きという感情が現れる。
① 1歳半頃から誇りの感情が現れる。
不適切なのでこれが正解です。誇りの感情は3歳以降です。
② 2歳後半になると罪悪感が現れる。
正しいです。
③ 出生時に、快(充足)、不快(苦痛)及び興味という感情を備えている。
正しいです。ルイスは出生時に「苦痛」「満足」「興味」を備えていると捉えています。
④ 生後半年頃までに、喜び、悲しみ、怒り、恐れ、嫌悪及び驚きという感情が現れる。
正しいです。これはエクマンの基本感情説です。
第3回 問114
U.Neisser が仮定する5つの自己知識について、不適切なものを1つ選べ。
① 公的自己
② 概念的自己
③ 対人的自己
④ 生態学的自己
⑤ 拡張的/想起的自己
選択肢①が誤りです。私的自己なら正しいです。
次の記事
次は、情動について。
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