認知症については、以下の記事を参照してください。
過去問
第1回(追試)問25
認知症について、正しいものを1つ選べ。
① Lewy 小体型認知症は幻聴を特徴とする。
② Alzheimer 型認知症は感情失禁を特徴とする。
③ 血管性認知症は抑うつやせん妄が生じやすい。
④ 前頭側頭型認知症では初期から記憶障害が著明である。
⑤ Creutzfeldt-Jakob 病は他の認知症に比べて進行が緩徐である。
① Lewy小体型認知症は幻聴を特徴とする。
誤りです。幻聴ではなく幻視です。
② Alzheimer型認知症は感情失禁を特徴とする。
誤りです。感情失禁は血管性認知症の症状です。
③ 血管性認知症は抑うつやせん妄が生じやすい。
正しいです。
④ 前頭側頭型認知症では初期から記憶障害が著明である。
誤りです。初期から記憶障害が顕著な病態の代表はアルツハイマー型認知症です。
前頭側頭型認知症はパーソナリティ変化を特異的な症状とし、アルツハイマー型認知症に比べて記憶障害は生じにくいです。
⑤ Creutzfeldt-Jakob 病は他の認知症に比べて進行が緩徐である。
誤りです。クロイツフェルド・ヤコブ病は全身の不随意運動と急速に進行する認知症が特徴です。
初老期に発症し、筋委縮、錐体路症状、錐体外路症状、認知症などをきたし、多くは数カ月後に亡くなります。
第3回 問22
Alzheimer型認知症について、最も適切なものを1つ選べ。
① うつ症状が起こる。
② 見当識は保持される。
③ 近時記憶障害は目立たない。
④ 具体的な幻視が繰り返し出現する。
⑤ 注意や明晰さの著明な変化を伴う認知の変動がみられる。
① うつ症状が起こる。
正しいです。
② 見当識は保持される。
誤りです。アルツハイマー型認知症では見当識は障害されます。
③ 近時記憶障害は目立たない。
誤りです。アルツハイマー型認知症では近時記憶障害は目立ちます。
④ 具体的な幻視が繰り返し出現する。
誤りです。幻視が出現するのはレビー小体型認知症です。
⑤ 注意や明晰さの著明な変化を伴う認知の変動がみられる。
誤りです。認知の変動が出現するのはレビー小体型認知症です。
第1回(追試)問142
68歳の女性A、夫と二人暮らしである。
A は2年前に Lewy小体型認知症と診断され、月1回専門医療機関に通院している。
特に介護保険サービスは受けておらず、日常生活にも大きな問題はない。
物忘れは目立たないが、男の人が台所に立っているという幻視がある。
夫に対して「あなたは夫と似ているけどにせ者だ」と言うことがある。
Aに認められている症状として、最も適切なものを1つ選べ。
① 記銘障害
② 常同行動
③ 転導性の亢進
④ カプグラ症候群
⑤ 被影響性の亢進
① 記銘障害
誤りです。記銘障害が中核となるのはアルツハイマー型認知症です。
記銘というのは「覚えること」です。
② 常同行動
誤りです。
③ 転導性の亢進
誤りです。転導性の亢進は前頭側頭型認知症で見られることが多い症状です。
ある行為を維持できず、外界の刺激に対して過剰に反応するという形で出現します。
④ カプグラ症候群
これが正解です。妄想的誤認症候群(カプグラ症候群)は近親者などが瓜二つの偽物と入れ替わったと確信する妄想です。
⑤ 被影響性の亢進
誤りです。被影響性の亢進とは、外的刺激に対して反射的に反応し、模倣行動や強迫的言語応答がみられることです。
第1回(追試)問18
認知症の症状を中核症状とBehavioral and PsychologicalSymptoms of Dementia(BPSD)とに分けた場合、中核症状に分類される内容として、正しいものを1つ選べ。
① 失禁
② 失行
③ 徘徊
④ 妄想
⑤ 抑うつ
BPSDとは「認知症の行動・心理症状」のことで、本人の性格や生活環境をはじめ、普段から接している人との関係などによって症状の現れ方が異なるので個人差が大きいとされています。
中核症状には、以下のようなものがあります。
・見当識障害
・実行機能障害
・失語
・失行
・失認
・注意障害
ということで、正解は選択肢②です。
第1回 問24
パーキンソン症状が最も多くみられる疾患を1つ選べ。
① 進行麻痺
② 意味性認知症
③ 前頭側頭型認知症
④ Lewy小体型認知症
⑤ Alzheimer型認知症
選択肢④が正解です。
レビー小体型認知症の症状は幻視とパーキンソン症状が特徴です。
第1回 問131
認知症について、正しいものを2つ選べ。
① Lewy 小体型認知症は幻視を伴うことが特徴である。
② 前頭側頭型認知症は運動障害を伴うことが特徴である。
③ 血管性認知症では歩行障害と尿失禁が早期から出現する。
④ 若年性認知症で最も多いのは Alzheimer 型認知症である。
⑤ Alzheimer 型認知症の早期には近時記憶の障害がみられない。
① Lewy 小体型認知症は幻視を伴うことが特徴である。
正しいです。
② 前頭側頭型認知症は運動障害を伴うことが特徴である。
誤りです。運動障害型前頭側頭型認知症の場合は運動障害を伴わない場合もあります。
③ 血管性認知症では歩行障害と尿失禁が早期から出現する。
正しいです。
④ 若年性認知症で最も多いのは Alzheimer 型認知症である。
誤りです。若年性認知症で最も多いのは血管性認知症、次いでアルツハイマー型です。
⑤ Alzheimer 型認知症の早期には近時記憶の障害がみられない。
誤りです。早期から遅延再生が障害されます。
第1回(追試)問76
高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)について、正しいものを2つ選べ。
72歳の男性A。76歳の妻Bと二人暮らしである。Bは2年前にAlzheimer型認知症の診断を受け、現在は要介護3の状態である。
Aはもともと家事が得意であり、介護保険サービスを利用することなく在宅で介護していた。
Aには、Bに苦労をかけたことが認知症の原因だという思いがあり、限界が来るまで自分で介護したいと強く望んでいる。
最近Bが汚れた下着を隠すようになり、それを指摘してもBは認めようとしない。
Aは時々かっとなって手が出てしまいそうになるが、何とか自分を抑えてきた。
Bの主治医から依頼を受けた公認心理師の行うべき支援として、適切なものを2つ選べ。
① 介護負担軽減のためにBの施設入所を勧める。
② Aと定期的に面接を行い、心理的負担を軽減する。
③ 虐待の可能性があるため、Bと分離する手続を進める。
④ Bの主治医と相談し、Aの精神的安定のため投薬を依頼する。
⑤ Aの許可を得て、地域包括の介護支援専門員とともに負担軽減のためのケアプランを検討する。
選択肢②と⑤が正解です。易しい問題です。
第1回 問140
50歳の女性A、会社員。
Aは不眠を主訴に病院に来院した。
81歳の母親Bと二人暮らしである。
Bは3年前にAlzheimer型認知症と診断され、要介護2で週3回デイサービスに通所していた。
1か月前から、Bは家を空けると泥棒が入り預金通帳を盗まれると言って自宅から出なくなった。
さらに、不眠で夜間に徘徊し、自らオムツを外して室内を汚すようになった。
Aは介護と見守りのためにほとんど眠れないという。
このときの病院の公認心理師がA及びBに助言する内容として、最も適切なものを1つ選べ。
① Aがカウンセリングを受ける。
② AがBと関わる時間を減らす。
③ Aが地域活動支援センターに相談する。
④ Aが介護支援専門員と共にBのケアプランを再検討する。
⑤ Bが医療機関を受診し抗精神病薬による治療を受ける。
① Aがカウンセリングを受ける。
間違いです。AのカウンセリングをしてもBへの介護負担は減りません。
② AがBと関わる時間を減らす。
間違いです。最も適切とは言えません。
③ Aが地域活動支援センターに相談する。
間違いです。地域活動支援センターは障害者の日中活動をサポートするところです。
④ Aが介護支援専門員と共にBのケアプランを再検討する。
これが正解です。
⑤ Bが医療機関を受診し抗精神病薬による治療を受ける。
間違いです。これでは解決になりません。
第1回(追試) 問140
84歳の女性A、夫と二人暮らしである。
Aは2年前に大腿骨を骨折し手術を受けたが、リハビリを拒否したまま退院した。
現在は歩行が困難で、食事は不規則であり、入浴もあまりしていない。
Aは易怒的であり夫に暴言を浴びせる。
遠方に住む長女から地域包括支援センターに相談があったため、センター職員が数回訪問し、認知症を疑った。
このときの認知症初期集中支援チームによる支援として、最も適切なものを1つ選べ。
① 整形外科の医師がチームに加わる。
② 初回訪問はチーム員の介護福祉士2名で行う。
③ 出来るだけ早くAを精神科病院に入院させる。
④ 初回訪問から介護保険サービスの利用を開始する。
⑤ 初回訪問で、専門の医療機関への受診に向けた動機づけをAと夫に行う。
① 整形外科の医師がチームに加わる。
間違いです。なぜ整形外科なのでしょう。
② 初回訪問はチーム員の介護福祉士2名で行う。
間違いです。チーム員は医療系職員1名と介護系職員1名の2名以上が原則です。
③ 出来るだけ早くAを精神科病院に入院させる。
間違いです。
④ 初回訪問から介護保険サービスの利用を開始する。
間違いです。
⑤ 初回訪問で、専門の医療機関への受診に向けた動機づけをAと夫に行う。
これが正解です。
第1回(追試)問37
認知症のケアに用いる技法として、不適切なものを1つ選べ。
① 回想法
② 動作法
③ バリデーション
④ デブリーフィング
⑤ リアリティ・オリエンテーション
選択肢④が不適切です。心理的デブリーフィングは不適切です。
第1回(追試)問94
認知症の症状を呈する病態で、治療が可能で病前の正常な状態に回復する可能性があるものとして、適切なものを1つ選べ。
① Pick 病
② 進行麻痺
③ 低酸素脳症
④ 正常圧水頭症
⑤ Creutzfeldt-Jakob 病
選択肢④が正解です。
正常圧水頭症は、外科手術で治る唯一の認知症です。
脳室にチューブをいれそのチューブを皮下を通しておなかの中にチューブを埋め込む手術が行われ、主な症状である歩行障害・軽度の認知症症状・排尿機能障害は髄液シャント術後数日で改善する場合もあれば、数週間、数ヶ月で改善することもあります。
第5回 問143
60歳の男性A、俳人。物忘れが最近増えてきたことを心配した同居の息子Bに連れられ、精神科クリニックを受診した。黙っているAに代わって話をしたBによると、Aは、半年前から膝が上がらなくなり、徐々に歩幅が小さくなった。今では、脚が左右に開き気味で、歩行が不安定である。また、3か月ほど前からトイレに行く頻度が増え、近頃は、間に合わずに尿を漏らすこともある。日中は、ぼんやりしていることが多く、楽しみにしていた地域の句会にもしばらく参加していない。一方で、夜間はよく眠れており、食欲も以前と変わらず、奇異な訴えもない。Aに考えられる病態として、最も適切なものを1つ選べ。
① 正常圧水頭症
② 老年期うつ病
③ 前頭側頭型認知症
④ Lewy 小体型認知症
⑤ Alzheimer 型認知症
選択肢①が正解です。
第3回 問21
T. Kitwood の提唱した認知症に関するパーソンセンタード・ケアの考え方について、最も適切なものを1つ選べ。
① 問題行動を示したときは、効率的に管理しなければならない。
② ケアで重要なことは、介護者自身の不安や弱さなどは考慮せず、理性的に行うことである。
③ 認知症の治療薬が開発されるまで、専門家として認知症の人にできることはほとんどない。
④ 認知症は、第一の視点として、中枢神経系の病気としてよりも障害としてみるべきである。
⑤ ケアは、安全な環境を提供し、基本的ニーズを満たし、身体的ケアを与えることが中心となる。
「パーソン・センタード・ケア」は、イギリスの心理学者のトム・キットウッド(T.Kitwood)によって提唱された方法で、認知症患者を人として尊重し、その人の立場に立って行う認知症ケアです。
選択肢④が正解です。ここでいう障害と病気の違いとは、病気は仕方がないものであるが、障害は介護の質により軽減できるもの、と捉えます。
第3回 問140
75歳の男性A。
Aの物忘れを心配した妻の勧めで、Aは医療機関を受診し、公認心理師Bがインテーク面接を担当した。
Bから「今日は何日ですか」と聞かれると、「この年になったら日にちなんか気にしないからね」とAは答えた。さらに、Bから「物忘れはしますか」と聞かれると、「多少しますが、別に困っていません。メモをしますから大丈夫です」とAは答えた。
Aに認められる症状として、最も適切なものを1つ選べ。
① 抑うつ状態
② 取り繕い反応
③ 半側空間無視
④ 振り返り徴候
⑤ ものとられ妄想
選択肢②が正解です。
取り繕い反応はアルツハイマー型でよく見られます。
第3回 問142
55歳の男性A、会社員。
Aの妻Bが、心理相談室を開設している公認心理師Cに相談した。
Aは、元来真面目な性格で、これまで常識的に行動していたが、2・3か月前から身だしなみに気を遣わなくなり、部下や同僚の持ち物を勝手に持ち去り、苦情を受けても素知らぬ顔をするなどの行動が目立つようになった。
先日、Aはデパートで必要とは思われない商品を次々とポケットに入れ、支払いをせずに店を出て、窃盗の容疑により逮捕された。
現在は在宅のまま取調べを受けている。
Bは、逮捕されたことを全く意に介していない様子のAについて、どのように理解し、対応したらよいかをCに尋ねた。CのBへの対応として、最も優先度が高いものを1つ選べ。
① Aの抑圧されていた衝動に対する理解を求める。
② Aの器質的疾患を疑い、医療機関の受診を勧める。
③ Aに内省的構えを持たせるため、カウンセリングを受けるよう勧める。
④ Aに再犯リスクアセスメントを実施した後、対応策を考えたいと提案する。
⑤ Aの会社や家庭におけるストレスを明らかにし、それを低減させるよう助言する。
選択肢②が正解です。人格変化の出現よりピック病(前頭側頭型認知症)が疑われます。
第4回 問98
初期のアルツハイマー型認知症の所見として、最も適切なものを1つ選べ。
① 徘徊
② 錐体外路症状
③ 着脱衣の困難
④ 遠隔記憶の障害
⑤ 同じ話の繰り返し
選択肢⑤が正解です。
第4回 問140
65歳の女性A、夫Bと二人暮らし。
Aは半年前から動作が緩慢となり呂律が回らないなどの様子が見られるようになった。
症状は徐々に悪化し、睡眠中に大声を上げ、 暴れるなどの行動が見られる。
” 家の中に知らない子供がいる”と訴えることもある。Bに付き添われ、Aは総合病院を受診し、認知症の診断を受けた。
Aに今後 おこりうる症状として、最も適切なものを1つ選べ。
① 反響言語
② 歩行障害
③ けいれん発作
④ 食行動の異常
⑤ 反社会的な行動
選択肢②が正解です。
事例より幻視の症状がありレビー小体型認知症が疑われます。
ということで今後は歩行障害(パーキンソン症状)が出現する可能性があります。
第5回 問68
78歳の女性A。3年前に夫と死別した後は、一人暮らしをしている。元来きれい好きで、家の中はいつもきちんと片付いていた。遠方に住む一人娘のBは、安否確認を兼ねて毎日電話でAと話をしている。Aは、2年ほど前から何度も同じ話を繰り返すようになり、半年前頃から、Bと午前中に電話で話したことを忘れて、1日に何度も電話をかけるようになってきた。心配になったBがAを訪問すると、家の中や外に大量のごみがあり、冷蔵庫に賞味期限切れの食材が大量に入っていた。Aの人柄が変わった様子は特にないが、Bが捨てるように説得しても、Aは食べられるから大丈夫と言って取り合わない。Aの状況から考えられる病態として、最も適切なものを1つ選べ。
① うつ病
② ためこみ症
③ 前頭側頭型認知症
④ 持続性複雑死別障害
⑤ Alzheimer 型認知症
事例からは明らかに認知症の症状が見られますが、前頭側頭型認知症の特徴である人格変化は「人柄が変わった様子はない」とあるので否定され、選択肢⑤のアルツハイマー型認知症が正解です。
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次は、感染症について。
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