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【災害心理学】サイコロジカルファーストエイドでは「心理的デブリーフィング」はダメ

サイコロジカルファーストエイド 災害
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サイコロジカル・ファーストエイド

アメリカ国立PTSDセンターとアメリカ国立子どもトラウマティックストレス・ネットワークが開発した「サイコロジカルファーストエイド実施の手引き」によると、

サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)は、災害やテロの直後に子ども、思春期の人、大人、家族に対して行うことのできる効果の知られた心理的支援の方法を、必要な部分だけ取り出して使えるように構成したものです。PFAは、トラウマ的出来事によって引き起こされる初期の苦痛を軽減すること、短期・長期的な適応機能と対処行動を促進することを目的としています。

ということで、ザックリとした理解では、「災害やテロの直後の心理的支援」ということです。

心理的デブリーフィング

心理的デブリーフィングはトラウマ的体験を話す等で感情表出を促し心理教育を行うものです。

これは、当初はストレス反応の悪化とPTSDを予防するための方法であると主張され各国に広められましたが、PTSDへの予防効果は現在では否定されており、かえって悪化する場合も報告されています。

ということで現在では、サイコロジカルファーストエイドとしての心理的デブリーフィングは奨励されていません。

ただし、自殺のポストベンションでは心理的デブリーフィングが実施されます。

過去問

第1回 問1

サイコロジカル・ファーストエイドを活用できる場面として、最も適切なものを1つ選べ。
① インテーク面接
② 予定手術前の面接
③ 心理検査の実施場面
④ 事故現場での被害者の救援
⑤ スクールカウンセリングの定期面接

選択肢④が正解です。

第1回 問124

巨大な自然災害の直後におけるサイコロジカル・ファーストエイドについて、適切なものを2つ選べ。
① 被災者の周囲の環境を整備し、心身の安全を確保する。
② 被災者は全て心的外傷を受けていると考えて対応する。
③ 被災体験を詳しく聞き出し、被災者の感情表出を促す。
④ 食料、水、情報など生きていく上での基本的ニーズを満たす手助けをする。
⑤ 被災者のニーズに直接応じるのではなく、彼らが回復する方法を自ら見つけられるように支援する。

①被災者の周囲の環境を整備し、心身の安全を確保する。
正しいです。

②被災者は全て心的外傷を受けていると考えて対応する。
間違いです。そんなことはありません。

③被災体験を詳しく聞き出し、被災者の感情表出を促す。
間違いです。
被災者の感情表出を促す(心理的デブリーフィング)はサイコロジカル・ファーストエイドとしては不適切です。

④食料、水、情報など生きていく上での基本的ニーズを満たす手助けをする。
正しいです。

⑤被災者のニーズに直接応じるのではなく、彼らが回復する方法を自ら見つけられるように支援する。
間違いです。サイコロジカル・ファーストエイドとしては不適切です。
被災者のニーズに直接応じます。

第1回 問93

災害時の支援について、正しいものを1つ選べ。
① 被災直後の不眠は病的反応であり、薬物治療を行う。
② 被災者に対する心理的デブリーフィングは有効な支援である。
③ 危機的な状況で子どもは成人よりリスクが高く、特別な支援を必要とする。
④ 被災者の悲観的な発言には、「助かって良かったじゃないですか」と励ます。
⑤ 被災者から知り得た情報は、守秘義務に基づき、いかなる場合も他者に話してはならない。

① 被災直後の不眠は病的反応であり、薬物治療を行う。
間違いです。

② 被災者に対する心理的デブリーフィングは有効な支援である。
間違いです。被災者支援の中で心理的デブリーフィングは推奨されていません。
心理的デブリーフィングとはトラウマ的体験を話す等で感情表出を促し心理教育を行うものです。

③ 危機的な状況で子どもは成人よりリスクが高く、特別な支援を必要とする。
これが正解です。

④ 被災者の悲観的な発言には、「助かって良かったじゃないですか」と励ます。
間違いです。

⑤ 被災者から知り得た情報は、守秘義務に基づき、いかなる場合も他者に話してはならない。
間違いです。「いかなる場合も」というのは間違いです。

第1回 問96

災害発生後の「被災者のこころのケア」について、正しいものを1つ選べ。
① ボランティアが被災者を集め、被災体験を語ってもらう。
② 避難所などにおける対象者のスクリーニングは、精神科医が実施する。
③ 支援者のストレス反応に対しては、役割分担と業務ローテーションの明確化や業務の価値づけが有効である。
④ 避難所などにおけるコミュニティ形成について経験のあるNPOへの研修を迅速に行い、協力体制を整備する。
⑤ 悲嘆が強くひきこもりなどの問題を抱えている被災者を「見守り必要」レベルとして、地域コミュニティのつながりで孤立感を解消する。

① ボランティアが被災者を集め、被災体験を語ってもらう。
間違いです。心理的デブリーフィングはダメということです。

② 避難所などにおける対象者のスクリーニングは、精神科医が実施する。
間違いです。スクリーニングは精神科医ではなく一般援助者が行います。

③ 支援者のストレス反応に対しては、役割分担と業務ローテーションの明確化や業務の価値づけが有効である。
これが正解です。

④ 避難所などにおけるコミュニティ形成について経験のあるNPOへの研修を迅速に行い、協力体制を整備する。
間違いです。やることが少しズレています。

⑤ 悲嘆が強くひきこもりなどの問題を抱えている被災者を「見守り必要」レベルとして、地域コミュニティのつながりで孤立感を解消する。
間違いです。「一般の被災者」「見守り必要」「被災者」の3つのレベルのうち「見守り必要」レベルは専門的対応が必要です。

第1回 問63(追試)

小学校で原因不明の爆発事故が起こり、多数の負傷者がいると通報があった。
所轄警察署に勤務する公認心理師は事故発生後、他の署員とともに直ちに事故現場において被害者支援を行った。
事故の連絡を受けて駆け付けた保護者への公認心理師の優先される対応として、適切なものを1つ選べ。
① 報道機関の取材に応じる
② 保護者が希望しない限り、情報提供を控える。
③ 学校教職員から保護者に説明する場を設定する。
④ 免許証などにより保護者を確認し、部外者の侵入を防ぐ。
⑤ 関係者と協力して児童の状況について情報を集め、保護者に提供する。

公認心理師の対応ということであれば、選択肢⑤が正解です。
サイコロジカル・ファーストエイドの原則に沿っています。

第1回(追試)問95

災害発生後早期の支援について、最も適切なものを1つ選べ。
① 身体に触れて安心感を与える。
② GHQ-28 を用いて被災者の健康状態を調査する。
③ 災害以前から治療を受けている疾患がないかを被災者に確認する。
④ 被災者のグループ面接で避難生活の不満を互いに話し、カタルシスが得られるようにする。
⑤ 強い精神的ショックを受けた被災者が混乱して興奮している状態を、正常な反応として静かに見守る。

サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)の内容になっています。

① 身体に触れて安心感を与える。
誤りです。PFAの「言ってはならないこと、してはならないこと」として、「適切であることを確信できない場合には、相手の体に触れてはいけません」と明記されています。

② GHQ-28 を用いて被災者の健康状態を調査する。
誤りです。GHQ(精神健康調査)は、主として神経症者の症状把握、評価および発見に有効なスクリーニング検査ですが、災害発生直後の支援としては不適切です。

③ 災害以前から治療を受けている疾患がないかを被災者に確認する。
適切です。

④ 被災者のグループ面接で避難生活の不満を互いに話し、カタルシスが得られるようにする。
誤りです。PFAには「PFA は心理的デブリーフィングに代わるもので、心理的デブリーフィングには有効性がないことがすでに実証されています」とあります。

⑤ 強い精神的ショックを受けた被災者が混乱して興奮している状態を、正常な反応として静かに見守る。
誤りです。強い精神的ショックを受けた被災者が混乱して興奮している状態を「正常な反応」と捉えるのは不適切です。

第4回 問116

災害支援者を対象とするストレス対策として、不適切なものを1つ選べ。
① 生活ペースを維持する。
② 業務のローテーションを組む。
③ 住民の心理的反応に関する研修を行う。
④ ストレスのチェックリストによる 心身不調の確認を行う。
⑤ 話したくない体験や 気持ちについても積極的に話すように促す。

選択肢⑤が不適切です。心理的デブリーフィングは効果がないどころか、かえって有害と言われています。

第3回 問95

災害時の保健医療支援体制について、最も適切なものを1つ選べ。
① 災害派遣精神医療チーム(DPAT)は、都道府県医師会によって組織される。
② 災害拠点病院は、高度の医療を提供できる 400 床以上の病院の中から厚生労働省が指定する。
③ 災害派遣医療チーム(DMAT)は、各都道府県で実施する養成研修の修了者によって構成される。
④ 災害医療コーディネーターは、所定の研修を修了した者に対して厚生労働省が付与する資格である。
⑤ 広域災害救急医療情報システム(EMIS)は、インターネット上で災害時の医療情報の共有を図るシステムである。

① 災害派遣精神医療チーム(DPAT)は、都道府県医師会によって組織される。
誤りです。DPATは都道府県が組織します。

② 災害拠点病院は、高度の医療を提供できる400床以上の病院の中から厚生労働省が指定する。
誤りです。災害拠点病院は都道府県が指定します。

③ 災害派遣医療チーム(DMAT)は、各都道府県で実施する養成研修の修了者によって構成される。
誤りです。日本DMATの研修は厚生労働省が、都道府県DMATの研修は都道府県が実施する。

④ 災害医療コーディネーターは、所定の研修を修了した者に対して厚生労働省が付与する資格である。
誤りです。災害医療コーディネーターは厚生労働省ではなく都道府県が任命します。

⑤ 広域災害救急医療情報システム(EMIS)は、インターネット上で災害時の医療情報の共有を図るシステムである。
正しいです。EMISはこちら。

第4回 問143

25歳の男性A、消防士。
妻と二人暮らし。台風による大雨で川が大規模に氾濫したため、Aは救出活動に従事した。
当初は被災住民を救出できたが、3日目以降は遺体の収容作業が多くなった。
5日目を過ぎた頃から同僚に”自分は何の役にも立たない。何のために仕事をしているのかわからない。
家ではイライラして 妻に対してちょっとしたことで怒り、夜は何度も目を覚ましている”と話した。
心配した同僚の勧めで、Aは医療支援チームの一員である公認心理師Bに相談した。
この段階でのBのAへの対応として、最も適切なものを1つ選べ。
① もう少し働き続ければ慣れると伝える。
② 職業の適性に関する評価が必要であることを伝える。
③ 家庭では仕事の辛さについて話をしないよう 勧める。
④ 他の消防士も参加できるデブリーフィングの場を設ける。
⑤ 急なストレス状況でしばしばみられる症状であることを伝える。

選択肢⑤が適切です。
選択肢④のような心理的デブリーフィングは不適切です。

次の記事

次は、民法に入っていきます。

【民法】親権
民法には扶養義務、親権、相続、遺言などが規定されています。詳細は以下の記事を参照してください。親権について<親権者の同意が必要なケース>・児童養護施設への措置入所・里親委託<親権者の同意が必要ないケース>・虐待...

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