「NEO Personality lnventory (NEO-PI)」は、ビッグファイブ理論に基づいて、コスタ(P.T.Costa)とマクレー(R.R.McCrae)によって開発された人格検査です。
NEOとは何か、記事を読めば分かります。
1978年から10年間にわたり研究開発されてきた、その流れを見てみましょう。
開発経緯
オールポート「基本的辞書仮説」→ゴールドバーグ「ビッグファイブ」→コスタ&マクレー「NEO-PI-R」の流れです。
特性論で有名なオールポートは、性格特性を見出す際に「基本的特性は辞書にある単語に表れているはず(基本的辞書仮説)」と考え、辞書から性格表現用語18,000語を抽出し整理・分類しました。
特性論は基本的な性格特性(因子、次元)を見出すものでしたね。
この時点ではそれ以上の進展がなかったのですが、因子分析という科学的方法が盛んになり、ゴールドバーグはここから5因子を見出しビッグファイブと名付けます。
1990年代以降、この5因子モデルがパーソナリティ研究の中心になっていきます。
以下の表にあるように、NEOACと並んでおり、この順番で因子が見つかっています。
5次元 | 意味 |
---|---|
神経症傾向(N:Neuroticism) | 情動における安定性 |
外向性(E:Extraversion) | 対人関係や外界に対する働きかけにおける積極性 |
開放性(O:Openness to Experience) | 知的関心における開放性 |
調和性(A:Agreeableness) | 対人関係における共感性や思いやり |
誠実性(C:conscientiousness) | 仕事面におけるセルフ・コントロールや責任感 |
この流れの中でビッグファイブを元に、コスタ(P.T.Costa)とマクレー(R.R.Macrae)が開発した心理検査が、「NEO Personality lnventory (NEO-PI)」です。
いろいろと意見のあったビッグファイブですが、5因子の中でも「神経症傾向」と「外向性」は多くの意見が一致し、「NEO-PI」ではまずこの2因子を取り入れます。
さらに「開放性」を加えて3次元とし、NEO-PIの前身であるNEOインベントリーを開発しました。
つまり、神経症傾向(N)、外向性(E)、開放性(O)の頭文字をとって「NEO」ですね。
その後「調和性」と「誠実性」が追加され、それぞれに6つの下位次元を設定して、1991年に人格検査「NEO-PI-R」として刊行されています。
「R」は「Revised」、つまり改訂版ということです。
5因子と下位次元
「NEO-PI-R」には5因子とそれぞれに6つの下位次元が設定されています。
5次元→6下位次元。5→6と覚えましょう。
5次元 | 下位次元 |
---|---|
神経症傾向(N) | 抑うつ、不安、敵意、自意識、衝動性、傷つきやすさ |
外向性(E) | 活動性、温かさ、群居性、断行性、刺激希求性、よい感情 |
開放性(O) | 空想、審美性、感情、行為、アイデア、価値 |
調和性(A) | 信頼、実直さ、利他性、応諾、慎み深さ、優しさ |
誠実性(C) | 秩序、良心性、達成追求、自己鍛錬、慎重さ、コンピテンス |
検査方法
実際の検査方法は、240項目の質問に5段階(非常にそうだ、そうだ、どちらでもない、そうでない、全くそうでない)で答えていきます。
30~40分で終了します。
これによって、先ほど見てきた5因子とそれぞれの下位特性が評価できます。
過去問
第1回(追試)問15
NEO-PI-R について、正しいものを1つ選べ。
① G.W.Allport が開発した。
② 人格の類型論が背景にある。
③ 誠実性と調和性は後から加えられた。
④ 敵意は外向性の下位次元に含まれる。
⑤ 各人格次元にはそれぞれ2つの下位次元がある。
① G.W.Allport が開発した。
間違いです。オールポートの理論に基づいてはいますが、開発したのはコスタとマクレーです。
② 人格の類型論が背景にある。
間違いです。類型論ではなく特性論です。
③ 誠実性と調和性は後から加えられた。
これが正解です。最初に「外向性」「神経症傾向」「開放性」の3次元、その後「誠実性」と「調和性」が加えられて5次元となっています。
④ 敵意は外向性の下位次元に含まれる。
間違いです。敵意は外向性ではなく「神経症傾向」の下位次元です。
⑤ 各人格次元にはそれぞれ2つの下位次元がある。
間違いです。それぞれの下位次元の数は6つです。
かなり細かい出題ですね。下位次元まで覚えている人は少ないでしょうし、開発経緯も知っている人は少なかったでしょう。
第5回 問87
パーソナリティの5因子モデルのうち、開放性に関連する語群として、最も適切なものを1つ選べ。
① 寛大な、協力的な、素直な
② 怠惰な、無節操な、飽きっぽい
③ 陽気な、社交的な、話し好きな
④ 悩みがち、動揺しやすい、悲観的な
⑤ 臨機応変な、独創的な、美的感覚の鋭い
選択肢⑤が正解です。
次の記事
次は同じ性格検査でも投影法でもなく、質問紙法でもない、作業検査法の一種である「内田クレペリン作業検査」を取り上げます。
コメント