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【裁判員制度】裁判員に選ばれたことある?

裁判員制度 司法&犯罪
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裁判員に選ばれたこと、ありますか。

たぶんないですよね。

裁判員裁判の裁判員に選ばれる確率は約0.01%です。

周りにもなかなかいないでしょう。

ここでは裁判員制度について、法務省ホームページの内容を参考に見ていきましょう。

元となる法律は裁判員法(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)です。

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経緯

国民が裁判に参加する制度は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなど世界の国々で広く行われています。

日本でも裁判員法が2004年に成立し、裁判員制度として2009年にスタートしました。

国民が裁判に参加することで裁判が身近になり、国民の司法に対する理解と信頼が深まることが期待されています。

さらに、司法の専門家だけでなく、一般の国民の意見も裁判に反映させることができます。 

こんなゆるキャラで裁判員制度を啓発しています。

裁判員制度

裁判員の対象

まず選挙人名簿をもとに裁判員候補者名簿が作成され、この中から裁判員が選ばれます。

令和5年以前は、20歳以上で選挙権のある人の中から裁判員が選任されますが、令和5年以降は成人年齢の引き下げによって18~19歳の人も選任されます。

令和4年4月から成人年齢が引き下げられ、18歳から成人です。

裁判員制度の対象となる事件

裁判員制度の対象となる事件は、殺人や強盗致死傷、危険運転致死など、重大な犯罪です。

地方裁判所での裁判が対象で、高等裁判所や最高裁判所の裁判は対象となりません。

裁判員法 第二条

死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件を対象とする。

裁判員

対象

裁判員法 第十三条 

裁判員は、衆議院議員の選挙権を有する者の中から、この節の定めるところにより、選任するものとする。

衆議院議員選挙の選挙権を有する者とは、「日本国民で18歳以上」ということです。

欠格事由

以下のように、義務教育を終了していない人は、裁判員になれません。

裁判員法 第十四条 

国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十八条の規定に該当する場合のほか、次の各号のいずれかに該当する者は、裁判員となることができない。

一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に定める義務教育を終了しない者。ただし、義務教育を終了した者と同等以上の学識を有する者は、この限りでない。
二 禁錮以上の刑に処せられた者
三 心身の故障のため裁判員の職務の遂行に著しい支障がある者

就職禁止事由

以下のような職業の人も裁判員になれません。

弁護士などの法律の専門家が裁判員になると、そもそも制度の主旨に反しますから。

裁判員法 第十五条 

次の各号のいずれかに該当する者は、裁判員の職務に就くことができない。

一 国会議員
二 国務大臣
三 次のいずれかに該当する国の行政機関の職員
イ 一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)別表第十一指定職俸給表の適用を受ける職員(ニに掲げる者を除く。)
ロ 一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号)第七条第一項に規定する俸給表の適用を受ける職員であって、同表七号俸の俸給月額以上の俸給を受けるもの
ハ 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)別表第一及び別表第二の適用を受ける職員
ニ 防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号。以下「防衛省職員給与法」という。)第四条第一項の規定により一般職の職員の給与に関する法律別表第十一指定職俸給表の適用を受ける職員、防衛省職員給与法第四条第二項の規定により一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律第七条第一項の俸給表に定める額の俸給(同表七号俸の俸給月額以上のものに限る。)を受ける職員及び防衛省職員給与法第四条第五項の規定の適用を受ける職員
四 裁判官及び裁判官であった者
五 検察官及び検察官であった者
六 弁護士(外国法事務弁護士を含む。以下この項において同じ。)及び弁護士であった者
七 弁理士
八 司法書士
九 公証人
十 司法警察職員としての職務を行う者
十一 裁判所の職員(非常勤の者を除く。)
十二 法務省の職員(非常勤の者を除く。)
十三 国家公安委員会委員及び都道府県公安委員会委員並びに警察職員(非常勤の者を除く。)
十四 判事、判事補、検事又は弁護士となる資格を有する者
十五 学校教育法に定める大学の学部、専攻科又は大学院の法律学の教授又は准教授
十六 司法修習生
十七 都道府県知事及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長
十八 自衛官

辞退事由

基本的に裁判員は以下のような特別な場合を除き、辞退することはできません。

正当な理由がないのに裁判所に出頭しない場合には、10万円以下の過料の制裁を受けることがあります。

つまり、①重い病気で裁判に出席できない、②家族の介護でどうしても行けない、③どうしても自分がやらなければならない仕事がある、④両親のお葬式、⑤災害で大きな被害を受けた、⑥家族の通院の付き添いがどうしても必要、⑦妻や娘の出産に立ち会う必要がある、などです。

裁判員法 第十六条 

次の各号のいずれかに該当する者は、裁判員となることについて辞退の申立てをすることができる。

一 年齢七十年以上の者
二 地方公共団体の議会の議員(会期中の者に限る。)
三 学校教育法第一条、第百二十四条又は第百三十四条の学校の学生又は生徒(常時通学を要する課程に在学する者に限る。)
四 過去五年以内に裁判員又は補充裁判員の職にあった者
五 過去三年以内に選任予定裁判員であった者
六 過去一年以内に裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭したことがある者(第三十四条第七項(第三十八条第二項(第四十六条第二項において準用する場合を含む。)、第四十七条第二項及び第九十二条第二項において準用する場合を含む。第二十六条第三項において同じ。)の規定による不選任の決定があった者を除く。)
七 過去五年以内に検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)の規定による検察審査員又は補充員の職にあった者
八 次に掲げる事由その他政令で定めるやむを得ない事由があり、裁判員の職務を行うこと又は裁判員候補者として第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することが困難な者
イ 重い疾病又は傷害により裁判所に出頭することが困難であること。
ロ 介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある同居の親族の介護又は養育を行う必要があること。
ハ その従事する事業における重要な用務であって自らがこれを処理しなければ当該事業に著しい損害が生じるおそれがあるものがあること。
ニ 父母の葬式への出席その他の社会生活上の重要な用務であって他の期日に行うことができないものがあること。
ホ 重大な災害により生活基盤に著しい被害を受け、その生活の再建のための用務を行う必要があること。

不適格事由

当然ですが、被告人や被害者、その親族などは裁判員になれません。

裁判員法 第十七条 

次の各号のいずれかに該当する者は、当該事件について裁判員となることができない。

一 被告人又は被害者
二 被告人又は被害者の親族又は親族であった者
三 被告人又は被害者の法定代理人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人
四 被告人又は被害者の同居人又は被用者
五 事件について告発又は請求をした者
六 事件について証人又は鑑定人になった者
七 事件について被告人の代理人、弁護人又は補佐人になった者
八 事件について検察官又は司法警察職員として職務を行った者
九 事件について検察審査員又は審査補助員として職務を行い、又は補充員として検察審査会議を傍聴した者
十 事件について刑事訴訟法第二百六十六条第二号の決定、略式命令、同法第三百九十八条から第四百条まで、第四百十二条若しくは第四百十三条の規定により差し戻し、若しくは移送された場合における原判決又はこれらの裁判の基礎となった取調べに関与した者。ただし、受託裁判官として関与した場合は、この限りでない。

補充裁判員

以下のように、裁判員の員数に不足が生じた場合、補充裁判員を充てることになっています。

裁判員法 第十条 
裁判所は、審判の期間その他の事情を考慮して必要があると認めるときは、補充裁判員を置くことができる。ただし、補充裁判員の員数は、合議体を構成する裁判員の員数を超えることはできない。
2 補充裁判員は、裁判員の関与する判断をするための審理に立ち会い、第二条第一項の合議体を構成する裁判員の員数に不足が生じた場合に、あらかじめ定める順序に従い、これに代わって、裁判員に選任される。
3 補充裁判員は、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧することができる。
4 前条の規定は、補充裁判員について準用する。

裁判員法 第四十六条

裁判所は、第二条第一項の合議体を構成する裁判員の員数に不足が生じた場合において、補充裁判員があるときは、その補充裁判員の選任の決定において定められた順序に従い、補充裁判員を裁判員に選任する決定をするものとする。

2 前項の場合において、裁判員に選任すべき補充裁判員がないときは、裁判所は、不足する員数の裁判員を選任しなければならない。この場合においては、第三十八条の規定を準用する。

裁判の流れ

①公判スタート

原則「裁判官3人+裁判員6人」で行いますが、「裁判官1人+裁判員4人」の場合もあります。

裁判員法 第二条

裁判官の員数は三人、裁判員の員数は六人とし、裁判官のうち一人を裁判長とする。ただし、次項の決定があったときは、裁判官の員数は一人、裁判員の員数は四人とし、裁判官を裁判長とする。
公判前整理手続による争点及び証拠の整理において公訴事実について争いがないと認められ、事件の内容その他の事情を考慮して適当と認められるものについては、裁判所は、裁判官一人及び裁判員四人から成る合議体を構成して審理及び裁判をする旨の決定をすることができる。

②公判に参加

公判では、証拠書類を調べ、証人や被告人に対する質問をすることもできます。

③裁判官と裁判員で評決

全員の意見が一致しなかった場合、評決は多数決により行われます。

ただし裁判員だけによる意見では被告人に不利な判断(被告人が有罪か無罪かの評決の場面では有罪の判断)をすることはできず裁判官1人以上が多数意見に賛成していることが必要です。

④裁判長が判決宣告

これで裁判員の仕事は終了です。

守秘義務

裁判員には守秘義務があります。

これは裁判員でなくなった後も、課せられます。

裁判員法 第九条 
裁判員は、法令に従い公平誠実にその職務を行わなければならない。
2 裁判員は、第七十条第一項に規定する評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。
3 裁判員は、裁判の公正さに対する信頼を損なうおそれのある行為をしてはならない。
4 裁判員は、その品位を害するような行為をしてはならない。

守秘義務に違反すると50万円以下の罰金や、内容によっては懲役もあり得ます。

過去問

第1回 問53

裁判員裁判について、正しいものを2つ選べ。
① 原則として、裁判官3人と国民から選ばれた裁判員6人の計9人で行われる。
② 被告人が犯罪事実を認めている事件に限り審理し、量刑のみを判決で決める。
③ 裁判員は判決前には評議の状況を外部に漏らしてはいけないが、判決以降は禁止されていない。
④ 職業裁判官と裁判員が評議をつくしても全員の意見が一致しない場合、多数決の方式を採用して評決する。
⑤ 地方裁判所の裁判員裁判の決定に不服があって高等裁判所で審理をされる場合も裁判員裁判をしなければならない。

① 原則として、裁判官3人と国民から選ばれた裁判員6人の計9人で行われる。
正しいです。

② 被告人が犯罪事実を認めている事件に限り審理し、量刑のみを判決で決める。
間違いです。被告人が有罪か無罪かも審理します。

③ 裁判員は判決前には評議の状況を外部に漏らしてはいけないが、判決以降は禁止されていない。
間違いです。守秘義務は判決以降も課せられます。

④ 職業裁判官と裁判員が評議をつくしても全員の意見が一致しない場合、多数決の方式を採用して評決する。
正しいです。

⑤ 地方裁判所の裁判員裁判の決定に不服があって高等裁判所で審理をされる場合も裁判員裁判をしなければならない。
間違いです。裁判員裁判の対象は地方裁判所での裁判です。

第4回 問148

35歳の男性A、会社員。
Aは、不眠を主訴として勤務する会社の相談室を訪れ、相談室の公認心理師Bが対応した。
Aによると、最近、Aはある殺人事件の裁判員となった。
裁判は8日間のうちに4回実施される。裁判開始前からAは守秘義務の遵守が負担となっていたが、1回目、2回目の裁判の後はほとんど眠れなかったという。
BはAの気持ちを受け止め、不眠に対する助言をしたが、Aは、「裁判は残り2回あるが、どうすればよいか」と、Bにさらに助言を求めた。
BのAへの助言として、適切なものを1つ選べ。
① 裁判所に連絡するよう伝える。
② 理由や詳細を述べることなく辞任ができることを伝える。
③ 具合の悪い日は、補充裁判員に代理を務めてもらうよう伝える。
④ 評議を含め裁判内容については、親しい友人か家族に話を聞いてもらうよう伝える。
⑤ 評議を含め裁判内容についてのカウンセリングは、裁判終了後に可能になると伝える。

① 裁判所に連絡するよう伝える。
これが正解です。

② 理由や詳細を述べることなく辞任ができることを伝える。
間違いです。辞任する要件としては、重い病気があったり、父母の葬式があったり、家族の介護があったり等、明確な理由が必要です。

③ 具合の悪い日は、補充裁判員に代理を務めてもらうよう伝える。
間違いです。補充裁判員は、裁判員に欠員が出た場合なので、代理を務めることはできません。

④ 評議を含め裁判内容については、親しい友人か家族に話を聞いてもらうよう伝える。
間違いです。守秘義務に反します。

⑤ 評議を含め裁判内容についてのカウンセリングは、裁判終了後に可能になると伝える。
間違いです。守秘義務は裁判終了後にも課せられます。

次の記事

次は、医療観察法について。

【医療観察法】心神喪失なら殺人を犯しても無罪
医療観察制度の詳細は、以下の記事を参照してください。講義動画こちらの動画に全てまとまっています。過去問第1回 問119重大な加害行為を行った者の精神状態に関する鑑定(いわゆる精神鑑定)につい...

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