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【認知心理学】フレーミング効果&プロスペクト理論

フレーミング効果 知覚&認知
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フレーミング効果

フレーミング効果とは、物事を表現する枠組み(フレーム)を変えることで与える印象も変わることです。

新型コロナウイルス感染者の死亡率は3%
新型コロナウイルス感染者の生存率は97%

同じ内容なのに印象が違いますね。

プロスペクト理論

フレーミング効果は損失回避性に基づいた「印象操作」の理論ですが、プロスペクト理論は損失回避性に基づいた「行動選択」の理論で、カーネマン(D.Kahneman)とトベルスキー(A.Tversky)によって提唱されました。

カーネマンは、この理論によって2002年にノーベル経済学賞を受賞しています。トヴェルスキーは既に亡くなっていました。

この理論では、個人の選択によって得られる利益や損益とそれが生じる確率を踏まえて個人がどのような選択をするかを説明します。

人間は必ずしも合理的に行動しないことを見ていきましょう。

価値関数

人間は、金額が同じだと、損をした場合は得をした場合の約2.25倍の価値を感じます。

そのため、私たちは、得をすることよりも損を避けることを優先する傾向があります。

それを表したのが価値関数です。

下図のように、例えば10万円もらった場合の10万円と、10万円損した場合の10万円を比べると、損した場合の方が2~2.5倍も大きく感じるのです。

価値関数

例えば

A.100%の確率で300万円もらう(期待値300万円)
B.80%の確率で400万円もらう(期待値320万円)

では、明らかにBを選んだ方が得なのですが、多くの人はAを選んでしまいます。

それは、Bを選んで20%の確率でもらえなかった場合の損失を過大評価してしまうからです。

さらに価値関数グラフではグラフが少しずつ横ばいになっていることからわかるように、扱う金額が大きくなるほどに損得の感覚は鈍くなっていくことが示されています。

数千万する家を購入するときに、数万の違いは微々たるものと感じてしまいますね。

確率加重関数

確率加重関数は、客観的確率と主観的確率の関係性を表したグラフです。

確率加重関数

グラフを見ると、約40%を境にして、40%以上ではその確率を低く見積もり、40%以下では高く見積もることを表しています。

ぼくは、ファイナルファンタジーというゲームでモンスターがレアアイテムを落とす確率はたった0.5%だったけど、これを過大評価してがんばってたんだ。

参照点

人はそれまでの経験などからそれぞれの「参照点」をもっており、物やサービスの価値を判断する際、「参照点」を基準にし、相対的に感じ方が変わってきます。

マクドナルドのハンバーガーが90円の時期があったから、それが参照点になると500円のコンビニ弁当が高く感じられるね。

まとめ

プロスペクト理論では「価値関数」と「確率加重関数」を基にして以下の結論を導き出しています。

・損失のほうが価値づけが重い
・金額が大きくなるほど、価値の感じ方は小さくなる
・勝っているときは安定志向、負けているときはリスク志向
・確率は正しく認識されない

過去問

第4回 問85

ある疾病において”10%が死亡する”と表現した場合 の方が”90%が生存する”と表現した場合よりもリスクが高く感じられる。
このことを表す用語として、最も適切なものを1つ選べ
① 連言錯誤
② 確証バイアス
③ アンカリング効果
④ フレーミング効果
⑤ 利用可能性ヒューリスティック

① 連言錯誤
間違いです。連言錯誤とは、一般的な状況よりも、より限定された状況の方が事実らしいと勘違いしやすいこと。
例えば、「宝くじで100万円当たりました」というよりも、「宝くじを連番で買うと100万円当たりました」という方が少し信憑性が高い気がします。

② 確証バイアス
間違いです。確証バイアスとは、自分にとって都合のいい情報ばかりを無意識的に集めてしまい反証する情報を無視したり集めようとしなかったりすることです。

③ アンカリング効果
間違いです。アンカリング効果とは、先に与えられた情報によってその後の判断や行動に影響が及ぼされるという現象です。
アンカーは船の錨(いかり)のことです。

④ フレーミング効果
これが正解です。

⑤ 利用可能性ヒューリスティック
利用可能性ヒューリスティックとは、自分の記憶から簡単に呼び出すことができる情報を優先してしまうことです。

第1回 問120

プロスペクト理論について、正しいものを1つ選べ。
①損失回避の傾向を説明することができる。
②主観的な満足の度合いは利得の絶対量に比例する。
③低い客観的確率は主観的には過小評価されるとする。
④ある事象の起こりやすさを典型例と類似している程度によって判定するものである。

①損失回避の傾向を説明することができる。
これが正解です。利益よりも損失回避を優先します。

②主観的な満足の度合いは利得の絶対量に比例する。
間違いです。利得の絶対量ではなく、日常的に定められた価値基準(参照点)に依存して価値判断を行います。

③低い客観的確率は主観的には過小評価されるとする。
間違いです。確率加重関数では低い客観的確率は主観的に過大評価されます。

④ある事象の起こりやすさを典型例と類似している程度によって判定するものである。
間違いです。この内容は代表制ヒューリスティックです。
典型例と類似している事項の確率を過大評価しやすいのが代表制ヒューリスティックです。

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