ハインリッヒの法則
事故発生モデルの代表格といえば、ハインリッヒの法則です。
ハインリッヒの法則とは、1件の重大事故の裏には、29件の小さな事故、300件のヒヤリハットがあるという労働災害の経験則です。
1件の重大事故は、その1件だけではなく、背後には無数のヒヤリハットが隠れているということです。
だからヒヤリハットの段階で、重大事故の芽を潰していきましょう。
重大事故につながりかねない軽微な事故やヒヤリハットを、「インシデント」といいます。
スイスチーズ・モデル
スイスチーズは、大小さまざまな穴が開いているのが特徴です。
スライスしたスイスチーズは、穴がたくさん開いていて脆弱です。
スライスしたスイスチーズを2枚重ねると、穴はいくつか隠れます。
何枚も重ねていくと、どんどん穴は隠れていきます。
これがリスクへの対応の基本です。
つまり、1種類の安全対策では脆弱なので、何重にも対策をすることで、リスクを限りなくゼロにできるという考え方です。
リスク管理の基本は、異なる種類の安全対策を多重的に構築するということですね。
ですが、このスイスチーズモデルでは、このような多重の安全対策があってもたまたま穴が重なってしまったときに重大な事故が起こります。これがスイスチーズモデルの戒めです。
スノーボール・モデル
スノーボールモデルは、医療現場で生じる事故のモデルです。
医療現場では、1つのエラーが別のエラーを誘発し、そのエラーがさらに別のエラーにつながって患者のところまで到達し、雪だるま式に事故が増大することがあります。
例えば、ある医師が患者を間違えて別の患者にすべきでない治療をし、看護師もよく確認せずに間違った治療をし、さらに別の医師も間違った薬を処方し、薬剤師もよく確認せず薬を渡し、・・・というように、どんどん事故が雪だるま式に増大するモデルです。
雪だるまが大きくなる前に、潰しておきましょう。
過去問
第2回 問29
ある人物の起こした1件の大きな事故の背後には、同一人物による軽度、重度の同様の事故が 29 件発生しており、さらにその背後には、事故にはならなかったが危ない状況が 300 件あることを示した事故発生モデルは何か、正しいものを1つ選べ。
① インシデント
② 危険予知モデル
③ スイスチーズモデル
④ スノーボールモデル
⑤ ハインリッヒの法則
選択肢⑤が正解です。
第1回 問49
ヒューマンエラーに該当しないものを1つ選べ。
① A のスイッチを押すつもりであったが、忘れて押さなかった。
② A のスイッチを押そうとして、うっかり B のスイッチを押した。
③ A のスイッチを押すルールがあったが、周知されていなかったため押さなかった。
④ A のスイッチを押すべき状況で、B のスイッチを押すべきと思って、B のスイッチを押した。
選択肢③が正解です。易しすぎる。
第3回 問148
A社は、新規に参入した建設業である。
最近、高所作業中に作業器具を落下させる事例が立て続けに発生し、地上で作業する従業員が負傷する事故が相次いだ。
そのため、事故防止のための委員会を立ち上げることになり、公認心理師が委員として選ばれた。
委員会では、行政が推奨する落下物による事故防止マニュアルが用いられている。
事故防止の仕組みや制度の提案として、不適切なものを1つ選べ。
① マニュアルの見直し
② 規則違反や不安全行動を放置しない風土づくり
③ 過失を起こした者の責任を明らかにする仕組みづくり
④ 過去のエラーやニアミスを集積し、分析する部門の設置
⑤ 従業員にエラーやニアミスを率直に報告させるための研修
選択肢③が正解です。犯人捜しよりも原因究明と再発防止が重要です。
第3回 問51
入院患者が公認心理師の面接を受けるために、病棟の面接室に車椅子で入室した。
車椅子から面接室の椅子に移乗する際に看護師と公認心理師が介助したが、車椅子から転落した。健康被害は起こらなかった。
それを診断した主治医の他に、インシデントレポートの作成者として、適切なものを2つ選べ。
① 看護師
② 病院長
③ 公認心理師
④ 病棟看護師長
⑤ 医療安全管理責任者
インシデントとは「好ましくない出来事」のこと、そのレポート(報告書)は関係した当事者が作成します。ということで選択肢①と③が正解です。
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次は、キャリアアンカー、キャリアプラトー等の様々なキャリア用語について。
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