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【教育心理学】自己調整学習、有意味受容学習、適性処遇交互作用

教育心理学 教育&学校
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教育心理学では、さまざまな学習法に関する理論が示されています。

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自己調整学習

自己調整学習は、学習者が自分の目標を決め、その目標を達成するために自らの計画を立て、実行段階で思考、感情及び行為をコントロールし、実行後に振り返り、自らの学習行動を評価するプロセスです。

人間は学習が習慣化してくると惰性で続けてしまいます。

それを防ぐために自ら計画を立て自ら学習行動を評価することで、学習効果を高めます。

学習を習慣的・機械的にこなすのではなく、高い学習動機のもとに、目標達成に必要なことを段取りを決めて実行していくことが、習得や次の動機づけの好循環を生むという考え方です。

ジマーマンのモデル

ジマーマン(B.J.Zimmerman)は、自己調整学習を、計画、実行、評価のサイクルで捉えたモデルを提示し、各段階で学習効果を高める要因を分析しています。

①学習計画

学習計画では、学習内容と学習方法の計画を立てます。

学習者がどのような計画(目標)を立てるかは、その学習者の自己効力感(セルフエフィカシー)が大きく影響します。

自己効力感は成功体験によって高まっていきます。

②学習実行

実行段階ではモニタリングを行います。

学習内容や学習方法が適切か、記憶は定着しているか、などをモニタリングして、自分が学習した内容を客観的・俯瞰的に振り返る「メタ認知」が重要になります。

③評価

学習を評価するために定期テストなどがあります。

目標の達成状況や学習で得られたことなど、振り返りを促してくれます。

公認心理師に学習の集大成は国家試験です。国家試験でそれまでの学習が評価されます。

有意味受容学習

有意味受容学習は、オーズベル(D.P.Ausubel)が提唱しました。

どんな学習方法なのでしょう。

発見学習 vs 受容学習

学習方法(学習形態)には、ブルーナー(J.S.Bruner)が提唱した「発見学習」と、オーズベル(D.P.Ausubel)の「受容学習」の2種類があります。

発見学習:学習者自らが試行錯誤して学ぶこと
受容学習:教員が学習者に一斉授業を行う

オーズベルは、現代では習得すべき学習内容が膨大なので全てを「発見学習」で学ぶことは非現実的だとして「受容学習」の重要性を強調しました。

有意味学習 vs 機械学習

学習には有意味学習と機械的学習があります。

機械的学習:意味を考えずに丸暗記する方法
有意味学習:内容について理解しながら学習する方法

有意味学習だと、しっかり意味を考えながら学習するので、記憶は長期に保持されますね。

まとめ

発見学習vs受容学習、有意味学習vs機械学習という計4種類の学習方法のうち、オーズベルが提唱したのは「有意味受容学習」です。

  発見学習 受容学習
機械学習    
有意味学習   オーズベル

適性処遇交互作用

適性処遇交互作用は、クロンバック(L.J.Cronbach)によって提唱された、学習者の「適性」と「処遇」が互いに影響を与え学習成績に影響するという概念です。

適性処遇交互作用とは、学習者の適性(学力、興味関心、態度等)と処遇(指導のやり方)には交互作用があり、適性と処遇の組み合わせによって学力の効果が異なることを表します。

クロンバックといえば「クロンバックのα係数」がありましたね。

この理論によれば、学習者の適性の違いによって教授方法の効果が異なるということになります。

適性:その学習遂行に対し、適切に機能すると考えられる学習者の内的要因(学力や既有知識・性格・態度・興味・感心・学習スタイルなど)
処遇:学習に対する操作としての、さまざまな教授方法(指導の手法・課題・かかわり方・カリキュラム・学習環境など)

これらの交互作用は、分散分析や重回帰分析により検定が可能です。

完全学習理論

全ての子どもたちに学力を身につけさせるにはどうしたらよいのでしょう。

この適性処遇交互作用の考え方によると、その子の適性によって指導方法やカリキュラムを変えないといけないということになります。

しかし、学校という集団の中でどこまでそれができるでしょう。

ということで、できる限り個別の適性を把握し、一人ひとりに適した学習を提供することですべての子どもに学習効果を!と考えたくなります。

このような考え方を「完全学習理論」と呼びます。

結局重要なのは、一人一人に合った学習方法をという単純なことです。

過去問

第2回 問94

適性処遇交互作用の説明として、正しいものを1つ選べ。
① 学習者の適性は遺伝と環境の相互作用によって形成される。
② 学習成果は教授法などの学習条件よりも学習者の適性によって規定される。
③ 教授法などの学習条件と学習者の適性の組合せによって学習成果が異なる。
④ 困難な学習課題であるほど、学習成果は教授法などの学習条件よりも学習者の適性によって規定される。
⑤ 容易な学習課題であるほど、学習成果は教授法などの学習条件よりも学習者の適性によって規定される。

選択肢③が正解です。
その他の選択肢を見てしまうと、混乱するので深く考えない方がよいです。
正解選択肢を見て、ずばりこれが正解と思えれば十分。

第4回 問42

適性処遇交互作用について誤っているものを1つ選べ。
① 指導方法や学習環境のことを処遇と言う。
② 統計学的には交互作用効果によって検証される。
③ 学びの成立に影響を与える個人差要因を適性と言う。
④ 学習者の特徴によって教授法の効果が異なることを指す。
⑤ 他者の援助と学習者の問題解決との中間領域に見られる。

選択肢⑤が誤りです。それ以外の選択肢は正しいのでよく理解しておきましょう。

第3回 問24

学習者が自分の目標を決め、その目標を達成するために自らの計画を立て、実行段階で思考、感情及び行為をコントロールし、実行後に振り返り、自らの学習行動を評価するプロセスとして、正しいものを1つ選べ。
① 観察学習
② 自己調整学習
③ 認知的徒弟制
④ 古典的条件づけ
⑤ 有意味受容学習

① 観察学習
間違いです。観察学習は観察による学習で、バンデューラーのモデリングなどが有名です。

② 自己調整学習
これが正解です。

③ 認知的徒弟制
間違いです。伝統的な徒弟制に見られる「見習い修行」による学習のことです。
この徒弟制のなかでもモデリングなどが用いられています。

④ 古典的条件づけ
間違いです。古典的条件づけは不随意反応なので学習とは異なります。

⑤ 有意味受容学習
間違いです。オーズベルが提唱した有意味受容学習は意味を理解しながら行われる受容学習です。

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次は、教育心理学における様々な効果について。

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