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【PTSD検査】CAPS、PCL、IES-R

PTSD検査 心理検査
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PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)の検査手法を見ていきましょう。

PTSDは「心的外傷後ストレス障害」と訳されます。死の危険に直面した後、その体験の記憶が自分の意志とは関係なくフラッシュバックのように思い出されたり、悪夢に見たりすることが続き、不安や緊張が高まったり、辛さのあまり現実感がなくなったりする状態です。つまりトラウマ経験の事後(ポストトラウマ)の障害なのですね。

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CAPS(PTSD臨床診断面接尺度)

CAPS (Clinician-Administered PTSD Scale)は、PTSD構造化診断面接尺度として各国の臨床研究や治験で広く使用され、保険適用もされています。

CAPS-5は、DSM-5の診断基準に基づいて、トラウマ体験に関する質問1個、PTSD症状(再体験、回避、否定的認知、覚醒亢進)に関する質問20個、持続期間に関する質問2個、機能障害に関する質問3個、全般状態に関する質問3個、その他の質問2個の合計30個の質問からなり、それぞれの質問項目について最近1か月の症状の重症度を元に面接者が評定を行います。

CAPS-4は、DSM-4の診断基準に基づいて、トラウマに関する質問1個、PTSD症状(再体験、回避、覚醒亢進)に関する質問17個、持続期間に関する質問2個、機能障害に関する質問3個、全般状態に関する質問3個、関連症状に関する質問5個の合計30個の質問からなります。それぞれの項目について症状の重症度と頻度を元に面接者が評定を行います。

PCL(PTSDチェックリスト)

PCL-4(PTSD Checklist)は、DSM-4の診断基準に基づいて、17項目の質問について最近1か月の状態を自記式5件法で評価します。

PCL-5(PTSD Checklist)は、DSM-5の診断基準に基づいて、20項目の質問について最近1か月の状態を自記式5件法で評価します。

IES-R(改訂出来事インパクト尺度)

IES-R (Impact of Event Scale-Revised) は、米国の精神科医ワイス(D.Weiss)らが開発した心的外傷性ストレス症状を測定するための自記式質問紙です。以下の22項目の質問に自記式5件法で評価します。

合計点を算出(88点満点)し、25点以上はPTSDが疑われます(カットオフ値24/25)

島根あさひ社会復帰促進センターの治療共同体ユニットで生活する
受刑者のうち3分の1近くが、IESRが25点以上のPTSD症状があるらしいです。
藤岡淳子さんの著書からの引用です。

No この1週間の状態についてお答えください 0:全くなし 1:少し 2:中くらい 3:かなり 4:非常に
1 どんなきっかけでも、そのことを思い出すと、その時の気持ちがぶりかえしてくる          
2 睡眠の途中で目が覚めてしまう          
3 別のことをしていても、そのことが頭から離れない          
4 イライラして、怒りっぽくなってくる          
5 そのことについて考えたり思い出す時は、なんとか気を落ち着かせようとしている。          
6 考えるつもりはないのに、そのことを考えてしまうことがある          
7 そのことは、実際に起きなかったとか、現実のことでなかったような気がする          
8 そのことを思い出させるものには近よらない          
9 そのときの場面が、いきなり頭にうかんでくる          
10 神経が敏感になっていて、ちょっとしたことでどきっとしてしまう          
11 そのことは考えないようにしている          
12 そのことについては、まだいろいろな気持ちがあるが、それには触れないようにしている          
13 そのことについての感情は、マヒしたようである          
14 気がつくと、まるでその時にもどってしまったかのようにふるまったり、感じたりすることがある          
15 寝つきが悪い          
16 そのことについて、感情が強くこみ上げてくることがある          
17 そのことを何とか忘れようとしている          
18 ものごとに集中できない          
19 そのことを思い出すと、身体が反応して、汗ばんだり、息苦しくなったり、むかむかしたり、どきどきすることがある          
20 そのことについての夢を見る          
21 警戒して用心深くなっている気がする          
22 そのことについては話さないようにしている          

出典: Weiss,D.S.&Marmar C.R. :The Impact of Event Scale-Revised. In: Wilson,J.P.,Keane,T.M.eds,Assessing Ppsychological trauma and PTSD,The Guilford Press, New York,pp399-411,1997.

まとめ

CAPSは面接法、PCLとIES-Rは質問紙法です。CAPSとPCLの「P」はPTSDなので覚えやすいですが、IES-Rに「P」は含まれていません。が、試験にはよく出題されますので覚えておきましょう。

IES-R(改定出来事インパクト尺度)はPTSD検査だよ!!!

過去問

第5回 問139

23歳の女性A、会社員。高校時代にわいせつ行為の被害に遭った。大学卒業後、会社員となったが、今年の社員旅行の際に、仕事の関係者から性行為を強要されそうになり、何とかその場から逃げ出したものの、帰宅後に強い心身の不調を自覚した。その後3か月経っても症状が改善しないため、精神科受診に至った。同じような悪夢を繰り返し見ることが続き、よく眠れない。「このような被害に遭うのは、私が悪い」、「自分は駄目な人間だ」と話す。Aの状態象を把握することを目的に、公認心理師が行う可能性のある心理的アセスメントとして、最も適切なものを1つ選べ。
① CAPS
② DN-CAS認知評価システム
③ JDDST-R
④ KABC-Ⅱ
⑤ TEG

事例はPTSDの症状が見られるので、選択肢①が正解です。

第4回 問76

20歳の女性A、大学3年生。
Aは母親Bと精神科を受診した。
BによるとAは1か月前に親友が交通事故にあうのを目撃してから、物音に敏感になり不眠がちで、些細なことでイライラしやすく、集中力がなくなったという。
一方、初診時にAは、”事故のダメージは無い。母が心配し過ぎだと思う”と声を荒げ、強い調子でBや医師の話を遮った。
医師の依頼で公認心理師Cが、Aの状態把握の目的で心理検査を施行した。
検査用紙を渡すと、Aはその場で即座に記入した。
結果は、BDI−Ⅱは10点、IES-Rは9点であった。
CがAの心理検査報告書に記載する内容として最も適切なものを1つ選べ。
① 心理検査 の得点や Bの観察、 Aの様子からは PTSD が推測される。
② 心理検査の得点からは Aの PTSD の可能性は低いため、支援や治療が必要なのは過度に心配するBである。
③ 心理検査の得点からは PTSD の可能性が高いが、Aが否定しているため、結果の信憑性に問題がある。
④ 検査の得点からはPTSDの可能性は低いが、 その他の情報と齟齬があるため、再アセスメントが必要である。
(注: PTSD とは心的外傷後ストレス障害である)

IES-Rは9点(カットオフ値は24/25)なのでPTSDの可能性は低いです。
BDI−Ⅱは10点なので抑うつ状態も正常です。
これら検査内容は母親Bからの情報と齟齬があるため再アセスメントが必要だと思われます。
ということで正解は選択肢④です。

次の記事

次は、不安検査について。

【不安検査】MAS、STAI、CAS、GAD-7、LSAS-J
不安検査は不安障害の検査で、MAS、STAI、CAS、GAD-7、LSAS-J等いろいろあります。すべて、「Anxiety(不安)」の「A」が入っているのがポイントです。MAS(顕在性不安尺度)MAS (...


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