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悲嘆・喪失・グリーフケア

グリーフケア 高齢
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悲嘆過程 by ボウルビィ

イギリスの精神分析学者ジョン・ボウルビィ(J.Bowlby)の悲嘆過程では、例えば愛する人がなくなったとき、その悲嘆過程は原則的に以下の順序で(悲哀の4段階)で推移していきます。

情緒危機→否認→断念→離脱

詳しくは以下の記事で。

【悲嘆過程】「悲哀の4段階」by ボウルビィ
喪失体験喪失体験は大切な人やモノを失う体験です。家族や友人との死別、愛する人との別れ、ペットの死によるペットロス、さらには自分の身体の一部を失う機能障害、大切に使っていた道具を失くすことも喪失体験です。キューブラー・ロスの「死の受容過程5段

ボウルビィといえば愛着理論ですね。

死の受容過程 by キューブラー・ロス

スイスで生まれたアメリカの精神科医であるエリザベス・キューブラー・ロス(E.Kübler-Ross)は死を受け入れるまでの5段階を提唱しています。

第1段階:否認
第2段階:怒り
第3段階:取引
第4段階:抑鬱
第5段階:受容

詳細は以下の記事で。

【死の受容過程】死を受け入れるまでの5段階 by キューブラー・ロス
人は誰もがいつかは死ぬのに、普段の生活では、永遠に死なないかのように生きています。なかなか死について考える機会もありません。スイスで生まれたアメリカの精神科医であるエリザベス・キューブラー・ロスは、人間の死について深く考え続けた女性でした。

悲嘆セラピーの原則 by ウォーデン

キューブラーロスの受容過程のような段階モデルではなく、「課題モデル」を提唱したのがウィリアム・ウォーデン(J.W.Worden)です。

段階モデルでは受動的にグリーフから回復すると捉えるのに対し、ウォーデンは死別を体験した人が主体的に課題に取り組む必要があることを指摘し、以下の4つの課題を提示しました。

課題1:喪失の現実を受容する
課題2:グリーフの苦痛を経験する
課題3:故人のいない環境への適応
課題4:気持ちの中で故人を位置付けし直し日常生活を続ける

過去問

第1回 問20 

対象喪失に伴う悲嘆反応に対する心理的支援について、正しいものを1つ選べ。
① 悲嘆を悪化させないためには、喪失した対象を断念することを勧める。
② 理不尽な喪失体験に遭遇したときは、現実検討ではなく気分の転換を優先する。
③ 喪失した対象に対する悲嘆過程を共に体験し、その意味を共に探ることが目標である。
④ 悲嘆が病的な反応へと陥らないように、健康な自我の働きを支えることが目標である。
⑤ 悲嘆反応の中で出てくる喪失した対象への罪悪感は、病的悪化の要因になりやすいため、心理的支援の中で扱うことは避ける。

選択肢③が正解です。
選択肢⑤の喪失した対象への罪悪感は「サバイバーズギルト」と呼ばれ、悲嘆反応として出てくるのは自然なことです。

第2回 問71

79歳の男性A。
3人の子どもが独立した後、Aは妻と二人暮らしだったが、1年前にその妻に先立たれた。
妻の死後しばらくは、なぜ丈夫だった妻が自分よりも早く死んだのかという思いが強く、怒りのような感情を覚えることが多かったが、最近はむしろ抑うつ感情が目立つようになってきている。
近くに住む娘に、20歳から30歳代だった頃の話を突然し始めたり、その一方で「自分のこれまでの人生は無駄だった、もう生きていてもしょうがない」というような発言が増えてきたりしている。
また、本人は自覚していないが、既にやり終えたことを忘れてしまうことも少しずつ生じてきている。
Aの心理状態の説明として、不適切なものを1つ選べ。
① 絶望
② 認知機能の低下
③ レミニセンスバンプ
④ 補償を伴う選択的最適化
⑤ 妻の死の受容過程の初期段階

① 絶望
正しいです。エリクソンの発達段階では老年期に「絶望」という発達危機がありました。
「生きていてもしょうがない」という発言などから絶望を感じていることが見受けられます。

② 認知機能の低下
正しいです。「既にやり終えたことを忘れてしまうことも少しずつ生じてきている。」とあります。

③ レミニセンスバンプ
正しいです。レミニセンスバンプとは、過去の出来事を思い出す場合に10代~30代頃の出来事が多い現象のことです。
「20歳から30歳代だった頃の話を突然し始めたり」とあります。

④ 補償を伴う選択的最適化
不適切です。「補償を伴う選択的最適化理論」はSOC理論と呼ばれ、Baltesが提唱した高齢期の自己制御方略に関する理論です。
事例Aの言動には、若い頃よりも狭い領域を探索し特定の目標に絞る(S:選択)、その狭い領域や特定の目標に最適な方略を取り適応の機会を増やす(O:最適化)、機能低下を補う手段や方法を獲得して喪失を補う(C:補償)などは見られません。

⑤ 妻の死の受容過程の初期段階
正しいです。死の受容過程の「慢性期」に当たりますが、抑うつなどの症状は初期段階でもあります。

第4回 問117

複雑性悲嘆に対する J.W.Worden の悲嘆セラピーの原則や手続きとして誤っているものを1つ選べ。
① 故人の記憶を蘇らせる
② 悲しむのを止めたらどうなるかを一緒に考える。
③ 喪失を決定的な事実と認識することがないように援助する。
④ 故人に対するアンビバレントな感情を探索することを援助する。
⑤ 大切な人がいない状況での新たな生活を設計することを援助する。

死別の直後に感じるような激しい喪失体験が一周忌を超えて遷延している場合に「複雑性悲嘆」と呼ばれます。
ウォーデンのモデルでは悲嘆を乗り越えるための課題を設定していましたので、課題に直面せず避けているような内容は誤りとなります。
ということで選択肢③が正解です。アンビバレントな感情とは相反する感情を同時に持つことです。

第4回 問73

50歳の女性A。
抑うつ気分が続いているために精神科に通院し、院内の公認心理師Bが対応することになった。
7ヶ月前にAの17歳の娘が交際相手の男性と外出中にバイクの事故で亡くなった。
事故からしばらく経ち、 Aは、事故直後のショックからは一時的に立ち直ったように感じていたが、3ヶ月ほど前から次第に抑うつ状態となった。
”どうしてあの日娘が外出するのを止められなかったのか”と自分を責めたり、急に涙が溢れて家事が手につかなくなったりしている。
BのAへの対応として不適切なものを1つ選べ。
① 悲しみには個人差があるということを説明する。
② 娘の死を思い出さないようにする活動がないか一緒に探索する。
③ Aが体験している様々な感情を確認し、 表現することを援助する。
④ 子供をなくした親が体験する一般的な反応について、情報を提供する。
⑤ 娘が死に至った経緯や背景について、多様な観点から見直してみることを促す。

選択肢②が不適切です。グリーフケアの基本は喪失を受け入れることです。

第2回 問105

小学5年生のある学級の校外学習において、児童が1名死亡し、複数の児童が怪我を負うという交通事故が起こった。
事故後4日が経過した時点で、学級会で公認心理師が話をすることになった。
公認心理師の行動として、最も適切なものを1つ選べ。
① 全員から今の心境や思いを話してもらい傾聴する。
② 全員が強いトラウマを受けていることを前提として話をする。
③ 悲しみや怒りが一定期間続くことは自然なことであると伝える。
④ 全員がこの悲しい出来事に対処できる力を持っていると伝える。
⑤ 軽傷で済んだ児童に、生きていて本当に良かったと言葉をかける。

① 全員から今の心境や思いを話してもらい傾聴する。
心理的デブリーフィングは不適切です。

② 全員が強いトラウマを受けていることを前提として話をする。
不適切です。

③ 悲しみや怒りが一定期間続くことは自然なことであると伝える。
これが適切です。

④ 全員がこの悲しい出来事に対処できる力を持っていると伝える。
不適切です。

⑤ 軽傷で済んだ児童に、生きていて本当に良かったと言葉をかける。
不適切です。

第5回 問114

E.Kübler-Ross が提唱した師に対する心理的反応段階に含まれないものを1つ選べ。
① 怒り(anger)
② 否認(denial)
③ 受容(acceptance)
④ 離脱(detachment)
⑤ 取り引き(bargaining)

キューブラー・ロスの死の受容5段階は以下の通りです。

第1段階:否認
第2段階:怒り
第3段階:取引
第4段階:抑鬱
第5段階:受容

ということで、選択肢④が含まれません。

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次は、高齢期の理論について。

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