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【社会心理学】記憶とプライミング

プライミング効果 社会&集団
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人間の記憶とプライミング効果について見ていきましょう。

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記憶の種類

記憶は長期記憶と短期記憶に分けられますが、さらに長期記憶は宣言的記憶と非宣言的記憶に分けられます。

宣言的記憶は言葉で表現できる記憶で「顕在記憶」とも呼ばれ、非宣言的記憶は体で覚えている記憶で「潜在記憶」とも呼ばれます。

非宣言的記憶は、言葉というよりも体に染みついている記憶というイメージで、意識をしていなくても発動されるため「潜在記憶」と表現されます。

それぞれ以下のような種類があります。

宣言的記憶:意味記憶、エピソード記憶
非宣言的記憶:手続き記憶・プライミング・古典的条件づけ
記憶 内容
意味記憶 知識 日本の首都は東京
エピソード記憶 過去の体験の記憶 去年は海外旅行に行った
手続き記憶 技能 ピアノを弾ける、大工仕事ができる

ということで記憶についてまとめると、

記憶の種類まとめ

プライミング

プライミングとは、先行する刺激(プライマー)が後の刺激(ターゲット)の処理を促進または抑制する効果のことです。

例えば、カレーのCMを見てカレーが食べたくなったとか・・・

プライミング効果は、プライマーを全く意識できないほど短時間しか提示しなくても効果が見られ、例えば視覚に一瞬入っただけでプライミング効果があります。

閾値下の刺激による効果をサブリミナル効果と言います。

プライミングは特定の知識を活性化させるだけではなく、その知識と同じカテゴリーに属する知識も活性化されると考えられています。

以下のネットワークモデルで理解しましょう。

ネットワークモデル

プライミング効果を理解するために、情報処理の基盤となるネットワークモデルで考えてみましょう。

人間の記憶には膨大な情報が蓄えられており、これらは関連のあるもの同士がネットワーク状になっていると考えられています。

例えば、「冷たい」という記憶は、氷、アイスクリーム、南極、などと繋がっています。

ネットワークモデル

このようなネットワークモデルでは個々の情報はノードと呼ばれ、ノード同士を結び付けている要素はリンクと呼ばれます。

このノードに様々な感情を当てはめたモノを感情ネットワークモデルというのでしたね。

ある情報が呼び出されたとき、その情報とリンクが形成されている情報は記憶の中で取り出されやすい状態になります。

例えば、氷を見た後で南極が想起されやすい状態になるなど。

直接プライミング&間接プライミング

プライミングには、直接プライミングと間接プライミングがあります。

プライマーとターゲットが同じ場合は直接プライミング(反復プライミング)、プライムとターゲットが異なる場合は間接プライミングになります。

例えばこのページを読んだ後で「プ○イ○○グ効果」の「○」を埋めるのは簡単で、これが直接プライミングです。

例えば「アフリカ」というプライムが与えられた後で「〇肉〇食」が示されれば「弱肉強食」となりますが、「ステーキ」というプライムが与えられた後でなら「焼肉定食」になるでしょう。

これが間接プライミングです。

文脈効果&対比効果

文脈効果とは、その前後関係から対象となる刺激の知覚過程が影響を受けることです。

テレビCMでカレーを見たから昼ご飯にカレーを食べたくなったとか・・・

こうした文脈効果を前提として、特定の知識を活性化させる方法の一つが「プライミング」です。

プライミング効果で、プライム刺激と同じ方向へ情報処理が影響されることを「同化」と呼び、逆方向に影響されることを「対比(効果)」と呼びます。

スイカに塩をかけると甘く感じるのも対比効果ですね。

促進的効果&抑制的効果

プライミングには促進的効果だけでなく抑制的効果もあり、これを特に「ネガティブ・プライミング」と呼ぶこともあります。

うんちを見たら、ネガティブプライミングで、カレーが食べたくなくなるよ。

過去問

第2回 問8 

プライミングについて、正しいものを1つ選べ。
① 間接プライミングは、主にエピソード記憶研究で用いられる。
② 直接プライミングは、先行情報と後続情報の間に意味的関連性が強い場合に生じる。
③ プライミングは、絵などの画像刺激では生じず、単語などの言語刺激のみで生じる。
④ プライミングには、先行情報が後続情報の処理を促進するだけでなく、抑制する場合もある。
⑤ プライミングは、先行情報が閾下呈示された場合は生じず、閾上呈示された場合のみで生じる。

① 間接プライミングは、主にエピソード記憶研究で用いられる。
間違いです。エピソード記憶は宣言的記憶であり、(直接でも間接でも)プライミングは非宣言的記憶(潜在記憶)の研究に用いられます。

② 直接プライミングは、先行情報と後続情報の間に意味的関連性が強い場合に生じる。
間違いです。これは間接プライミングです。

③ プライミングは、絵などの画像刺激では生じず、単語などの言語刺激のみで生じる。
間違いです。プライミングは、画像刺激でも生じます。

④ プライミングには、先行情報が後続情報の処理を促進するだけでなく、抑制する場合もある。
正しいです。

⑤ プライミングは、先行情報が閾下呈示された場合は生じず、閾上呈示された場合のみで生じる。
間違いです。先行情報が閾下であった場合でも無意識の中でプライミング効果が生じています。

第1回(追試)問136

プライム刺激とターゲット刺激の意味的関連性によるプライミング効果について検討する目的で、語彙判断課題を用いた実験を行った。
意味的関連がある(SR)条件の方が意味的関連がない(UR)条件よりも語彙判断の反応時間が短くなることを仮説とした。
以下は論文における「結果」についての記述の一部である。
「プライム刺激とターゲット刺激の意味的関連がある(SR)条件と意味的関連がない(UR)条件別に、語彙判断の反応時間の平均と標準偏差を算出した。
SR条件ではM=620、SD=100、UR条件ではM=640、SD=100で統計的に有意であった。
このことからプライミング効果が認められたといえる。」
この論文における「結果」の記述の問題点として、最も適切なものを1つ選べ。
① 刺激材料についての記述がない。
② 実験手続についての記述がない。
③ 文章が過去形で記述されている。
④ 適切な統計記号が使われていない。
⑤ 有意差を示す統計量の記述がない。

① 刺激材料についての記述がない。
間違いです。これは「結果」ではなく「方法」で記述する内容です。

② 実験手続についての記述がない。
間違いです。これは「結果」ではなく「方法」で記述する内容です。

③ 文章が過去形で記述されている。
間違いです。過去のことなので過去形で問題ありません。

④ 適切な統計記号が使われていない。
間違いです。M(mean)は平均値、SD(standard deviation)は標準偏差なので適切です。

⑤ 有意差を示す統計量の記述がない。
これが正解です。

第1回(追試)問24

記憶について、正しいものを1つ選べ。
① エピソード記憶は反復によって記憶される。
② 長期記憶の保持には側頭葉や間脳が関わる。
③ 短期記憶は一次記憶とも呼ばれ、数時間保持される。
④ 運動技能や習慣などに関する記憶は意味記憶と呼ばれる。
⑤ 自分の名前のように生涯保持される記憶は二次記憶と呼ばれる。

① エピソード記憶は反復によって記憶される。
間違いです。エピソード記憶は思い出なので、同じような経験が繰り返されると記憶は弱まっていきます。

② 長期記憶の保持には側頭葉や間脳が関わる。
正しいです。「側頭葉内側部(海馬)」や「間脳(視床)」は長期記憶と関わっています。

③ 短期記憶は一次記憶とも呼ばれ、数時間保持される。
間違いです。短期記憶の保持時間は30秒くらいまでです。

④ 運動技能や習慣などに関する記憶は意味記憶と呼ばれる。
間違いです。これは手続き記憶です。

⑤ 自分の名前のように生涯保持される記憶は二次記憶と呼ばれる。
これは正しいように思いますが、自分の名前がエピソード記憶と考えると、エピソード記憶=二次記憶というのは正確ではありません。
長期記憶=二次記憶ですから。

第1回 問84

長期記憶について、正しいものを1つ選べ。
① 宣言的記憶<declarative memory>は手続的記憶とも呼ばれる。
② 意味記憶<semantic memory>は時間的文脈と空間的文脈とが明確な記憶である。
③ エピソード記憶<episodic memory>は一般的な知識としての事実に関する記憶である。
④ 顕在記憶<explicit memory>と潜在記憶<implicit memory>とは記銘時の意識の有無によって分けられる。
⑤ 非宣言的記憶<nondeclarative memory>は技能・習慣、プライミング及び古典的条件づけの3つに分けられる。

① 宣言的記憶<declarative memory>は手続的記憶とも呼ばれる。
間違いです。宣言的記憶は意味記憶やエピソード記憶などの言葉で表す記憶です。
手続的記憶は宣言的記憶の対になる概念です。

② 意味記憶<semantic memory>は時間的文脈と空間的文脈とが明確な記憶である。
間違いです。これはエピソード記憶の内容です。

③ エピソード記憶<episodic memory>は一般的な知識としての事実に関する記憶である。
間違いです。これは意味記憶の内容です。

④ 顕在記憶<explicit memory>と潜在記憶<implicit memory>とは記銘時の意識の有無によって分けられる。
間違いです。顕在記憶と潜在記憶の区別は「記銘時の意識の有無」ではなく「記憶にあるか否かの意識の有無」です。

⑤ 非宣言的記憶<nondeclarative memory>は技能・習慣、プライミング及び古典的条件づけの3つに分けられる。
これが正解です。

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次は、ハロー効果について。

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