少年の定義
この法律において「少年」とは、二十歳に満たない者をいう。
児童は基本的に18歳未満でしたね。
成人年齢は18歳に引き下げられたのに、少年の定義はそのまま・・・
犯罪少年、触法少年、虞犯少年
次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
一 罪を犯した少年
二 十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
三 次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。
2 家庭裁判所は、前項第二号に掲げる少年及び同項第三号に掲げる少年で十四歳に満たない者については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。
詳しくは以下の非行少年に関する記事を確認してください。
犯罪少年、触法少年、虞犯少年の区別はしっかりできるようになってください。
特定少年
少年法改正について(補足)
少年法改正によって以下の「特定少年」が加わりました。
犯罪少年:14歳以上20歳未満
虞犯少年:18歳未満
特定少年:18歳・19歳 ←少年法改正で加わる
つまり、2022年4月~成人年齢が引き下げられて18・19歳は成人なんですが、引き続き1
8・19歳にも少年法を適用するために「特定少年」と定めました。ただし特定少年は、
原則逆送対象事件の拡大と逆送決定後は20歳以上の成人と同等に扱われます。
さらに特定少年が犯した罪で起訴された場合は、実名報道が解禁されます。
法務省式ケースアセスメントツール(MJCA)
法務省矯正局では再犯防止に向けた総合対策の一環として、少年の再非行防止に資するための調査ツール「法務省式ケースアセスメントツール(MJCA)」を開発し、少年鑑別所において運用を開始しました。
Ministry of Justice Case Assessment tool の略です。
本ツールは、心理学、犯罪学等の人間科学の知見を踏まえて、少年鑑別所に入所した少年の実証データに基づき、統計学的な分析を経て開発したものです。
少年の再非行の可能性等を把握するとともに、保護者との関係性の調整や社会適応力の向上など、何を目標として働き掛けをすれば再非行を防止できるのかを明らかにすることをその目的としています。
以下の静的項目と動的項目を評価します。
例:生活環境、学校適応、問題行動歴、非行・保護歴、本件態様など
例:保護者との関係性、社会適応力、自己統制力、逸脱親和性など
このツールは、ハーシの社会的絆理論と関係があります。
過去問
第4回 問108
少年法について正しいものを1つ選べ。
① 少年とは十八歳に満たない者をいう。
② 少年の刑事処分については規定されていない。
③ 14歳に満たないものは審判の対象とはならない。
④ 審判に付すべき少年とは刑罰法令に触れる行為を行った者に限定されている。
⑤ 少年事件は、犯罪の嫌疑があるものと思料されているときは、すべて家庭裁判所に送致される。
① 少年とは十八歳に満たない者をいう。
誤りです。少年とは20歳未満です。18歳と19歳は特定少年と呼ばれます。
② 少年の刑事処分については規定されていない。
誤りです。14歳以上で刑事処分が可能です。
③ 14歳に満たないものは審判の対象とはならない。
誤りです。14歳未満の触法少年は児童相談所から家庭裁判所に送致されて、審判の対象となることがあります。少年が起こした事件は原則全件が家庭裁判所に送致される「全件送致主義」です。
④ 審判に付すべき少年とは刑罰法令に触れる行為を行った者に限定されている。
誤りです。刑法に触れない虞犯少年も家庭裁判所による審判に付されます。
⑤ 少年事件は、犯罪の嫌疑があるものと思料されているときは、すべて家庭裁判所に送致される。
正しいです。少年が起こした事件は原則全件が家庭裁判所に送致される「全件送致主義」です。
成人が起こした事件は警察から検察が起訴するかどうかを決める「起訴便宜主義」です。
第2回 問55
虞犯について、正しいものを2つ選べ。
① 虞犯少年とは14歳以上の者をいう。
② 虞犯少年は少年院送致の処分を受けることがある。
③ 虞犯という概念は少年に限らず、成人にも適用される。
④ 虞犯少年とは、将来罪を犯すおそれのある少年のことをいう。
⑤ 虞犯少年は児童相談所における措置は受けるが、家庭裁判所には送致されない。
① 虞犯少年とは14歳以上の者をいう。
間違いです。虞犯少年とは「18歳未満で将来罪を犯すおそれのある少年」です。成人年齢引き下げによってこれまで20歳未満だった虞犯少年が18歳未満になりました。
② 虞犯少年は少年院送致の処分を受けることがある。
正しいです。
③ 虞犯という概念は少年に限らず、成人にも適用される。
間違いです。18歳未満なので成人には適用されません。
④ 虞犯少年とは、将来罪を犯すおそれのある少年のことをいう。
正しいです。
⑤ 虞犯少年は児童相談所における措置は受けるが、家庭裁判所には送致されない。
間違いです。家庭裁判所にも送致されます。
第1回 問99
少年事件の処理手続として、正しいものを1つ選べ。
① 14歳未満の触法少年であっても重大事件である場合は検察官送致となることがある。
② 14歳以上で16歳未満の犯罪少年は検察官送致とならない。
③ 16歳以上で故意に人を死亡させた事件の場合は、原則的に検察官送致となる。
④ 18歳未満の犯罪少年であっても重大事件を犯せば死刑になることがある。
⑤ 事案が軽微で少年法の適用が望ましい事件の場合は、20歳を超えても家庭裁判所で不処分を決定することができる。
① 14歳未満の触法少年であっても重大事件である場合は検察官送致となることがある。
間違いです。検察官送致はされず家庭裁判所に送致されます。
② 14歳以上で16歳未満の犯罪少年は検察官送致とならない。
間違いです。検察官送致になります。
③ 16歳以上で故意に人を死亡させた事件の場合は、原則的に検察官送致となる。
これが正解です。
④ 18歳未満の犯罪少年であっても重大事件を犯せば死刑になることがある。
間違いです。18歳未満では死刑になりません。子どもの権利条約にも関係しています。
⑤ 事案が軽微で少年法の適用が望ましい事件の場合は、20歳を超えても家庭裁判所で不処分を決定することができる。
間違いです。20歳以上では少年法は適用されません。
第1回(追試) 問20
非行について、正しいものを1つ選べ。
① 校内暴力は中学校と高等学校で増加傾向にある。
② 非行少年とは触法少年、虞犯少年及び不良少年の3つをいう。
③ 少年鑑別所は非行に関する親や学校からの相談や非行防止への援助の業務を担う。
④ 児童相談所は家庭裁判所から送致を受けた少年を児童自立支援施設に措置することはできない。
⑤ 非行少年は家庭裁判所での審判を受け、保護観察又は少年院送致のいずれかの保護処分を受ける。
① 校内暴力は中学校と高等学校で増加傾向にある。
間違いです。小学校では増加傾向ですが中学、高校では増加していません。
② 非行少年とは触法少年、虞犯少年及び不良行為少年の3つをいう。
間違いです。不良行為少年ではなく犯罪少年です。
③ 少年鑑別所は非行に関する親や学校からの相談や非行防止への援助の業務を担う。
これが正解です。
④ 児童相談所は家庭裁判所から送致を受けた少年を児童自立支援施設に措置することはできない。
間違いです。児童福祉施設である児童自立支援施設への措置も可能です。
⑤ 非行少年は家庭裁判所での審判を受け、保護観察又は少年院送致のいずれかの保護処分を受ける。
間違いです。保護観察か少年院送致か、ではなく児童自立支援施設という選択肢もあります。
第1回(追試) 問106
非行少年の処遇について、正しいものを1つ選べ。
① 少年院を仮退院した少年は保護観察に付されない。
② 家庭裁判所の処分として児童自立支援施設に入所することはない。
③ 保護観察では心理学の専門的知識を有する保護司が担当しなければならない。
④ 児童相談所は親権者又は未成年後見人の意に反して児童自立支援施設への入所措置はできない。
⑤ 矯正教育のために、少年鑑別所に収容されている時から各種心理的な治療プログラムを導入している。
① 少年院を仮退院した少年は保護観察に付されない。
間違いです。保護観察に付されます。
② 家庭裁判所の処分として児童自立支援施設に入所することはない。
間違いです。児童自立支援施設への入所もあります。
③ 保護観察では心理学の専門的知識を有する保護司が担当しなければならない。
間違いです。保護司は民間のボランティアです。
④ 児童相談所は親権者又は未成年後見人の意に反して児童自立支援施設への入所措置はできない。
これが正解です。
⑤ 矯正教育のために、少年鑑別所に収容されている時から各種心理的な治療プログラムを導入している。
間違いです。矯正をするのは少年院です。
第1回 問106
我が国の少年院制度について、正しいものを1つ選べ。
① 少年院に受刑者を収容することはできない。
② 14歳未満の者でも少年院に送致されることがある。
③ 1つの少年院に2年を超えて在院することはできない。
④ 少年院は20歳を超える前に少年を出院させなければならない。
⑤ 少年院法で定められた少年院の種類のうち、第2種は女子少年を収容する施設である。
① 少年院に受刑者を収容することはできない。
間違いです。少年院には第1種、第2種、第3種、そして受刑者を収容する第4種があります。
さらに少年法改正により第5種も追加されています(以下参照)
② 14歳未満の者でも少年院に送致されることがある。
これが正解です。12歳以上であれば少年院送致はありえます。
③ 1つの少年院に2年を超えて在院することはできない。
間違いです。2年を超えることもあります。
④ 少年院は20歳を超える前に少年を出院させなければならない。
間違いです。第1種と第2種は23歳未満、第3種は26歳未満までです。
⑤ 少年院法で定められた少年院の種類のうち、第2種は女子少年を収容する施設である。
間違いです。性別で分けられていません。
第2種:犯罪的傾向が進んだ第1種
第3種:心身に著しい障害がある第1種
第4種:少年院において刑の執行を受ける者
第5種:遵守事項違反のあった特定少年を一定期間収容
第1回(追試)問114
少年鑑別所で用いる、少年の再非行の可能性と教育上の必要性を把握する法務省式ケースアセスメントツールにおいて、意欲、態度、今後の教育等によって改善し得る要素として、誤っているものを1つ選べ。
① 本件態様
② 逸脱親和性
③ 自己統制力
④ 社会適応力
⑤ 保護者との関係性
選択肢①のみ静的項目、それ以外は動的項目なので選択肢①が正解です。
第5回 問58
触法少年について、正しいものを2つ選べ。
① 触法少年は、少年院に送致されることはない。
② 触法少年に対する審判結果は、被害者には通知されない。
③ 触法少年とは、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年をいう。
④ 触法少年は、警察官による事件の調査に関し、いつでも弁護士である付添人を選任することができる。
⑤ 児童相談所は、警察から送致を受けた触法少年の事件については、家庭裁判所に送致しなければならない。
選択肢③と④が正しいです。
次の記事
次は、国連の「子どもの権利条約」について。
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