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【心理検査】総まとめ

心理検査総まとめ 心理検査
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ここまで見てきた心理検査の全てをまとめます。

まずは「性格検査」「神経心理学検査」「発達検査」の3大検査をしっかり押さえましょう。

そして、「発達障害検査」と「精神疾患検査」の2つは個別の障害や疾患の検査として押さえましょう。

最後に「健康調査票」と「職業検査」を加えて完了です。

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性格検査

性格検査は、投影法、質問紙法、作業検査法の3種類ありました。

それぞれの検査が、この3種類のどれに属するのか、しっかり意識しながら覚えましょう。

投影法

質問紙法

作業検査法

神経心理学検査

知能、記憶、遂行機能、言語、注意力、認知といった「高次脳機能」に関する心理検査を「神経心理学検査」と呼んでいます。

つまり高次脳機能障害の検査でもあるんです。

知能検査

黄色のアイキャッチ画像になっている以下の記事が知能検査です。

神経心理学検査の中でも知能検査は特に重要なので黄色で統一しています。

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認知症検査

認知症検査は知能検査に含まれますが、特に認知症に特化した検査ということで、以下の2つは確実に覚えておきましょう。

記憶検査

知能検査で有名なウェクスラーは、記憶検査も作ってるんですね。

遂行機能検査

言語検査

SLTAの「A」は「Aphasia(失語症)」です。

注意力検査

認知機能検査

認知機能検査の中でもBACSは「統合失調症」の認知機能検査です。

器質的脳障害検査

神経心理学検査の中でもベンダー・ゲシュタルト検査は、気質的脳障害だけでなく知能や心理、パーソナリティも測れます。

発達検査

発達検査は以下の3種類のみ、覚えましょう。

下で出てくる発達障害検査とは別物です。

発達障害検査

ここからは、発達障害などの個別の障害に関する検査です。

発達障害と言えば、ASD、ADHD、LDの3種類です。

ASDやADHDは以下のような検査がありますが、LD(学習障害)については、WISC-Ⅳなどの知能検査が行われます。

ASD(自閉スペクトラム症)

ADHD(注意欠陥多動性障害)

ADHD検査は児童用か成人用か、しっかり区別できるようになってください。

適応行動

精神疾患検査

PTSD検査

島根あさひ社会復帰促進センターの治療共同体ユニットで生活する
受刑者のうち3分の1近くが、IESRが25点以上のPTSD症状があるらしいです。
藤岡淳子さんの著書からの引用です。

不安検査

「不安」は英語で「Anxiety」なので「A」が入っていますね。

抑うつ検査

「抑うつ」は英語で「Depression」なので「D」が入っていますね。

BDI-Ⅱ(ベック抑うつ質問票)
SDS(自己評価式抑うつ尺度)
HAM-D
EPDS
GDS-15-J

強迫尺度

「強迫」は英語で「Obsessive」なので「O」が入っていますね。

健康調査票

職業検査

・VRT

VRT(Vocational Readiness Test)とは、職業レディネス・テストのことです。

レディネスといえば思い出すのはゲゼル(A.Gesell)の成熟優位説、「準備」という意味でしたね。

中学生~高校生を対象に、以下の3種類の質問紙検査によって職業の準備度を評価します。

A検査:職業興味
B検査:基礎的志向性
C検査:職務遂行の自信度

まとめ

​まずは、性格検査、神経心理学検査、発達検査の3大検査をしっかり覚えましょう。

分類 手法等 検査名
性格検査 投影法 ロールシャッハテスト
P-Fスタディ
TAT
バウムテスト
SCT
質問紙法 MMPI
YGPI
MPI
EPI
NEO-PI-R
CPI
EPPS
作業検査法 内田クレペリン作業検査
神経心理学検査 知能検査 ウェクスラー式知能検査
田中ビネー式知能検査
KABC-Ⅱ
コース立方体組み合わせテスト
認知症検査 HDS-R
MMSE
記憶検査 WMS-R
RBMT
遂行機能検査 WCST
BADS
言語検査 SLTA
注意力検査 CAT
CAS
認知機能検査 DN-CAS
Luria-Nebraska神経心理学バッテリー
BACS
器質的脳障害検査 ベンダー・ゲシュタルト検査
発達検査 新版K式発達検査
遠城寺式乳幼児分析的発達検査
JDDS
分類 手法 検査名
発達障害検査 ASD(自閉スペクトラム症) AQ-J
PARS-TR
ADOS-2
M-CHAT
ADHD(注意欠陥多動性障害) conners3
ADHD-RS
CAARS
ASRS
CAADID
CPT
適応行動 VINELAND-Ⅱ
CBCL
精神疾患検査 PTSD検査 CAPS
PCL-5
IES-R
不安検査 MAS
STAI
CAS
GAD-7
CAS
LSAS-J
抑うつ検査 BDI-Ⅱ
SDS
HAM-D
EPDS
GDS-15-J
強迫尺度 Y-BOCS
MOCI
健康調査票 CMI
GHQ
職業検査 VRT

カットオフ値まとめ

カットオフ値自体が国家試験に出題されることはありませんが、この検査はどの程度の値でどうなのかということをザックリと覚えておきましょう。

検査名 検査内容 カットオフ値 内容
WAIS、WISC、田中ビネー知能検査 知能検査 IQ69/70 69以下で知的障害(70~79境界域)
HDS-R
(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)
認知症 20/21 20以下で認知症の疑いあり
MMSE
(ミニメンタルステート検査)
認知症 23/24 23以下で認知症の疑いあり
VINELAND-Ⅱ 適応行動 v評価点標準スコア(M=15、SD=3)
標準スコア(平均値M=100、標準偏差SD=15)
AQ-J 自閉スペクトラム症ASD 26/27 26以下で正常、33以上でASD可能性高い
BDI-Ⅱ
(ベック抑うつ質問票)
抑うつ 13/14 13以下で正常、29以上で重度
SDS
(自己評価式抑うつ尺度)
抑うつ 39/40 39以下で正常、56以上で重度
MAS
(顕在性不安尺度)
不安障害 18/19 18以下で正常(一般男性)、23以下で正常(一般女性)
CAS(不安測定検査) 不安障害 6/7 6以下で正常、9点以上で治療必要
GAD−7
(全般性不安障害スケール)
不安障害 4/5 4以下で正常、15点以上で重度
LSAS-J
(リーボヴィッツ社交不安尺度)
社交不安障害 30~50点で境界域、90点以上で重度
Y-BOCS
(エールブラウン強迫尺度)
強迫性障害 7/8 7以下で正常、24点以上で重度
IES-R
(改訂出来事インパクト尺度)
PTSD 24/25 25点以上でPTSD疑い
BADS
(遂行機能障害症候群の行動評価)
遂行機能障害 11/12 11点以下で遂行機能障害の疑い(24点満点)

テストバッテリーとは

テストバッテリーとは「複数の心理検査の組み合わせ」もしくは「複数の心理検査を組合せて実施すること」です。

1つの心理検査でわかることには限界があるので、いくつかの検査を組み合わせて、対象者を多角的・総合的に理解できるようにします。

公認心理師国家試験では、複数の心理検査を組み合わせて検査する事例問題が出題されます。

過去問

第2回 問60

21歳の女性A、会社員。
伝えたいことを言葉で表現することが苦手で、不安が高まるとますますコミュニケーションが困難となる。
職場では、苦手な電話対応を担当業務から除き、作業の指示にあたってもメモを活用するなど、十分な配慮を受けており、職場の居心地は良く、仕事にもやりがいを感じている。
他方、自宅から職場が遠く、また自立したいという希望もあるが、親元を離れて一人暮らしを始めることに不安を感じている。
Aはその相談のため会社が契約する心理相談室に来室した。
心理相談室の公認心理師がAの支援をするにあたり、Aに実施するテストバッテリーに含める心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
① CBCL
② Conners3
③ IES-R
④ Vineland-Ⅱ
⑤ VRT

① CBCL
間違いです。CBCL(Child Behavior Checklist)はその名の通り「子供の行動チェックリスト」なので、事例の21歳には適用できません。

② Conners3
間違いです。Conners3はコナーズ博士が開発したADHD(注意欠陥/多動性障害)の検査です。

③ IES-R
間違いです。IES-R (Impact of Event Scale-Revised)は、改訂出来事インパクト尺度日本語版で、PTSDの診断に用いられます。

④ Vineland-Ⅱ
これが正解です。Vineland-Ⅱは適応行動全般を検査でき、特に発達障害のアセスメントとしてADOS、ADI-R、ウェクスラー式知能検査などとともに用いられることが多いです。

⑤ VRT
間違いです。VRT(Vocational Readiness Test)とは、職業レディネス・テストのことです。
レディネスは「準備」ですね

第2回 問140

22歳の女性A。
Aは職場での人間関係における不適応感を訴えて精神科を受診した。
ときどき休みながらではあるが勤務は継続している。
親と仲が悪いので2年前から単身生活をしているとのことである。
公認心理師が主治医から心理的アセスメントとして、YG法、BDI-Ⅱ、WAIS-Ⅳの実施を依頼された。
YG法ではE型を示し、BDI-Ⅱの得点は19点で希死念慮はない。
WAIS-Ⅳの全検査IQは98であったが、言語理解指標と処理速度指標との間に大きな差があった。
公認心理師が引き続き行う対応として、最も適切なものを1つ選べ。
① MMSEを実施する。
② 田中ビネー知能検査Ⅴを追加する。
③ 家族から情報を収集したいとAに伝える。
④ 重篤なうつ状態であると主治医に伝える。
⑤ 生育歴についての情報をAから聴き取る。

YG性格検査の「E型」は、エキセントリックタイプ(自分の殻に閉じこもりがち)。
BDI-Ⅱの「19点」はうつ状態との境界状態です。
WAIS-Ⅳの「全検査IQ 98点」は正常範囲です。

① MMSEを実施する。
間違いです。MMSEは認知症スクリーニング検査ですが、IQ98ですので不要です。

② 田中ビネー知能検査Ⅴを追加する。
間違いです。WAIS-Ⅳの「全検査IQ98点」と出ているので、さらに追加検査する必要はありません。

③ 家族から情報を収集したいとAに伝える。
間違いです。親と仲が悪くて単身生活をしているので、不適切です。

④ 重篤なうつ状態であると主治医に伝える。
間違いです。BDI-Ⅱの「19点」は重篤なうつ状態とは言えません。

⑤ 生育歴についての情報をAから聴き取る。
正しいです。YG性格検査の「E型」で、WAIS-Ⅳで言語理解指標と処理速度指標との間に大きな差があるので発達障害が疑われます。
なので生育歴などの情報収集が必要です。

第1回(追試)問138

4歳の男児 A、幼稚園児。
2歳頃、単語が話せない、他児への興味を示さない及び視線が合いにくいという症状のため受診したがその後通院はしていない。
数字が大好きで数字用のノートを持ち歩くなど、自分なりのこだわりがある。
状況の変化には混乱して泣いたりすることが多いが、親が事前に丁寧に説明するなどの対応をとることで、Aも泣かずに我慢できる場面が増えてきた。
公認心理師がAの支援をするにあたって、担当の幼稚園教諭からのAの適応状況に関する情報収集とAの行動観察に加え、Aに実施する心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
① HDS-R
② WISC-Ⅳ
③ 田中ビネー知能検査
④ DN-CAS 認知評価システム
⑤ ベンダー・ゲシュタルト検査

事例から自閉スペクトラム症の疑いが濃厚です。

① HDS-R
間違いです。HDS-R(改訂長谷川式認知症スケール)は、認知症検査です。

② WISC-Ⅳ
間違いです。WISC-Ⅳの対象は5歳~16歳11か月なので事例の対象ではありません。

③ 田中ビネー知能検査
これが正解です。知的能力の把握のため田中ビネー知能検査を実施します。
対象は2歳から成人なので4歳の男児Aに適用できます。

④ DN-CAS 認知評価システム
間違いです。DN-CASの対象は5歳0か月から17歳11か月なので事例の対象ではありません。

⑤ ベンダー・ゲシュタルト検査
間違いです。ベンダー・ゲシュタルト検査は、器質的な脳障害を把握する検査です。
パーソナリティや様々な障害も把握できます。

第4回 問16

脳損傷者に対する神経心理学的アセスメントで使用される検査の説明として 最も適切なものを1つ選べ。
① HDS-Rの成績が低下している場合脳障害が疑われる。
② RBMTは手続き記憶の障害を検討するために用いられる。
③ SLTAには非言語性の認知検査も含まれる。
④ WAIS-Ⅳの数唱の成績は注意障害の程度を知る助けになる。
⑤ WCSTは失認症を評価する検査である。

① HDS-Rの成績が低下している場合脳障害が疑われる。
間違いです。HDS- R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)は、認知症検査です。

② RBMTは手続き記憶の障害を検討するために用いられる。
間違いです。RBMT(リバーミード行動記憶検査)は展望記憶を測定します。

③ SLTAには非言語性の認知検査も含まれる。
間違いです。SLTA(標準失語症検査)は失語症の検査です。

④ WAIS-Ⅳの数唱の成績は注意障害の程度を知る助けになる。
これが正解です。

⑤ WCSTは失認症を評価する検査である。
間違いです。WCST(ウィスコンシンカード分類検査)は、遂行機能を評価します。

第4回 問129

心理検査結果を報告する際の対応として 不適切なものを1つ選べ。
① クライエントが得意とする分野も記載する。
② 報告する相手によって伝え方を工夫する。
③ クライエントが検査を受ける態度から推察できることを記載する。
④ 検査の記録用紙をコピーしたものをそのままクライエントに渡す。

① クライエントが 得意とする分野も記載する。
正しいです。

② 報告する相手によって 伝え方を工夫する。
正しいです。

③ クライエントが検査を受ける態度から 推察できることを記載する。
正しいです。

④ 検査の記録用紙をコピーしたものをそのままクライエントに渡す。
不適切です。検査の記録用紙をコピーして手渡すことは、検査方法の守秘に違反します。
例えば、その用紙が出回ると、事前に検査内容を知ってしまい検査制度が低下するなどの弊害がでます。

第4回 問37

成人のクライエントに対して行う心理検査の目的として不適切なものを1つ選べ。
① クライエントによる自己理解や洞察を深める。
② セラピストのセラピー継続への動機づけを高める。
③ クライエントに関わるスタッフの支援の手がかりとする。
④ セラピストがクライエントの理解を深め支援の方針を決定する指標にする。
⑤ セラピストとクライエントの間でコミュニケーションやセラピーを深める道具とする。

① クライエントによる自己理解や洞察を深める。
正しいです。

② セラピストのセラピー継続への動機づけを高める。
間違いです。セラピストのためではありません。

③ クライエントに関わるスタッフの支援の手がかりとする。
正しいです。

④ セラピストがクライエントの理解を深め支援の方針を決定する指標にする。
正しいです。

⑤ セラピストとクライエントの間でコミュニケーションやセラピーを深める道具とする。
正しいです。

第5回 問61

7歳の男児A、小学1年生。登校しぶりがあり、母親Bに伴われ市の教育センターに来室した。Bによると、Aは、「クラスの子がみんな話を聞いてくれない」、「授業で何をやったら良いのか分からない」と言っている。Bは、Aが教室内での居場所がないようで心配だと話した。公認心理師である相談員CがAに話しかけると、Aは自分の好きなアニメの解説を一方的に始めた。Aに対する支援をするに当たり、Aの適応状況に関する情報収集や行動観察に加え、CがA自身を対象に実施するテストバッテリーに含める心理検査として、最も適切なものを1つ選べ。
① AQ-J
② CAARS
③ CAT
④ NEO-PI-R
⑤ WISC-Ⅳ

選択肢①と⑤で迷いますが、最も適切なものは⑤です。

第5回 問74

29歳の男性A、会社員。経理関係の部署から営業部に異動後半年経過した頃から、意欲が減退し、出社できない日もあり、上司から社内の心理相談室を紹介され、公認心理師Bが面接した。Aは、初めての営業の仕事であったが、同僚や上司にうまく頼ることができず、仕事になかなか慣れることができないという。Aは、もともとコミュニケーションが苦手なところがあったが、今では人と会うのも怖くなっており、また、取引先との円滑なやりとりができそうにないと、営業の仕事を続けることについての不安を訴えている。Aのアセスメントにおいて、テストバッテリーに含める検査として、不適切なものを1つ選べ。
① AQ-J
② BDI-Ⅱ
③ IES-R
④ LSAS-J
⑤ STAI

① AQ-J
正しいです。コミュニケーションが苦手とのことで自閉スペクトラム症の検査が必要です。

② BDI-Ⅱ
正しいです。意欲が減退し出社できないとのことで、抑うつ検査が必要です。

③ IES-R
これが誤りです。PTSD検査は必要ありません。

④ LSAS-J
正しいです。人と会うのも怖いとのことで、社交不安検査が必要です。

⑤ STAI
正しいです。仕事を続けることへの不安があるので、不安検査が必要です。

次の記事

次で心理検査の最後、「信頼性と妥当性」について見ていきましょう。

【心理検査】信頼性と妥当性
心理検査には信頼性(reliability)と妥当性(validity)が要求されます。これまで見てきた様々な心理検査は、この信頼性と妥当性を何度も検証し、世に出しています。信頼性信頼性とは「検査結果の一貫性」のこ...

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